コンサルタントは多様なプロジェクトにおいて、短期間で多くの付加価値をつけるために、さまざまなスキルを身につけるよう教育を受けます。今回はそうしたコンサルタントの仕事術について、いくつか紹介をしてみたいと思います。
仕事術①:目的とゴールと結論から考える
どのような仕事を請け負った場合でも、最初にやることは目的とゴールと結論を設定することです。
目的とゴールは、仕事を請け負ったタイミングで、依頼主と必ず明確に確認をする。
結論については、仕事を請け負ってから最初の1時間でとにかく仮のものでよいので決める。
この初期動作をするかしないかで、仕事の効率性、要する時間は大きく異なってきます。
時には、目的やゴールが不明確な状態で仕事を依頼しようとされる方もいらっしゃいますが、その際はできるのであれば、仕事は請け負わない、もし立場上どうしても請け負わなければいけないのであれば「私も少し考えて見ますので、目的とゴール、そして方向性について、早いタイミングで一度ご確認させてください」といってチェックポイントを設けるようにしてください。
また、結論について、1時間で出すことはできないとおっしゃる方は多いです。ただ間違っていてもかまわないので、早いタイミングで仮説を立てることが、結果として、全体の作業工数を大きく減らすことができるようになります。
● 理由1:さまざまな可能性を網羅的に考えることよりも、自分が考える案について、あっているのか、間違っているのかを検討することのほうが、よっぽど効率的だから
● 理由2:絞りこむことで、本当に大切なことは何なのかという視点で物事を見ることが自然とできるようになる
● 理由3:この経験をつめばつむほどに「直感」というのは磨かれていくもので、最初から正解を見つけられる可能性が高まっていく
仕事術②:全体の流れを整理する
次に大切なのは仕事全体の流れを整理することです。よくワークプランを立てるという風に言いますが、コンサルタントの場合は少し異なっております。ここでも、基本はメッセージを常に先に書くことを心がけて作業をします。
具体的には以下のようなイメージです。
●「ユーザーへのアンケートをとる」ではなく
⇒「20代のユーザーは地下鉄でこのサービスを受けたいニーズが高い(仮)」
●「中国の先進事例を調べる」ではなく
⇒「中国ではすでに地下鉄でサービスを提供しており、20代中心に流行(仮)」
このようにして請け負った仕事のメッセージを積み重ねながら、それぞれのメッセージを打ち出すためには、どのような作業が必要になるのかという順番でワークプランを立てる癖をコンサルタントはつけています。
ここまでの作業は全てスライドなどは書かず、手書きやメモ帳などを使って進めることが多いです。
仕事術③:聞き手が唸る1枚をまず作る
さて、ここからようやくパワーポイントなどを使ってスライドを作成します。
ただし、いきなり最初からするのではなく、全体の中で特に依頼主に伝えたいポイント、驚くであろうポイントの1枚について着手するように心がけています。
特に忙しい方にとってみると、全てのスライドに目を通すことは難しいです。そういった場合に備えて、全体のまとめと、ここで作成する唸る1枚の2枚を見せることで、短時間でも納得、成果を認めてもらえるよう工夫することが大切です。
仕事術④:決められた時間内で残りは全て終わらせる
コンサルタントという仕事は時間をかければかけるほどに、提供できる付加価値は大きくなる職業だと思います。一方で、付加価値の増分は低減していくので、どこかで区切りをつけることも大切です。そのため、ずるずると仕事をするのではなく、全体の流れが整理できたタイミングで、作業の時間も決めてしまい、それを超えては基本はやらないという風に割り切ることが重要です。
勿論、検証作業をおこなった結果、当初とは全く違うメッセージになってしまったなどの場合は、予定の時間を超えて作業をやり直すことがありますが、大まかなメッセージが言えるようになったのであれば、それ以上はストップして、他のことをするという風にして、トータルの付加価値を高めるようにしています。
仕事術⑤:分からないことは兎に角聞いて回る
最後に、具体的な作業を早くする仕事術として、兎に角悩んだら誰かに相談するというのは、優秀なコンサルタントの特徴だと思います。コンサルタントの多くは時間当たりのコストが非常に高いことを自覚しており、デスクの前であれこれ悩んでいる時間を可能な限り縮小することを大切にしています。「5分悩んで分からなければ、誰かに相談してみる」ということを実践しているようなコンサルタントも中にはいらっしゃいます。
これらを実践する場合に大切になってくるのは「誰がどのようなことを知っているのか」ということに対する感度です。
ただ、不思議なもので、常日頃から自分が周りに対して、貢献をしているとこのような繋がりは自然とできあがるものでもあります。ですので、持っている情報は、必要としている方々に積極的に共有する癖をつけ、自分が悩んだ場合は積極的に頼るというオープンな人脈をできるだけ多く作れるよう日ごろから心がけられることがポイントだと思います。
最後に
今回は、コンサルファームの仕事術についてご紹介していきました。ここで書いている内容は一部であり、他にもさまざまなテクニックをコンサルタントは日常の業務を通じて学んでいます。
「常に振り返り学びをパターン化する」ということが、実は一番大きなコンサルタントの仕事術かもしれません。