はじめに
「コンサルタントに向いている人」の"向いている"を再考すると、色々な軸で定義出来るとは思いますが、
1軸目:得意 - 不得意
2軸目:楽しめる - 楽しめない
でマトリクスをとった際に、コンサルティングワークが「得意であり、楽しんで出来る人」が、一般的には"向いている"人に分類されているのではないでしょうか。
不得意で楽しめない人が向いていないのは当然のことですが(論理的思考や分析すること、等が)得意だけど楽しめない人は日々をつまらなく過ごすことになる可能性がありますし、また、得意ではないが楽しめる人は、クライアントにとって迷惑な存在になるので業界を去ることになります。
コンサルティング業界を見ていると、この"向いている"人(=得意であり、楽しんで出来る人)はクライアントへ付加価値を提供することが出来ており、そして評価される傾向にあります。今回、皆さんが、このような"向いている"人に当てはまりそうか否かを考える一助になればと思い、その特徴をお伝え出来ればと思います。
"向いている"人の3つの特徴
"向いている"人の特徴は戦略系や業務系といった専門性により異なることはないと経験則的には感じています。また、経験則による考えであることから人により異なる特徴を挙げられるかもしれません。その特徴を3つ挙げるとすると、
①仕事を通じてでのみでしか、自身の価値や"やりがい"を感じにくい人
②粘り強い人
③乗っけることが出来る人
が、"向いている"人として整理が出来るのではないかと考えています。以下にそれぞれの特徴についての補足をしていきたいと思います。
①についてとなります。最近はコンサルティング業界が確立されてきたことから、コンサルティング業界へ応募は、優秀な大学や有名な企業からの方がほとんどとなります。結果、以前と比較して社会貢献や起業といった将来のキャリアに向けてコンサルタントになるという意識より、社会的に認知され報酬も良く、比較的安定的な職業としてコンサルタントになるという方が増えています。そのため、"我"の強い方は少なくなっており、よりサービス業としてクライアントに向き合う素質を持つ人は増えてきているとも感じます。
背景として、コンサルティングの経験や手法も一定の蓄積がされたこととも相まって、以前の"我"の強い人が一定のカリスマ性や剛腕な手法で成り立たせていた業界ではなくなったという事情もあります。その結果、少し極端な言い方をすると(あくまで過去との比較となりますが、)没個性の方(=仕事を通じてでのみでしか、自身の価値や"やりがい"を感じにくい人)が業界に"向いている"人になってきていると考えています。
②についてとなります。言葉通りの意味なので①ほどの補足はなくても良いかと思いますが、とにかく考え抜き、そしてプロジェクトの進め方やコンテンツの細部にまで手を抜かないで出来る方が"向いている"人ではないかと考えています。
また、以前の記事で少しだけ触れた、ファームやコンサルタントにより異なるクライアントへの価値提供の出し方(="流派")の基盤的な資質にも繋がりますが、この粘り強いという特徴の強い方は、
・一定の枠組み内で細部まで見ることで、他との差異を発見し価値へ繋げる観点分割派
・一定の枠組みを作る上でマクロ動向から一見関係のなさそうな事象を見て繋げて考えることで、あたかも未来予知のようなことを行い価値へ繋げる変曲点導出派
として向いているので、そのような戦略コンサルタントになれるではないでしょうか。
③についてとなります。新たなインプット(調査結果、書籍、会議での直前の発言、等)や刻々と変わる状況を把握・咀嚼し、自らの考えを乗っけることが出来る方が"向いている"人ではないかと考えています。言い換えると、イシューに対して何を考えればよいかという目的意識の下、常にアンテナを張り、関連しそうな情報を瞬時に判断の上で既存のアイデアを繋ぎ合わせて、更に新しい何かを生み出していく人となります。こう書くと一握りの優秀な人しか出来なそうではあります。しかし、実際は水準の高低はあるにせよ誰しもが日常の会話から行っていることではあります。
なお、この乗っけることが出来る特徴の強い人は、
・新たな全体像(世界観)を定義し、定義した全体像(世界観)をどう見ると、クライアントの成長に繋がるのかを価値に繋げる世界観再定義派
・緻密なロジックに裏打ちされたピラミッドストラクチャーを積み上げた後、その頂上にある結論から一歩ジャンプすることで新たな価値へ繋げる論理頂上飛躍派
として向いているので、そのような戦略コンサルタントになれるではないでしょうか。
最後に
今回はコンサルタントに"向いている"人の特徴を、私の経験則からではありますが3つお伝えしました。1つでも当てははまる方は、是非コンサルティング業界へ挑戦してみる価値はあるかと思います。また、当てはまらない方も学習可能な特徴ではありますのであきらめずにチャレンジをしてみる価値はあるかと思います。