はじめに
皆さんがコンサルタントの働き方として想像される通り、仕事として任される質、並びに量は共に他業界と比較してみると多い方かと思います。その為、自慢できることではありませんが、他の方よりも失敗の場数は多く踏んでいるのではないでしょうか。
例えば、
● 飛行機に乗り遅れる(出発時刻とフライト時間を読み間違えたのが原因)
● 打ち合わせ用の資料印刷が間に合わない(印刷時にステープル設定し、紙詰まりが頻発したことが原因)
などなどの可愛い(?)ようなレベルの失敗から、誤送信により特定クライアントの情報を他クライアントへ送付(自動でメールアドレスが入力されることが原因)といった、冷や汗が止まらなかったレベルの失敗まで、一晩では語りつくせないぐらい失敗経験を持っています。
そのような多種多様な失敗経験を通じて、私自身として思うことは、大半の失敗は未然に防ぐことができたのではないか?ということです。そのような思いから、今回は失敗経験の共有に留まらず、どのような観点や意識を持てば、失敗する確率が減っていくのかという点も含めて、お伝えできればと思います。
プロセス(仕事のOperation Excellence)により防げる失敗
"コンサルタントあるある"として、誰もが必ず1度は通る洗礼の様な失敗としては、
● 単位の未記載と間違え(数値やインパクトを読み間違える、ミスリードする)
● 出典の未記載(事実か意見なのかの判断がつかない)
● Apple to Appleで比較しなくてはいけないグラフ図のメモリのスケールが違う(ミスリードする)
● 編集中の資料が保存されてなかった(作業のやり直し)
といった、コンサルティング業務の基本的な型を抑えていないことで生じる失敗のタイプがあります。この手の業務の非効率性を生じさせるタイプの失敗は、仕事の型を研ぎ澄ませ、Operation Excellenceを追求し続けることで、ほぼ発生を未然に防ぐことができます。
一言のコミュニケーションにより防げる失敗
これは遠慮や過度な忖度によりたびたび発生するタイプの失敗ですが、
● マネージャーが作成した資料の中で、間違えの可能性がある箇所を見つけたものの、マネージャーが作成したものだから正しいと思い込み、検証もせずにそのままにした
あるいはその逆で、
● 間違った単語の使用方法をしていることに気づいて修正をしたが、実は、自分自身の知らない単語なだけであり、もともとの単語があっていた
といったタイプの失敗があります。
空パッケージにおける軸の取り方を含めて、実作業を進めていく上で違和感を覚えた場合には、クイックに口頭、又はメールを通じたコミュニケーションをとることで、このタイプの失敗はほぼ防ぐことができます。
覚悟により防げる失敗
これは実務上、未然に失敗を防ぐことがなかなか難しいタイプの失敗ですが、
● 打ち合わせで、何を言っているのかが理解できずに議事録が書けない
● クライアントとのミーティングの最中に寝てしまう
といった、プロとして立ち上がっていない際に発生しがちな失敗があります。
今となれば、その業界やテーマに関係する情報を十分にインプットした上で打ち合わせに参加する、打ち合わせの場で考え続けて常に価値を出すための発言の機会を狙う、といった行動をとれば防げる失敗ではないかと考えますが、当時は何度か失敗をした覚えがあります。
当然、何度も指摘を受けることになる為、頭では失敗しない為の打ち手や対応方法は分かってはいます。
説明の表現は難しいのですが、プロジェクトを"我がごと"として捉え、クライアントに対して価値提供する実感を覚えてからではないと、この手の失敗がなくなることはありませんでした。その為、諦めるわけではありませんが、気を付けていくしかない失敗ではあります。
最後に
色々と失敗経験をお伝えさせて頂きましたが、一方で、若い内に多種多様な失敗の場数を踏み、そのたびに学習のPDCAを回せたからこそ、今の慎重な自分自身が形成された気もします。もしかして、皆さんも同じような失敗経験を積んでいくと、多くのことが学べるかもしれません。
しかし、私も無責任に「なので、失敗を多くしなさい!」とは言えません。また、それではクライアントや関係者に迷惑をかけてしまうことになるでしょう。その為、今回、恥ずかしながら、お伝えさせて頂きました私の失敗経験の共有を通じて、皆さんのより良いキャリア形成、並びに成長に向けた転ばぬ先の杖になれれば幸いと思います。