今後のコンサルファームの業界はこうなる
「MBA出身者やコンサルティングファーム卒業者が増えてきたと思うのですが、そうした環境の中で、今後コンサルティングファームはこれまでのように存続できるのでしょうか?」という質問は、中途採用の面接や説明会を受けているとよく伺う質問の1つです。
質問を受ける側としては、「そんなに心配なのであれば、どうしてコンサルティング業界を受けようと思うの?」といたずらに質問したくもなるものですが、自分の人生の大切な選択において、しっかりと情報を仕入れておきたいという気持ちもわかります。
そこで、今回は、今後のコンサル業界について、少しお話をしていきたいと思います。
コンサルファームのビジネスモデルはこう変わる
まず前提として、コンサルティングファームの提供する価値は、いわゆる「知識・情報」を提供するものから、「成果」を提供する形にすでに大きく変わっています。
2000年代前半までは、競合や海外の最新事例の調査結果を提供するだけでも、価値があり収益を得ることはできましたが、インターネットの普及、特に個人による情報発信の爆発的な増加に伴い、もはや情報だけであれば、かなりのものを容易に入手できるようになってきております。
そうした中で、コンサルティングファームの提供する付加価値は「成果」に変わってきたのですが、大きくは2つに別けられます。
● 利益の創出
● 時間の節約
これら2つは、当然重なることもあるのですが、この「成果」を追求する中でビジネスモデルも以下の2つの方向性に分かれつつあるのが、最近のトレンドです。
● 利益の創出 → 成果報酬型
● 時間の節約 → 人月単価販売型
コンサルファームがリスクを取る成果報酬型
1つ目の「利益の創出」というのは、プロジェクトを通して、コスト削減や新サービス創出による売上向上などの具体的なターゲットを決めた上で目指していく形です。
昔から、利益の創出を目標としてプロジェクトは運営されてきましたが、よりコミットを取るということを示すために、コンサルティングフィー自体を成功報酬にすることが大きな違いです。
クライアントとコンサルティングファームが共通の目標に向かって、プロジェクトを推進するため、徹底的に利益創出にこだわり、より大きな成果が期待できることがメリットになります。また、コンサルティングスタッフとしても、成果に拘るということで、大変ではあるが、実ビジネスに近い取り組みをすることでより大きなやりがいを感じやすいというメリットもございます。
一方で、プロジェクトによっては、「プロジェクトから発生した利益」の定義や設計が難しいこともあり、絶対数としては、まだまだ少ないのも状況です。
今後は、各ファームが、成果報酬型のプロジェクトの過去の実績に基づきノウハウをためていく中で、より幅広いプロジェクトに適用されていくのではないかと思います。
意外とニーズは高い月単価販売型
2つ目の、「時間の節約」というのは、自分たちでもできる仕事ではあるのだが、ローンチまでの時間を短くする、もしくは期限が決まっている中で何とか間に合わせる必要がある際に、短期的な人員増加の手段として、プロジェクトを担うものです。
わかりやすいものとしては、買収案件や、事業再生案件、競合参入に対する対抗策立案、未参入の業界における新規事業立案など時間との勝負が鍵になる場面で、外部のコンサルタントを活用するものです。
クライアントとしては、短期的なニーズのために社員を採用することはできず、また案件の内容も業界知識や専門スキルが求められるものであるため、コンサルティングファームを活用することが、最も費用対効果の高い打ち手になるのです。更に、今後は「働き方改革」などにより、自社の社員の活用がしにくくなる流れも増えてくる中で、外部のリソースをうまく活用したいニーズはますます高まると思われます。
また、これらのプロジェクトは、時間に制約はあるものの、目的やプロジェクトの大きな方向性はある程度明確になっていることが多いので、コンサルティングスタッフとしては、短期間で幅広いビジネススキルを効率的に学習できるというメリットが存在します。
結論:コンサルティングファームはビジネスモデルを変えつつ今後も拡大
今回は、コンサルティングファーム業界の将来についてお話しました。
企業がコンサルティングファームを雇うニーズは時代と共に変化はあるものの、クライアントが抱える課題がなくなることはございません。コンサルティングファームはこれらのニーズの変化を踏まえつつ、自らもビジネスモデルを進化させることで、今後も発展をしていくというのが個人的な考えです。勿論、各ファームともにこれらの将来展開については真剣に考えておりますので、気になる方は、説明会や面接の際などに一度伺ってみるのも良いかと思います。
尚、その際は、ご自身の考えも忘れずに用意しておくことをお勧めします。