「業界未経験ですが、コンサルティングファームに転職できますか?」という質問は、よく受ける質問の1つです。
たしかに、コンサル業界出身者の数が増えてきたことにより、業界内での人材の入れ替わりも増えつつありますが、全体の割合からいうとまだまだ限定的というのが実態であり、業界未経験者はコンサルティングファームにとっては重要な候補者であるのが現状です。
そこで、今回は、メーカーや商社などの事業会社からコンサルティングファームへの転職を考えられていらっしゃる業界未経験者の方を対象に、転職成功率の実情や転職活動のポイントをご紹介していきたいと思います。
業界未経験者は、どのくらいの割合でコンサルティングファームに転職できるのか?
最初に、業界未経験者が中途面接を受ける場合の成功率についてお話しします。
一般的に外資系のコンサルティングファームの場合は、業界未経験者の中途採用は、オンラインまたはペーパーでの適正試験に加えて、3~5回程度の面接となることが一般的です。
転職の成功率は、ファームによっても異なりますが、数年間採用活動にも携わった経験から言うと、最終面接を通過されるかたは、50~100名に1人程度の割合とかなり低い水準です。
コンサル業界はここ数年の好景気の影響も受けて、どの企業も成長の軌道にありますが、かといって人材のクオリティを下げてまで人材の拡大を急ぐファームはありません。逆に、人員規模が増えることで、従来以上に社員のマネジメントが難しくなることも踏まえて、採用人材の質としては、これまで以上に気を配っているようにも思います。
ですので、「求人枠が増えている=転職がしやすくなった」という勘違いだけは決してしないようにしてください。転職の難易度は、依然とまったく変わっていないと思い気を引き締めて準備に取り組んで下さい。
未経験でコンサルティングファームに転職するために必要なこと
狭き門であるコンサルティングファームへの転職を成功させるために大切なポイントを2つご紹介していきます。
筆記試験、および面接対策は十分に時間をとって行うようにしましょう。多くのファームにおいて、一般的な面接に加えてケース面接が実施されます。対策方法はネットや書店にすでに多く存在していますので、それらに関してはきっちり目を通して、当日の対策イメージを行っておくことをお勧めします。対策本に頼りすぎることは、よくないのですが、全く対策をしないことは更によくありません。内容を理解した上で、自分なりにどのように活用するのがよいか考えてみてください。
また、実際にスキルを高める方法としてお勧めなのは、今あなたが実際に向き合っている現業について、更に大きな成果を出すためには、何が必要なのか、それがなぜできないのかということを真剣に考えてみることで、コンサルタントに求められる思考力を高められると思います。普段の仕事の時間とは別に、制約にとらわれることなく、ビジネスを見つめなおしてみてください。
中途面接では、論理的なスキルを見ているだけではありません。あなたがコンサルタントとして将来的に活躍できるかどうかという視点からあなたのパーソナリティも見られているのです。その中でも、特にコンサルタントに転職することで何を達成したいのかというポイントについて、熟考することをお勧めします。面接をしていると、ケース対策はしっかりとしているものの、志望動機などの一般的な事業会社でも求められるような問いについて全く準備をされていない方を意外と多くお見受けします。
何度も受けて採用される人もいる
さて、もう一つ未経験者の方から受ける質問として、「実は新卒の時に、採用されなかったのだけれども、中途面接で通るものなのか?」「過去に中途面接で落ちたのだけど再チャレンジはできるのか?」といったものがございます。
結論は、いずれの場合も全く問題はありません。コンサルティングファームによっては、数年間は再チャレンジができないという規定を設けているところも多くありますが、1度失敗したからといって2度とチャレンジできないファームはありません。
特に最近は、コンサルタントとしても専門性をかなり求められる傾向が強くなる中で、事業会社での経験を通じて、コンサルティングファームでの活躍の機会が広がるといった方も数多く存在するようになりつつあります。
ただし、再チャレンジをする場合には、採用する側も以前ダメだったのに、なぜ今回採用するに値するのかという視点であなたのことを見てくる傾向は強まりますので、そのような視点で質問に対してもきっちり答えられるよう準備しておくことは是非行ってください。
最後に
今回は、未経験からコンサルに転職する難易度について、転職成功率の実情や転職活動のポイントからご紹介いたしました。未経験者にとって、難易度は高いものの、十分に転職、活躍できるチャンスは存在しています。また、簡単ではないからこそ、コンサルタントと職業を通じて得られる経験値に意味があるとも言えると思います。興味をもたれた方は、あきらめるのではなく、是非チャレンジをしてみてください。