はじめに
他事業においてキャリアに限界を感じた人がコンサルティング業界を目指すケースは少ない事例ではありません。そして、転職し活躍を出来た方もいれば、出来なかった方もいるのも事実です。
この活躍出来た方と出来なかった方の違いはどこにあるのでしょうか。突き詰めて考えると個々人の事情によるのですが、一方である程度の傾向が存在していることも確かです。そして、その傾向を見極める1つの要素として「他業界でのキャリアに限界を感じた理由」(=つまり、転職を考えることになった動機)があると考えています。
本日は、この限界を感じた理由の大まかな傾向をお伝えすることを通じて、皆さんがコンサルティング業界への転職を勧められる人材に当てはまりそうかを考える一助になればと思います。
キャリアに限界を感じる理由
これまでのコンサルティングの中途採用を見てきた経験からすると、4パターン程度に集約が出来るのではないでしょうか。但し、その4パターンは複合的なものとして存在しています。程度として、どのパターンの理由が、その応募者にとって主なのかという点も面接では見極めていることが多いです。
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現在のその応募者の能力的な理由で、キャリアに限界を感じているパターンです。「私はこの業界で能力的な理由で活躍は出来ないのでコンサルティング業界を志望します」と言う方はおりませんが、転職理由を語る端々に生じるネガティブな発言と、発言間の矛盾、そしてケース面談を通じて透けて見えてきます。この理由でキャリアに限界を感じている場合は、間違いなく活躍できることはありませんし、転職はお勧めしません。蛇足ですが、実際のところ面接でほぼ落ちることが多いかと思いますが、面接基準が緩くなる拡大期のファームに採用されるケースがあります。その為、ラテラル採用時には注意をして面接をしています。
[2]
所属業界や会社の水に合わないという理由で、キャリアに限界を感じているパターンです。マネジメントやコミュニケーションスタイルといったように、新卒入社の際には実際の"程度"として分かりにくい部分です。以前と比較してインターネットで情報取得をし易い環境にあるとは言え、見聞きした内容と実際の経験では差が生じます。この理由でキャリアに限界を感じている場合も、コンサルティング業界に転職をしてもほぼ活躍出来ることはありません。それはクライアントへの価値提供の際に、ソフトな文化・コミュニケーション面に対する機微を感じ取れるかは必要能力になるからです。このような方にも転職はお勧めしません。蛇足ですが、新卒でコンサルティング業界に入った方は、ソフト面での機微に疎い方が多いので、逆に他業界へ転職しても活躍し切れないようにも見受けられます。
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目指す理想のキャリアと現実の描かれ方にギャップを感じているという理由で、キャリアに限界を感じているパターンです。海外で活躍したい、自分で事業を始めたい、もっとスキルアップをしたい、もっと収入を増やしたい、等の様々な面でのギャップが理由として挙げられます。共通するのが、今も活躍し、この延長線上にいたとしても一定の"成功"が見えている中、更に一段上のチャレンジをしたいという考え方です。面接時に語られる転職理由の大部分を占めており、この理由が本当かどうかを見極めるように面接をしています。具体的な経験・エピソードに裏打ちされ、更に既にコミットに向けて事前の学習や努力をしている方は、ほぼ間違いなく活躍をしています。そして、そのような方にはコンサルティング業界への転職をお勧めします。
[4]
所属業界や会社の未来が見えないという理由で、キャリアに限界を感じているパターンです。デジタル等の新技術によりこれ迄のビジネスモデルが通用しない業界、グローバル化に伴う競合との競争激化により日本企業が通用しなくなる業界、等の様々な理由がありますが、その業界で頑張ってもどうしようもない場合があります。最近も特定の業界からの応募が増えていますが、業界の先を読んで先んじて頑張れる業界を能動的に探す動きが出来る方は、コンサルティング業界で活躍出来る可能性がありますのでお勧めします。一方で、求める最低限のケイパビリティに満たない方も多く、これ迄の過ごし方はよくよく面接でチェックされることになります。
最後に
実は4パターンは「現在×将来」「内部(自分)×外部」の軸で大まかに分類しています。そして、傾向としては将来に向けた前広な志向を持った転職を志す方には、転職をお勧めをしています。
皆さんは、どのパターンの傾向が強そうでしょうか。もし当てはまる方がおりましたら、是非積極的にコンサルティング業界への転職にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。