コンサルティングの仕事がかなり一般的になってきた現在においても、面接や説明会などをしていると、質疑応答の際に「1日の仕事内容は具体的にどのようになっているのでしょうか?」と、かなりの頻度で聞かれます。
実は、プロジェクトのテーマやプロジェクトの中でのタイミング、またコンサルタントの役職に応じても1日の過ごし方は大きく変わってくるので、シンプルにこの質問にお答えするのは難しいのですが、2つほど事例を紹介して、皆さんの参考にしていただければと思います。
事例 ①:中途入社1年目の27歳、プロジェクト開始初日
9:00
●入社前後の研修を終えて一通りコンサルタントとしての基本動作や、ツール類の使い方を学んだAさんは、朝9時に出社をしてみると、メールが来ていることに気づきます。
「今日から開始するプロジェクトへの参加が決まりました。早速プロジェクトの責任者であるBさんのところにいって内容を聞いてきてください。」
Aさんは早速Bさんにメールをし、10時30分からミーティングをセットしてもらいました。加えて、Bさんからの返信には、今回のプロジェクトの提案資料が添付されており、そちらについては、ミーティングまでに目を通しておくよう言われたので、早速確認。
10:30
●Bさんとのミーティングは30分、他に今回のプロジェクトに入る2人のメンバーと一緒に、プロジェクトの目的やアプローチ、その中での各メンバーの役割について説明を受けます。今回Aさんは、先輩コンサルタントのCさんのサポートの下、いくつかの市場規模について調査を明日の夕方16時までに出すよう指示を受けました。
11:00
●Bさんとのミーティング後、Cさんに具体的にどのようなプロセスで市場規模を算出するのが良いか、どのような情報ソースを探ってリサーチをするのが良いかを30分ほどかけてヒアリングしたのち、まずは全体の作業計画を作成します。加えて、17時からCさんとの中間確認のためのミーティングもセット。
12:30
●一通り作業計画が完成したら、Cさんと進め方を確認し、いくつかの修正をもらい、気づいたら時間は13時、近くのコンビニに昼食を買いに行き、デスクで食事をすませます。
食事が終わったら、Cさんと確認した作業計画に基づいて、必要な情報を調べていきます。いくつかのデータについてはすぐに見つかったものの、いくら探しても見つからないデータが複数存在。気づくと、17時になってしまいました。
17:00
●Cさんとの中間確認ミーティングの時間。これまでのタスクについて、できたこと、できていないことを報告。見つからなかったデータについては、どのように代替していくかを議論します。見つかったと思っていたものについても、今回の文脈を踏まえると適切でない数値なども発覚。30分ほどして、大まかな方向性が見えたことで、作業を再開。また今晩メールで作業状況をCさんに送るので、明日の朝までに事前にCさんが確認した上で、再度ミーティングを9時からすることを確認。
20:00
●Cさんと確認した内容について、いくつか不透明な部分があったことに作業を進める中で気づく。急いでCさんのデスクに向かうものの、すでに退社している状況。あわてて、電話をするも、繋がらず。21時にCさんから折り返しの電話があり、状況を説明したのち、方向性について、確認。
23:00
●夕食も近くのコンビニで済ました後、一通りCさんと確認した方向でリサーチと試算ができたため、Cさんにメールで報告。また日中に来ていた社内手続き関連のメールなどにも一通り対応し、23時30分に退社。
事例 ②:中途入社6年目の32歳、プロジェクト開始4週目(2ヶ月間プロジェクト)
7:00
●プロジェクトも中盤に差し掛かり、2日後にCEOへの中間報告会を控える状況。
本日9時からのクライアント執行役員とミーティングにおいて、最終確認をするため、資料の最終チェックと印刷を実施。
9:00
●執行役員とのミーティングの中で、方向性は合意できているものの、いくつか追加的に考慮すべき視点が見えてきた。会社に戻った後に、11時からチームメンバー全員で、今後の進め方について確認を実施。今日の夜までにクライアントに修正版の資料を送ることを目指し、資料の根幹に関わる修正は自分が引き受けつつ、追加のリサーチが必要な箇所については、適宜チームメンバーにタスクを振り分けることで、17時までには資料のアップデートが一通り終わるよう計画を作成。
作業時間がかぎられるため、全員で一緒の場所に集まって作業を進めることに。チームメンバーが不明点や当初の計画と外れることがあった場合は、すぐに確認しあえるようにすることで、効率的に仕事を進められるようにした。更に、ランチも出前を用意、作業をとぎらせることなく、チーム全員で食事をすませる。
15:00
●クライアントより電話があり、資料の中で使われていたデータの1つについて、誤りがあることが発覚。全体のストーリーに影響があるかどうか至急確認したところ、幸い、大きなメッセージが変わる内容ではないため、数値の修正については、明日対応する旨を連絡。
17:00
●訂正数値以外については、一通り修正が完了。修正箇所がまだ残っていることと、修正による影響、修正完了タイミングを記載した上で、クライアントに明後日のCEO中間報告資料を送付。
18:00
●メンバーと明日までの追加作業と、作業確認タイミングをチェック。以前担当していた別プロジェクトのクライアントと19時から会食があるため、本日は帰宅。
22:30
●会食が終わり帰宅した後にメンバーからの作業を確認し、追加の指示をメールで送り23時30分で、本日の仕事は終了。
最後に
今回は、コンサルタントの具体的な1日の働き方について2つの事例を元に紹介しました。いずれも実際のコンサルタントの働き方をできるだけ忠実に再現した例です。
冒頭ご説明したとおり、プロジェクト内容やタイミング、更には個人によっても働き方は異なってきます。メリハリをつけて早く帰ることも可能ですし、プロジェクトとプロジェクトの間では休みをとることでリフレッシュをすることも可能です。
そうした中で、忙しいときのイメージとして、今回紹介したような仕事の進め方やスピード感を参考にしていただければよいかと思います。