コンサルティングファームは、国内海外問わず世界を代表する一流企業が抱える課題に対して、プロジェクトを通じ解決策を提示する仕事です。
その中で、具体的にどのようなスキルを使い、どのような提案をしているのかということについては、書籍やインタビューなどを通じて、いくらか情報を得ることはできますが、どのようにしてそれらの仕事を獲得しているのかという「営業」については、まだまだ知られていないことが多いと思います。
そこで、今回は、コンサルティングファームの営業活動にテーマを絞ってお話していきたいと思います。
コンサルファームの営業の難易度は非常に高い
本題に入る前に、前提としてコンサルティングファームの営業の特徴についてご説明します。
●サービスのイメージ・品質が事前に分かりにくい
皆さんご存知の通り、コンサルティングファームは「戦略」や「実行プラン」といった無形の考え方を企業に提案する仕事です。提案段階で、大まかな方向性やアプローチの仕方は 共有されるものの、最終的な結論は、プロジェクトをやってみなければわかりません。
●圧倒的に高価
コンサルティングファームの1つのプロジェクトは、1ヶ月あたり1,000万円を超えることが一般的です。企業の担当者にとって、決して簡単に購入できる商品ではありません。
●取扱いに、買い手側のスキルも求められる
最後に、コンサルティングというサービスは、クライアントと共に作り上げる、結果を出すという側面があります。そのため、成果を出すためには、クライアント側にも、コンサルタントをどのように使いこなすのか(何を任せて、何を自分たちでやるべきかというような分担など)について考え、結果を見ながら流動的に運営していく必要があります。残念ながら、クライアントのコンサルティングファームに対する習熟度によってもプロジェクトのアウトプットは多少なりとも左右されているのが現状です。
このようなサービス自体の特徴があるため、その他の業界の営業活動と比べても、難易度は非常に高いということが最大の特徴です。
マネージャー以上が営業活動の主体
このような営業の難しさがあるため、コンサルティングファームの営業活動は、マネージャー以上のコンサルティングスキルの高い人材が中心に行うようになっています。一般的な事業会社が行うような、若手が足で稼ぐといった営業のイメージとは全く違うのです。
また、マネージャー以上が担当する別の理由として、マネージャー以上は、自分がプロジェクトの責任者として運営をすることにもなりますので、最初の営業のタイミングから入り込み、自分自身でクライアントのニーズを深く理解しておけるというメリットがあることもございます。
複数の営業手法を組み合わせて継続的な案件獲得を目指す
具体的な営業方法については、一般的な事業会社同様、複数の方法を組み合わせていることが一般的ですが、以下に主な例を挙げたいと思います。
●メディアや書籍販売を通じた認知向上
雑誌やインターネット記事への出稿や、大手ファームになるとTVのコメンテーターとしての出演、また書籍の出版を通じて、認知度、信頼性の向上を常日頃から実施しています。
●業界団体への参画によるリレーション構築
こちらは大手コンサルファームが中心ですが、業界団体の主要なポジションに参画することで、出席企業とのリレーションを図るというものです。経済同友会など、複数のコンサルティングファームが役員に名を連ねる団体も存在します。
●コンペへの出席
企業側から、特定の課題が明確になった際には、複数のコンサルティングファームにコンペ(各社が提案をし、一番よかった企業を採用する)の依頼が入ってきます。どこのファームを呼ぶかは企業側が決めますので、前述の認知向上の取り組みが非常に大切になってきます。
●新規営業
自社が開発した課題解決のソリューションの案内や、企業が現在抱えているであろう課題を外部情報から推計した新規提案をいたします。事前にアポイントをとって訪問することが大半ですが、小さなファームになれば、半ば飛び込みに近いかたちで突撃することもあります。
●過去のクライアントへの継続アプローチ
プロジェクトを一緒にしたクライアントとは、プロジェクト終了後も定期的に訪問活動を実施し、アフターサポートに加えて、新規案件のニーズがないかを確認します。
尚、これらの方法の比重については、ファームの規模によって、異なってきます。
大手コンサルティングファームになればなるほど、コンペや過去クライアントへの継続アプローチの比重が高まるのです。
営業の難易度を下げるために、成功報酬型というプロジェクトも拡大
また、業界が拡大してきたなかでコンサルティングファームの規模も拡大し、より多くのクライアントに対してサービスを提供していくために、販売がしやすい成功報酬型のプロジェクトも増えつつあります。
現在は取り入れているファームや対象のプロジェクトは限定的ですが、今後コンサルティングファームの更なる成長に伴い増えてくることになるのではないでしょうか。
まとめ
今回は、コンサルティングファームの営業活動についてご紹介いたしました。
コンサルティングファームの営業は、難易度が高いからこそ、成功したときの喜びも一段と大きいです。現在転職を考えていらっしゃる皆さんが直接関わることは、少し先にはなりますが、是非、その喜びを体験できるよう頑張ってみてください。