はじめに
コンサルタントの働き方として、プロジェクト期間中は平日深夜、休日も働いているようなイメージを持たれている方は多いのかもしれません。確かに、そういう時期もあるかもしれませんが、昨今ではQoL(Quality of Life)向上、働き方改革といった業界全体での取り組みの結果、年々、昼夜を問わず働くような機会は減少しつつあると感じています。
採用に関わる立場としても、転職応募者からのQoLや働き方に対する質問を受ける機会、判断軸としてQoLや働き方に重きをおいている方が増加しているように感じます。その為、労働集約モデルからの脱却が道半ばの各コンサルティングファームは、QoLや働き方へのイニシアティブに盛んに取り組んでいます。
その為、総論の傾向は前述である事から、休日はしっかりと休めて、好きなように過ごしている方が増えているのではないでしょうか。但し、あくまで総論としての傾向である為、実態は少し異なるロジックで動いている部分もあります。本日は、更に解像度をあげたコンサルタントの実際の話について、お伝え出来ればと思います。
立場や状況により異なる過ごし方の傾向
実際のところ、休日の過ごし方は、
①ファーム内での役職/立場(=ファームから求められる期待に応える上での時間の使い方)
②プロジェクトにおける働き方の方針(=イシューを解く上でのプロジェクトマネージャーの考え方)
により、大きく変わる実感を持ちます。
まず、①のファーム内の役職/立場による違いです。
私、並びに周りを見ていてもジュニア時代の休日は、調査・分析・資料作成をひたすらに続ける人が少なくありませんでした。
夏の時期などは家で仕事をするよりも、会社の会議室の方が涼しく快適ですし、周りにも同じような方が多くいますので気分も滅入らずに取り組む事ができました。
休日はクライアントからの急な連絡もほぼないことから、仕事量が増えず、集中して作業にあたることができる貴重な時間でした。
一方で、シニアになるにつれ、プロジェクトでの価値の出し方が変化せざるを得なくなります。結果、プロジェクトへの関わり方も変化します。
例えば、
・提案やプロジェクト初期段階における全体のストーリーライン構築
・サマリーの構想/作成
・2~3枚のキースライド作成
・メンバーの成果物に対するレビュー
といった役割を担います。お気づきの通り、どっぷりと1つのプロジェクトに入るよりは、関わるプロジェクト数を増やし、要所要所で価値を出すことでファーム全体としての成長のレバレッジを効かせる動き方が求められている為です。
その為、休日はクライアントが抱えていそうなイシューを解く手掛かりのインプットが中心となります。
また、メンバーが提出する成果物のレビューに時間を割くようになります。尚、業務量がメンバーのキャパシティを上回った場合(=炎上しかけるタイミング)、すぐさま自分自身も手を動かしてリカバリーするバッファ期間としても位置付けて、過ごします。
つまり、PCの前に座る時間は減りますが、仕事のことが頭から離れずにいる状態となります。実際、自由に使える時間は増えるのですが、本当に心から楽しんでいるかどうか・・・という状態です。
尚、結婚しているコンサルタントの中には、結婚生活もプロジェクトの1つと位置付けている方もいました。その方は、休日の家事や家族サービスは、平日に家のことを任せてもらう為に必要なタスク、と言っておりました。尚、その方の結婚生活が今も続いているかは確かめておりませんが・・・。
2つ目の、プロジェクトにおける方針ですが、プロジェクトのイシューやタイプよりも、マネージャーの方針や力量のほうが、休日の過ごし方に影響を及ぼすことが多いという実感があります。
マネージャーによっては、絶対に休日に仕事を持ち込ませない方もいれば、休日を勘定に入れたプロジェクト設計をする方もいて、まさに千差万別です。
もっとも、プロジェクトマネジメント能力をしっかりと持たれるマネージャーに当たれるかは運の部分もありますので、対応の打ち手は少ないのが現実ではありますが・・・
最後に
これまでの話から分かる通り、ジュニアの場合は完全にオフとなるタイミング(=プロジェクトにアサインされていないタイミング)と、そうでないタイミングが交互に訪れることとなります。場合により、平日もさっさと仕事を終わらせて、遊びにいく方もおります。
一方で、シニアの場合は、PCの前に座っていないことから、あたかも休日はオフのように見えるのですが、完全に休めているタイミングはほぼありません。但し、これは事業会社における経営層に近い感覚かもしれません。
冒頭にQoLや働き方改革に取り組んでいるとお伝えしたにも関わらず、全体的にネガティブな印象を持たれたかもしれません。しかし、これは人生において何を大事にするかによって見え方が変わってくるのではないかと考えています。
良質で密度の高い経験を繰り返すと、他者よりも成長スピードは早まり、キャリアの実現に繋がり易くなると考えています。そのような意味で、若い内は、オン・オフのはっきりとした働き方の出来るコンサルティング業界は、非常に有力な選択肢の1つではないでしょうか。私自身も、振り返ってみると非常に有意義な時間を過ごせたなと思ってはいます。
皆さんも、そのような業界に興味を持たれたのであれば、是非挑戦してみる価値はあるかと思います。