はじめに
前回(「あるコンサルタントの1週間」①)、コンサルティングファームへ挑戦される方にとってより現実感を持って受け止められやすいコンサルタントの1週間をお伝えしました。今回は、前回お伝えしきれなかったマネージャーの1週間の過ごし方について、その一端を皆さんにお伝えしたいと思います。
マネージャーの1週間
月曜日:
クライアントの始業時間前からマネージャー以上が参加する会社の方針やアサインメント状況、BD(Business Development。所謂、営業)に関するインターナルを実施。コンサルティングファームでは大抵マネージャー以上になると月1回の程度の頻度で、このような会議が開催される。
極力、クライアントとの打ち合わせが入らないように調整するものの、基本はクライアント都合に合わせて欠席するマネージャーもちらほら存在。また、海外・地方へ出張するマネージャーは電話により参加しており、私も10時からクライアントとの定例の打ち合わせ(テーマ:全社トランスフォーメーション)があるため、移動時間を考えて、朝の8時からクライアントオフィスの近くにあるカフェから電話で参加。
その後、10時より打ち合わせを実施した後にオフィスへ戻り、その移動時間やオフィスでメール返信や資料を作成。
13時からは、1年前に立案した事業戦略における外部環境をアップデートしたいというクライアントの問い合わせを受けていたので、その打ち合わせをクライアントオフィスで実施。イシューとアップデートの方針を討議の上で、今週末を目途に提案書を作成する方向で合意。
その後、オフィスに戻り外注予定の研修会社との研修内容の打ち合わせに途中参加。方向性を合意し、次打ち合わせの期日を決めて終了。
その後、たまったメールの返信や資料を作成し、タクシーで移動し16時からプロジェクト(テーマ:事業ポートフォリオ再構築)の定例の打ち合わせに参加。終了後にメンバーとラップアップを実施し、タッチポイントとイシューの再整理を実施。
19時より昼に実施した研修会社との打ち合わせについてのラップアップを実施し、20時から中途採用の面接官を担当。その後、深夜までメール返信や資料作成を実施しタクシーで帰宅。
火曜日:
9時からクライアントオフィスで打ち合わせを実施。月曜午前に実施した全社トランスフォーメーションの分科会の位置付けとなり、経営企画部と午前中いっぱいをかけて討議の上で、リスクへの対応方針を確定。
午後はメールの返信や資料を作成し、16時から全社トランスフォーメーション案件の継続提案に関してインターナルを実施。
その後、予定がなかったのでメールの返信や資料を作成していると、19時ぐらいに以前より付き合いのあるクライアントから、買収案件の支援の可能性を相談したいので、明日に打ち合わせが出来ないかとの連絡を受ける。目的と概要をヒアリングし、急遽、当該分野に詳しい社内メンバーへ連絡を取り、翌日13時からの初回討議に向けた資料を作成。深夜にタクシーで帰宅。
水曜日:
9時から、ある提案中の案件に関する意見を求められたのでインターナルに参加。マネージャー以上になると、インサイトや特定業界や機能に関する知見を求められることが多くなり、このように他マネージャー以上とのコラボレーションの機会が増えてきます。
10時から昨日夜に作成していた13時からの初回討議の資料の見直しとメールの返信等の各種調整や指示をして過ごす。
13時からクライアントから買収案件の支援可能性に関する討議を実施し、知見がありそうだと認められて正式に提案依頼を受ける。提案のプレゼンテーション日程は来週火曜となり、日程調整時の情報から推測すると複数会社とのコンペになる模様。
提案においては長い付き合いの中で専門性が明確であり、且つ案件テーマがハマる場合はエクスクルーシブに提案機会を貰えますが、そうでない場合は複数のファームとのコンペになることが多くなります。
また、この時点で気付いたかもしれませんが、マネージャー以上になるとランチを食べないで過ごす方もちらほら増え始めます。
その後、オフィスへ戻りラップアップの後、16時から全社トランスフォーメーション案件に関わる外部システム会社との打ち合わせを実施。その後は予定がなかったのでメールの返信や資料を作成し、夜8時ごろに帰宅。諸々をすませた後、10時からメールを確認し、返信や翌日の準備をし、0時に就寝。
木曜日:
本日は打ち合わせの予定を入れずにメールの返信や各種資料のレビューや作成を実施。マネージャー以上になると、意図的に打ち合わせを入れない日程を設定し、たまった作業への対応や長期視点での仕込みに時間を使う方が出てきます。夜8時ごろに帰宅し、木曜と同様に0時に就寝。
金曜日:
朝からメール対応等をしつつ、10時から中途採用面接を実施。その後、過去のクライアントとランチミーティングを実施し、13時から全社トランスフォーメーション案件の次週に向けた討議をクライアントと実施。
15時半から別の会社へタクシーで移動し、前者トランスフォーメーション案件に関する最終提案をクライアントの常務へ実施。事前に資料送付をしていたため、中身を読んでいたとのことで、プレゼンテーションをする前に、ほぼ口頭での内示を貰う。
その後、オフィスへタクシーで戻り、メールの返信や資料作成を実施し、19時からクライアントとの会食があるために移動。3次会までお付き合いし、深夜に帰宅。
最後に
これまであまり表に出ていなかったマネージャー以上の生々しい現実をお伝え出来たのではないでしょうか。過去に比較して忙しくないと言われるものの、各種リサーチやアシスタントのインフラが整備されてきているため、時間当たりの仕事の密度は非常に高くなっているかと思います。また、マネージャー以上の場合はコンサルタントとは異なり、土曜・日曜も仕事をしていることが多くなります(今回は省きました)。本稿も皆さんのキャリア選択の一助になればと思います。