はじめに
私の場合、同ファーム内で新しいプロジェクトに取り組む時と同様の感覚で、転職を捉えています。その為、ファーム間での転職を、皆さんが思われている程は重く捉えていません。
つまり、乗り切るというよりは、嫌になったら辞めてやるという精神でコンサルティングをしています。また、コンサルティングファームから事業会社への転職は、正直に書くと考えたことはありません。
もちろん、各事業会社がそれぞれに魅力を持つと思っています。しかし、相対的な感覚ではありますが、コンサルティングという仕事を通じて各事業会社における辛さや理不尽を見てきた身としては、積極的に転職しようという気には、まだなってはおりません。もう少し年齢と経験を重ねると、事業会社への考えるタイミングが来るかもしれませんが・・・。
話を戻しまして、冒頭であまりファーム間での転職を重く捉えていないとは書いてみたものの、コンサルティング業界でのキャリアが長くなり、また役職が上がっていく程に、気軽に辞めるという手段をとりづらくなっているのも事実です。その為、幸運(?)なことに、今回のコンサルティングファームを辞めたいという思い、そして、上手く乗り切ったな、自分自身の中で上手く整理をつけたなという体験がふててきたように感じています。
厳密に考えていくと、「辞めたいと思う時期やタイミング」と、「辞める決断をさせる最後のトリガー」は異なるかと思います。経験上、最後のトリガーが引かれた後に考えを覆すことはほぼないことから、今回は前者についてお伝えできればと思います。
コンサルティングファームを辞めたいと思う時
私の場合は、コンサルタントという職業であり、生き方を選択した動機に対してストレスがかかる時に強く辞めたい気持ちになります。具体的には、
「プロジェクトに参画する際に、雇われマネージャーの立場で参画した時」
「クライアントにとって価値のないイシューのプロジェクトに参画した時」
「サラリーマンコンサルタントの言動に触れた時」
というように、戦略コンサルタントとして、"かくあるべき"という自分自身の中での理想や振る舞いが出来ない際にストレスを受ける傾向が強いと改めて思う次第です。
1つ目の「プロジェクトに参画する際に、雇われマネージャーの立場で参画した時」とは、他マネージャー以上の方が提案したプロジェクトにおいて、マネジメント業務を期待されてアサインされる状況を指しています。
つまり、自分自身がクライアントへベストなイシュー、並びに方法論を考える機会のなかったプロジェクトをデリバリーする状況となります。また、提案した方がデリバリーに深く関わらない一方でクライアントインターフェイスに責任感を"発揮したがる"こともよくあります。
結果、意味のない内部説明の時間を使うこととなり、そのような状況が積み重なると、「何をやっているんだろう?」という気持ちとなり、辞めたくなります。
2つ目が「クライアントにとって価値のないイシューのプロジェクトに参画した時」です。
時には、クライアント内で実行する気はないものの社内説明や"言い訳"を目的としたプロジェクトや、年度末の予算消化のためのプロジェクトが存在します。
そのようなプロジェクトをデリバリーせざる得ない状況におかれるのはつらいことです。
少し自惚れもありますが、自分自身を必要としてくれている状況に身を置かれるクライアントも多い中、「大切な人生の時間で何をしているんだろう?」という気持ちとなり、辞めたくなります。
そして最後が「サラリーマンコンサルタントの言動に触れた時」です。
これは、ファーム内においてクライアントの事情や事実を軽視し、上司や"口うるさい"方に迎合しているような状況に巻き込まれた状況を指します。
意外かもしれませんが、意外に多くこのような状況に巻き込まれることが多いです。「なんでこういう人たちと同僚なんだろう、自分のマーケットバリューが下がりそう」という気持ちとなり、辞めたくなります。
最後に
乗り切り方は共通しており、「全部、Noとはっきり言う」と意思表明の上で、その状況から早期に脱出すること、以外にありません。
辞めたくなるような状況に置かれたまま、気持ちに整理をつけて乗り切ることは、正直、難しいのではないでしょうか。その為、その普通ではない状況から、なるべく早く抜け出すことが唯一の方法になると考えています。
但し、プロフェッショナルとして、自分自身の頭と腕を頼りに仕事をしていることが「全部、Noとはっきり言う」行動を実行する上での前提となります。そうでなければ、言ってはみたものの、露骨に干され、失意のままファームを去っていく結果も待っています。
一方で、自分自身の頭と腕を頼りに生きていけているのであれば、クライアントも所属ファームも好きなように選べます。その為、仮にNoとはっきり言った結果、干されたとしても痛くも痒くもありません。皆さんも、若くからNoとはっきりと言えるプロフェッショナルを目指すコンサルティング業界に興味を持たれたのであれば、是非挑戦してみる価値はあるかと思います。