はじめに
最近はコンサルティングサービスの裾野が拡大傾向にあり、また、実力を持つ内資のコンサルティングファームも増加傾向にあることから、総論としては以前より英語が出来るか否かを重視していない、と感じています。
但し、これは中途採用における事情ではあるので、新卒採用では事情は異なります。新卒採用においては、コンサルティング業界を目指す学生のコモディティ感が高まり、以前よりもその能力は平準化してきています。その為、選考プロセスにおいては英語が出来るか否かを分かり易い指標として採用し、スクリーニングしています。7~8年前の話ですが、戦略コンサルティングファームのパートナーによる「新卒採用においては、英語まで話せて当たり前。3か国語目から加点評価する」という旨の発言を今でも思い出します。
結論から書くと、皆さん想像の通り「コンサルタントにはなれる。しかし、英語が出来ないとアサインされるプロジェクトの種類は狭まる。また、マネージャー以上になり難くなる」というのが実情となります。以降では更に具体的な現実を伝えていければと思います。
入社時のクライテリア
先ずは、肩書として「コンサルタントになる」という観点から伝えていきたいと思います。入社時のクライテリアとして必ず求めるファームと、求めないファームに明確に分かれます。そのファームが得意とするプロジェクトのソーシング方法やデリバリー体制、テーマを把握すれば、英語能力が必須であるか否かの判断はほぼ可能かと思います。
また必須でないファームの場合でも、入社時に志望するランクにより、必須として求められる場合があります。それは、マネージャー以上か未満であるかで分けられます。もしマネージャー以上を志望される場合は、必ず最低限のレベルを求めてくるかと思います。一方、マネージャー未満を志望される場合は、英語が出来ると加点評価となりますが、ある程度のレベルでも入社時は問題ないと言えるでしょう。
但し、ほぼ唯一の例外が存在します。それは、ラテラルのチームムーブの場合は、マネージャー以上であったとしても英語能力の有無が必須のクライテリアとして見られることはありません。
入社後のクライテリア
次に、入社後、本当の意味で「解けるコンサルタントになる」という観点で伝えたいと思います。基本、ランクにより求められる場面と度合いは異なりますが、どのランクでも共通してプロジェクトのデリバリー時には求められます。特に海外情報のデスクトップリサーチ、並びに海外の専門家へのインタビュースキルは必須と言えるでしょう。
そして、英語が出来ると、アウトイン・インアウトの両パターンでのクロスボーダープロジェクトにアサインされる機会を多く得ることが出来ます。当然、海外メンバーと共にプロジェクト推進することから、日常のコミュニケーションや討議の際に必要となります。その為、デスクトップリサーチやインタビューで使用する英語より、更に難しいレベルが求められます。
そして、マネージャー以上となり個別プロジェクトへの関わりが薄くなるタイミングから、徐々にファームの運営場面での英語が求められることになります。皆さんもご存知のように、外資戦略コンサルティングの場合、基本は産業軸とサービス軸のマトリクス型の組織構造を採用しています。そのそれぞれの軸において、地域を超えて集まりグローバルの組織としてアカウントプランの策定、ナレッジシェアリングといった活動を実施しています。こういった場面で貢献していくには、英語は必須とも言えるでしょう。
実務上、マネージャーから更に上を目指される場合、そういったグローバルでの活動へ積極的に貢献をしな場合、海外オフィスの推薦もなく昇進・昇格のスピードは落ちていく現実も存在します。
最後に
本稿は、たまたま海外での仕事と重なったことから飛行機で書いております。私自身も、そこまで英語は得意でない方なのでナーバスな気持ちではありますが、ある意味、課題を解決するという同じ目的の下、経営の共通言語を駆使する仲間と一緒に働けるというのは、ナーバスな気持ちを吹き飛ばすぐらい気持ちの良いものではあります。皆さんも、そのようなコンサルティング業界に興味を持たれたのであれば、是非挑戦してみる価値はあるかと思います。