コンサルティングファームの企業名は、多くのビジネスパーソンが一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。規模も年々大きくなってきており、社員数としてもグローバルでは数千人を抱える企業も複数存在します。一方で、上場という観点からコンサルティングファームを見た際には、意外と上場していない企業が多いことに気づきます。
そこで、今回は、コンサルティングファームの上場について、具体的な企業と、その背景にある理由についてご紹介してみたいと思います。
主なコンサルティングファームの上場・株式公開の状況
まずは、上場している主なコンサルティングファームについて、紹介していきます。
上場しているコンサルティングファーム(順不同)
● アクセンチュア:グローバルグループ:ニューヨーク証券取引所
● 野村総合研究所:東証一部
● 三菱総合研究所:東証一部
● シグマクシス:東証一部
● GCA:東証一部
● ドリームインキュベータ:東証一部
● ベイカレント・コンサルティング:東証マザーズ など
日系のコンサルティングファームを中心に上場をしているコンサルティングファームは数多く存在しております。
一方で、上場をしていない主なコンサルティングファームはこちらです。
未上場のコンサルティングファーム(順不同)
● マッキンゼー・アンド・カンパニー
● ボストン・コンサルティング・グループ
● ベイン・アンド・カンパニー
● A.T.カーニー
● ローランド・ベルガー など
皆さん一度は名前を聞いたことがあるような有名企業が並んでいますが、実はこれらの企業は全て非公開企業なのです。
なぜコンサルティングファームは非上場なのか?
有名かつ大手であるものの上場していない企業も多く存在する背景には、大きく2つの理由が存在します。
● 上場することによるメリットのニーズが少ない
● 上場することによる制約を回避したい
それぞれどういうことが説明していきます。
上場することによるメリットのニーズが少ない
そもそも、上場することのメリットは何かというと、
● 資金調達がやりやすくなる
● 知名度・社会的信用が高まる
● ストック・オプションを通じた社員のモチベーション向上 など
一方で、先ほど挙げた、非上場のコンサルティングファームを見ると、いわゆる戦略系コンサルティングファームと呼ばれる企業が多いと思います。
彼らは大規模な設備投資の必要性が少ないため、資金調達ニーズは比較的少ないです。
また、知名度・社会的信用についても、数々の出版や最近ではテレビでのコメンテーターへの出演などを通じて、すでに十分得ていると言えます。
更に、社員のモチベーションについても、一般的な事業会社と比べると数倍高い基本給やボーナスを提供しているため、ストック・オプションのような仕組みを新たに設ける必要性は少ないのが現状です。
上場することによる制約を回避する
上場することによる制約とは、
● 上場に必要な時間と費用の拠出
● 情報開示の必要性
● 買収リスク など
この中でも特に、「情報開示の必要性」「戦略の自由度の制約」については、戦略コンサルティングファームにとっては、できれば回避したい項目となります。
というのも、「戦略開示の必要性」に関していうと、戦略コンサルティングファームの多くは、秘匿性の高い案件を数多く保有しているため、プロジェクトの中身は勿論ですが、クライアント自体についても基本的には公開しないことを前提に契約を実施しております。そのことで、クライアントとしても安心してコンサルティング業務を任せることができるのです。
また、中長期的な市場の移り変わりを踏まえたうえで、戦略コンサルティングファームは様々な投資活動をしておりますが、それらの中には一般には公開されていないものも複数存在します。(例えば、特定の領域を強化するためのグローバルでの事業提携などです)
最後に
今回は、コンサルティングファームの上場・株式公開の状況についてご紹介をしていきました。コンサルティング業界は、その特殊な業界事情により、上場・株式公開をしているかどうかは、企業の規模や優位性とは関係ございません。上場していないからといって、思いとどまることはございませんし、逆に上場していることが、デメリットに繋がるわけでもございません。
上場しているかどうかは、それほど拘ることなく転職活動をしてもらうことがよいのではないかということが今回お伝えしたいメッセージになります。