はじめに
コンサルタントと言ってもファーム内での役職により業務内容は異なります。一般的に最もイメージし易い若手のコンサルタントはプロジェクトを中心に1週間を過ごしていきます。
マネージャーもプロジェクト中心の生活とはなりますが、ファームにより色の違いは出てきているのではないでしょうか。例えばプロジェクト中心であったとしても、シングルアサインか複数アサインかにより働き方として異なります。また、プロジェクト以外のマーケティングや提案活動、ファームの運営管理業務に携わる場合もあります。
そしてシニアの立場により近くなると、プロジェクトは1週間の過ごし方の中心とはなりません。プロジェクト体制にはマネージャークラスがアサインされ、その方を中心に推進されています。そして、シニアはクライアントのカウンターパートとして、深いエンゲージメント活動や付加価値創出に関する討議やアドバイスを行う立場へ変化をしていきます。また、ファーム自体の価値を高める経営活動が軸足となります。
余談ですが、2010年代前半ぐらいからのコンサルティングファームの拡大に伴い、シニア間でも幅が出始めています。例えば新人パートナーとシニアパートナーといった様に区分し、ファーム経営への携わり方も、またその実力もばらつきがあるのが実態ではないでしょうか。
このような概観をおさえた上で、コンサルティングファームへ挑戦される方にとって興味のある、私自身が若かった頃(10年程度前)のコンサルタントの1週間と、あまり世の中には出てこないかもしれないマネージャー時代(5年以内)の1週間の過ごし方の現実を皆さんにお伝えしたいと思います。
若手コンサルタントの1週間
当時においては比較的普通に分類される過ごし方を紹介したいと思います。現在は働き方改革が進み、またコンサルティング業務の内容も徐々に変化はしているので、もう少しバランスの取れた働き方をされているかとは思います。
月曜日:
今週、プロジェクトが1つ終了することから、朝から最終報告に向けた資料作成を実施。このプロジェクトでは、お昼をしっかりと外で食べる方針のマネージャーがマネジメントをしていたので、お昼の1時間以外は資料を作成。
夜9時からの内部レビューに向けた資料作成をする中、夕方に部門を預かるパートナーから次プロジェクトのアサインが決定したとの連絡が来る。同時に、明日朝に次プロジェクトのマネージャーからブリーフィングを受ける面談のインビテーションと、提案書や関連資料が大量に送られてきた。明日までに読み込むことが決定。
夜9時からのレビューの後、次のタッチポイントまでのタスクと方向性を討議し、夜11頃に退社。帰宅後、資料をざっと流し読みし、2時ごろに就寝。
火曜日:
朝から次プロジェクトのマネージャーと打ち合わせを1時間程実施。キックオフに向けたリサーチと資料作成の宿題が発生。余談ですが、プロジェクトの終了時期と次のプロジェクトの開始時期が被るケースは現実問題として良くある"コンサルあるある"ではないでしょうか。
その後、現プロジェクトのインターナルでのタッチポイントに向けて資料を作成。マネージャークラスが他クライアントとの打ち合わせから戻ってきて一息つくぐらいのタイミングとなる夜7時からインターナルを実施。月曜と同様に次のタッチポイントまでのタスクと方向性を討議。
その後、次プロジェクトのリサーチ設計と必要情報を整理の上で帰宅前にリサーチアシスタントへメールで依頼。夜11頃に退社。
水曜日:
午前中は月曜と同様に過ごし、午後から木曜の最終報告に向けた最終レビューを開始。当時のプロジェクトでは最終報告書を印刷の上で、誤字脱字の有無を含めて細かく打ち合わせを実施。その後、翌日の最終報告に向けた印刷依頼と製本をアシスタントへ依頼。
一息つく間もなく、次プロジェクトの準備として合間合間の時間でリサーチアシスタントからのリサーチ内容をチェックし、適宜電話でフィードバックの上で出揃ってきた情報を手元で整理。別途、次プロジェクトのマネージャーから送付されてきた空パッケージ(メッセージとボディのイメージが入ったPPT)を確認の上で、資料化を開始。なんとか夜8時からのインターナルまでに間に合わせて、打ち合わせを実施。その後、次のタッチポイントまでのタスクと方向性を討議し、夜11頃に退社。
木曜日:
午前中は次プロジェクトに向けた準備を行い、午後一で現プロジェクトの最終報告へ移動。2時間ほどの最終報告と質疑を終え、最後に次フェーズの提案書を参考として説明。感触も良く、シームレスにプロジェクトとプロジェクトの期間が空かずに実施されることはなさそうであるが、別途、討議の時間をその場で確保して、最終報告は無事に終了。
戻り次第、次プロジェクトのインターナルに向けて資料作成を行い、夜8時のインターナルを実施し、キックオフ資料を最終化。資料ボリュームも部数も少なかったことから、その場で印刷して金曜のキックオフ準備を完了し、夜11時ごろに退社。余談ですが、ほとんどのプロジェクトでは定期的な時間にインターナルをセットし、進捗を確認の上で、方向性を修正する方式が取られます。この次プロジェクトにおいては夜8時がインターナルの定例としてセットされていました。
金曜日:
朝から次プロジェクトのクライアント先へ直行し打ち合わせを実施。2時間ほど、プロジェクトの目的、アプローチ、スコープ、役割分担、そして最終報告日までの会議日程をすり合わせて終了。
オフィスに戻り次第、打ち合わせの議事メモについてサンドイッチを食べつつ、作成し、内部レビューの後、クライアントへ送付。
議事メモ作成の途中で打ち合わせのラップアップをインターナルで実施し、次のタッチポイントまでのタスクと方向性を討議。その後、次インターナルに向けた資料作成や、金曜で終了する現プロジェクトにおける評価シートへ自己評価を記入し、現プロジェクトのマネージャーへフィードバックの打ち合わせを依頼。最終的には、いつも通り夜11時ごろに退社。
最後に
もともと、「自身が若かった頃(10年程度前)のコンサルタントの1週間と、あまり世の中には出てこないかもしれないマネージャー時代(5年以内)の1週間の過ごし方」をお伝えする予定でしたが、本編はコンサルタントの1週間のみの紹介となりました。非常に地味ではありますが、これがコンサルタントの現実でもあります。華々しいイメージをお持ちかもしれませんが、このような下積みを重ねて、徐々に花開いていくのがコンサルタントとなります。
常駐型やプロジェクトの途中でインタビューが入り始めると、更に少し違った過ごし方になるのですが、それはまた機会があれば紹介したいと思います。余談ですが、私自身は先週から始まった、海外の買収候補先企業の事業性評価のプロジェクトへシニア的な立場で関わっているのですが、深夜の2時に海外の方へのインタビューがセットされていました。時差があると深夜に平気でセットしているのは今も変わらない現実ではあります。。。
次回はマネージャー時代の過ごし方を紹介出来ればと思いますが、本稿と併せて皆さんのキャリア選択の一助になればと思います。