コンサルティングファームの働き方の特徴の1つは、プロジェクト単位でチームを組成することですが、普段事業部として、固定的なメンバーで働くことが一般的になっている方にとっては、イメージがしにくいようです。
そこで、今回は、コンサルティングファームのプロジェクトが、どのような内容でどのように働くのかということを具体的に紹介してみたいと思います。
コンサルティングファームのプロジェクトの例
まず最初に、コンサルティングファームが行うプロジェクトとして、どのようなテーマ・内容・期間で働くことになるのかを、いくつかの例を元にご紹介してみたいと思います。
【例1】国内家電メーカーのアジア市場での販売戦略
●プロジェクトの背景開業
国内では高いシェアを誇る日本の家電メーカーは、アジア市場への参入を果たしたものの、市場に対する理解も不十分であり、いくつかの国において、十分な成果があがらない状況でした。特に、販売チャネルについては、物流網の課題もある中で、ローカルストアからインターネットまで幅広く、急成長する市場で好機を逸してしまうリスクを強く感じていました。
●プロジェクトの内容
アジアの中の特定国において、消費者の商品購買のフローと商品選択要因を特定し、どのようなユーザー層に対して、どの商品カテゴリを、どれくらいの価格で、どのようなマーケティング、チャネル販売をするべきかというプラン策定を実施
●プロジェクトの期間
2ヶ月
【例2】国内金融機関のCRM戦略
●プロジェクトの背景
国内で特定セグメントに強いシェアを誇る金融事業者は、業績の更なる拡大を目指し、CRM戦略の策定を検討していた。但し実際の業務推進においては、マーケティング、および金融業界に関する知識だけでなく、将来的な発展も見据えて、ビックデータやFintechへの高度な知識を持つ事業者と共同でプロジェクトを推進する必要性を強く感じていました。
●プロジェクトの内容
顧客とのあらゆるコンタクトチャネルにおいて、付加価値の高いOne to oneのマーケティングを実践するために、あるべき姿を明確化した上で、それらを実現するために必要となる顧客管理の仕組みを現状の資源を最大限活用する形で刷新。
●プロジェクトの期間
6ヶ月
プロジェクトのメンバー構成
コンサルティングファームは、プロジェクトの特性ごとに、メンバーは柔軟にアサインします。
例えば、「例1:国内家電メーカーのアジア市場での販売戦略」の場合は、メインのメンバーは4名ですが、プロジェクトの前半においては、インドにあるオフィスのスタッフを2名一時的に活用して現地のリサーチのサポートをしています。
また、「例2:国内金融機関のCRM戦略」の場合も、メインは5名のプロジェクトですが、プロジェクトの中盤において実際にクライアントのシステム設計と深く関わるフェーズになってきた段階で、IT系のコンサルタントを増員していました。
このように、プロジェクトに求められるスキルに応じて、適切な人材を有機的に配置しながら、短期間でアウトプットを出せることはコンサルタントワークの醍醐味の一つといえるでしょう。
具体的なプロジェクトでの動き方
それでは、ここで、プロジェクトでの実際の動き方のイメージを紹介してみたいと思います。今回は、中途入社1年目の社員の方が、2020年に向けた中期経営戦略を立てる1.5ヶ月のプロジェクトにアサインされたという想定で記載していきます。
プロジェクトのメンバーは5名。パートナーに加えて、プロジェクトの責任者1名と、先輩のコンサルタントが2名いる。
●プロジェクト前半(最初の2週間)
初日の午前中にプロジェクトの責任者から今回のプロジェクトを、誰がどのような内容のタスクをこなすことで推進していくかについて説明があった。
最初の2週間は、先輩コンサルタントの1人と一緒になって、中期戦略の中でも柱となる2つの事業に関する事業戦略を策定することが私の仕事。
先輩コンサルタントの指示の元、最初の2週間は、主要な2つの事業領域の市場の成長と競争環境の変化について、社内の知見を活用しながらリサーチを実施。
リサーチ結果を元に、先輩コンサルタントと相談しながら、市場環境の変化と、その中におけるクライアントの成長チャンスについて3つの方向性を整理した。
●プロジェクト中盤(次の2週間)
プロジェクト最初の2週間での経験を活かし、残りの事業のうち、まだ手がついていない1つの事業について、同様に成長戦略の整理を実施。最初の2週間の経験もあり、先輩コンサルタントにサポートを貰いつつも、自分が主体性を持って検討をできた。
このタイミングで、プロジェクトの責任者と他の先輩コンサルタントは、別の主要事業についての成長戦略や、それらも踏まえた上での会社全体としての戦略の策定を推進。
●プロジェクト終盤(最後の2週間)
会社全体の戦略、各事業の成長戦略、実行プラン、収支計画についてチーム全体で整理。幹部とのミーティングの結果を踏まえて、各タスクの細かい修正について、日時で先輩コンサルタントからの指示の元、資料の修正作業を実施し、無事1.5ヶ月でプロジェクトは終了しました。
最後に
今回は、コンサルティングファームのプロジェクトについて紹介しました。
プロジェクト単位での仕事は、事業会社においても広がってきているものの、適材適所で人材を使い分けるチーミングはコンサルティングファーム特有ともいえます。
毎回、ハードではありますが、刺激的、かつ、学びが多いことは確かです。
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