はじめに
コンサルタントはハードワークであり休日を含めてプライベートの時間はほぼない、というイメージを持たれている方は多いのではないでしょうか。
しかし、実態はコンサルタントの忙しさはプロジェクト次第でかなり違ってくるというのが私の持論です。
このプロジェクト次第というのも2つの意味を持ちます。
1つは、プロジェクト自体が比較的忙しくない場合。これは、設定されたイシュー・スコープに起因するケースと、プロジェクトリーダーの力量に左右されるケースに分類されます。
そしてもう1つは、プロジェクトの開始又は終了時期でない場合です。これはどんなプロフィットでも、時期によって必ず発生するものだと思ってください。
(ただし、1か月に満たない短期プロジェクトは、開始から終了まで忙しい、例外のケースです)
そのため、比較的忙しくない時期は精力的に仕事以外の活動に趣味を持つコンサルタントが多いのが実際のところです。
私自身も若手のころは深夜にランニングや筋トレといった運動に励んでいました。
その頃の典型的な会社帰りのルーチンは、
1. 会社で残業をこなし、終電近くなったら一度最寄り駅まで移動
2. 近くのファミリーレストランで仕事
3. 家に帰り、30分ほど、ランニングや筋トレをする
といったものです。
当時取り組んでいた、あるスポーツの大会に向けたトレーニングでした。結果として大会で入賞できたのは良い思い出です。
大会の後は、運動に充てていた時間を使用してネットゲームをしたり、バーでウイスキーの勉強をしたりと趣味の時間に精を出し、結果として幅広く雑多な知識を身につけるようになってきました。
今回は、そのような雑多な知識がコンサルティングに役立った経験をお伝えできればと思っています。
雑多な知識が役立つのは提案活動中とコンサルティング中
経験的には、雑多な知識が役立つシチュエーションは大きく2つに分けられると考えています。
1つはコンサルティングが始まる前の提案活動中(ファームによりOI(Opportunity Identify)やBD(Business Development)等の呼び名はあります)、もう1つはコンサルティング中です。
提案活動中に役に立った経験
このタイミングでは雑多な知識の内容自体が価値を生むわけではありません。
クライアントと共通の話題を持つことを通じて、親近感を沸かせること自体に価値があります。
その結果、他社に先駆けてコンサルティングの提案機会を持てたり、提案に向けたちょっとした打ち合わせの機会を獲得したりできます。
皆さんもイメージが湧くかと思いますが、
今も昔もいちばん通じやすいのは
● ゴルフ
● 釣り
● キャンプ
に関する知識や経験です。これらは非常に大きな武器になります。
一方で、最近になって非常に貢献度の大きい話題になってきていると感じるのが料理の話題です。すっかり提案活動には欠かせない話題となりました。
その中でも特にウケが良いのは「カレー」の話題です。
スパイス選びから始まる料理に関する知識もあれば、(流行り廃りが早い業界でもあることから)最近のお勧め店の情報あり、カレーの歴史に関する豆知識あり・・・と裾野の広い会話なのが利点です。
私は実施していないのですが、知り合いのコンサルタントではカレーパーティーを開いて、公私にわたって密な関係を築いていた方もいます。
プロジェクト中に役立った経験
一方、プロジェクト中のタイミングでは雑多な知識の内容自体が価値を生みます。
とくに、新規事業を検討するプロジェクトにおいて、顧客のアンメットニーズの発見やマーケットに対する見方の転換をする際には、この雑多な知識があると非常に役立ちます。
たとえば、現実のプロジェクトでもベンチマーク調査を実施するかと思います。対象市場における先行企業やグローバルプレイヤー、並びにバリューチェーン又やカスタマーエクスペリエンスにおける近接領域でのプレイヤーはどのプロジェクトでも調査対象となります。
さらにTier1のコンサルタントは、アナロジーが効く業界のプレイヤーを対象としてリストアップし、そこから意味合いを導出します。
この「アナロジーを効く業界」を考える際に、雑多な知識が非常に役立ちます。
また、これは特殊なケースかもしれませんが、海外現地調査やクロスボーダーM&Aの交渉時にクライアントと共に出張する機会があります。
出張中、仕事の隙間に現地でクライアントと一緒に食事やお土産を買いに行く機会があります。
その際、雑多な知識を生かした会話ができると、非常に場が盛り上がり、印象も良くなるのです。「外国のことはよくわかりません」では済まないと考えたほうが良いでしょう。
加えて、コンサルティングにおける海外現地出張での移動は、ほぼ車です。
そこで沈黙が続くと非常に気まずい雰囲気になってしまうので、そこでも雑多な知識を生かして楽しい会話ができれば、大きなアドバンテージになると思います。
最後に
クライアントと話をしていると、コンサルタントは「ビジネスにおける特定領域では非常に専門的な知見を持つもののプライベートではなんの面白みもないつまらない人たち」というようなイメージを持たれていると気づくことがあります。
そのため、雑多な知識が意外性を生み、コンサルティングのアウトプットと同じように評価されることが稀にありました。
皆さんも、もしコンサルティング業界を目指される場合は、色々と好奇心のままに雑多な知識を吸収されると、必ず役に立つかと思います。
なぜなら、好奇心を持ち続けられることもコンサルタントにとっては大事な資質だからです。
ある意味、そのような観点で同時に自身の適性を見極められるのも、一石二鳥で良いかもしれません。