コンサルタントに求められる要件の一つとして「地頭の良さ」ということを耳にしたことがあるかも知れません。実際にコンサルティングファームの中でも「Aさんは地頭が良いよね」というような会話を聞く機会は多くあります。Aさんのような人材はコンサルティングファームでも、総じて高いパフォーマンスを出しており、有望株であることが一般的です。
一方で「地頭」というのは、具体的にどのようなスキルなのかについては、曖昧であり、人によっても捕らえ方がマチマチです。
そこで、今回は、コンサルティングファームで求められる「地頭の良さ」というのが具体的にどのような能力をさしているのかについて、解説してみたいと思います。
コンサルティングの仕事で使う4つの頭の使いどころ
コンサルタントには様々なスキルが求められますが、多くのプロジェクトにおいて共通的に求められる大まかな頭の使いどころとしては4つの塊があると思います。
① 課題を理解する
② 解決策を見つける
③ クライアントに提案する
④「①課題の理解~③クライアントへの提案」を効率的に推進する
そして、この4つの塊のそれぞれに、コンサルタントに求められる地頭の具体的な要件が入っていると個人的には思っています。
①「課題を理解する」に関連した地頭の良さ
プロジェクトにおける課題を理解する上で、コンサルタントに求められるスキルとしては以下のようなものが挙げられます。
● 相手の言うことを正しく理解する力(クライアント、自社のプロジェクト責任者 など)
● 何故、相手がそのようなことを言っているのかを理解する力
● 自分の理解が正しいかを確認する力
● 自分の考えと相手の考えの違いを言語化する力
● 相手が明文化できていない課題を発見する力
②「解決策を見つける」に関連した地頭の良さ
把握した課題に対して、正しい解決策を見つける上で、コンサルタントに求められるスキルとしては以下のようなものが挙げられます。
● 課題の全体像を構造化する力
● 粘り強く課題の原因を考え抜く力
● 常識にとらわれず幅広い選択肢を思いつく力
● 優先順位をつける力
③「クライアントに提案する」に関連した地頭の良さ
チーム一丸となり出した解決策をクライアントに対して提案する上で、コンサルタントに求められるスキルとしては以下のようなものが挙げられます。
● 間違いなく正確に伝える力
● 結論から分かりやすく説明する力
● 相手が持つであろう疑問を先読みする力
④「①課題の理解~③クライアントへの提案までを効率的に推進する」に関連した地頭の良さ
これら①~③を効率的に推進する上で、コンサルタントに求められるスキルとしては以下のようなものが挙げられます。
● リードタイムを踏まえた上で適切なスケジュールを立てる力
● 過去の経験をすぐに取り出せる知識に変換する力
● 限られた情報からその時点での結論を出す力
「地頭が強い人材」といえば、ここで挙げたようなスキルの複数に強みを持った方のことを指しているように個人的には思います。
尚、全ての要素を兼ね備えた人材は優秀と言われるコンサルタントの中でもそうそうはいません。
ですので、皆さんも地頭の良さを高めるといった際には、ここに書いた力の中で、苦手意識の強いものについて最低限のレベルで底上げをしつつ、比較的得意だと思ったものを中心に伸ばしていくことに専念することをお勧めします。
どのように「地頭」を伸ばしていくのか?
「地頭」というと、生まれつきの能力だから伸びようがないという意見を聞くこともありますが、決してそのようなことはないと思います。少なくとも、多くのコンサルタントは入社後に上記で挙げた力を着実に伸ばすことで、コンサルタントとしての活躍の場を広げているからです。
最後に、いくつかの「地頭」を伸ばすためのトレーニングを紹介しますので、是非皆さんも試してみてください。