コンサルティングファームへの転職の目的として「ビジネスパーソンとしてスキルを高めたい」という理由は、多かれ少なかれ大半の方が持たれているものだと思います。
私も、転職を考えた理由の1つは「今の仕事のままではビジネスパーソンとして本当に十分なスキルを持てているのかという不安」でした。
今回は、当時の自分自身も振り返りながら、コンサルファームでどのようなスキルを獲得できるのかについてご紹介していきます。
コンサル入社前に思い描いていたスキル
転職を考えていた当時は、コンサルタント業界に関する書籍やインターネットからの情報、また新卒でコンサルファームに入社した友人との会話から以下のようなスキルを高めることができるのではないかと思っていました。
● 論理的思考力
MECEやピラミッドストラクチャーに代表される思考方法。クライアントの課題をロジカルに整理することで、分かりやすく、かつその中から問題の本質を見つけ出すことができるようになるのではないかと考えていました。
● リサーチ能力
市場動向や競合企業の動きを様々なデータソースを駆使してリサーチする力。プロジェクトの中で、必ずといって発生する仕事と友人から聞いていたので、複数のプロジェクトを経験する中で幅広い業界、トピックに関して磨けることを期待していました。
● 分析能力
エクセルなどを使い、定量的な側面から課題や解決の方向性を見つける力。当時は、コンサルタントといえば、エクセルを使いこなしているイメージが強く、自分も勉強して身につくものだと想像していました。
● 資料作成能力
パワーポイントを中心に、分かりやすい資料を作成する力。当時、会社で作る私の資料は他の人から見ると分かりにくいと言われていたため、様々なフレームワークを駆使しながら、誰もがパッと見て理解できるコンサルティングファームの資料作成スキルには憧れを持っていました。
● プレゼンテーション能力
作成した資料をクライアントに対して分かりやすく説明する力。年齢的に一回り、二回りも違う企業のシニア層に対して、明快にプレゼンテーションをし、納得させる技術は是非とも身につけたいと考えていました。
コンサルに入ってみて分かったスキル
実際にコンサルタントとして経験を積む中で、先ほど挙げたスキルは、習得のレベルに当初想定と差分はあるものの、一定身につけることができたと思いますし、今後も引き続き磨き続けられるものだと考えています。
加えて、コンサルタントになったことで、当初は想定できなかったいくつかのスキルについても身に着けることができました。
● セルフマネジメント力
コンサルタントとして短期間で多くのタスクをこなす中で、自然とセルフマネジメント力が高まってきたと感じます。もともとかなりルーズなタイプであったのですが、きっちりと仕事をスケジュールに落とし込み期限どおりにこなす事は勿論のこと、自分自身でプロジェクトの課題を考え、解決策をチームやクライアントを巻き込んで解決していくということが自然にできるようになったと感じられます。
● プロジェクトマネジメント力
自分自身を律するセルフマネジメント力だけでなく、チーム全体をマネジメントする力も、入社3~4年経ったごろから徐々に鍛え上げられてきました。大きな仕事も、必要な作業や、それぞれの作業の関係性を踏まえた上で、適切に分解し、チームメンバーに割り振ることで、プロジェクト全体を効率的にこなしていく力は非常に汎用性が高いスキルの1つだと思います。
● 共感力
コンサルタントとしてマネージャークラスになってくると、クライアントが真に悩んでいることが何なのかを、論理的な観点からだけでなく、心情的な面も含めて正しく理解し、解決策を提示することが求められるようになります。そのような環境の中で、自分としての正しい答えの提示をするだけでなく、相手の立場をできる限り正しく理解し、共感した上で、何ができるのかを考える力は、プロジェクトで成果を出す上で必須のスキルの1つだと思います。
● 鈍感力
クライアントに対する共感力を高める一方で、鈍感力も育ってきたのは不思議です。コンサルティングファームに在籍していると周囲に優秀な社員が多いため、常に別の角度からの指摘を受けます。またクライアントの中には、次々と無理難題を持ちかけてくるご担当者も稀にではありますがいらっしゃいます。そうした中で、全てに対応しようとすれば、体力も精神力も持ちませんので、コンサルタントとしてのキャリアが長くなるにつれて、一部は聞き流すという鈍感力が身についてきたのだと思います。
● 夢を語る力
理由は2つあります。
1つ目は、コンサルタントとしてスキルを身につける中で、自分に対する自信が深まり、夢を語りやすくなったというものです。
2つ目は、マネージャークラスになると、クライアントともプロジェクトを超えて議論や相談を受ける機会が増えてきます。そうした際に、ビジネスの世界において個人として何をしたいのかという核を持っていることが、相手にとって信頼できるディスカッションパートナーであるかどうかを判断する大切なポイントの1つになることが多いと感じ、時間をとって考える機会が増えたからです。
まとめ
今回は、コンサルファームで身につくスキルについてご紹介しました。
ここで紹介した力は、個人差はあるものの、コンサルタントキャリアを積む中で、求められるものです。但し、入社時点ではこれらの全てのスキルが必要ではありません。私自身もそうであった通り、これらのスキルに憧れを持つのであれば、今は足りなくても構わないです。
大切なことは、自分のキャリアにおいて、これらのスキルが必要か、努力をしてでも磨きたいのかというマインドだと思います。