はじめに
コンサルティング業界も需要に対するコンサルタント不足の状況はまだまだ続きそうです。ただし、ファームの中で分かれている専門領域別(産業別、コンピテンシー別、等)での需給ギャップまで見ていくと、現在も仕事があまりない専門領域と忙しすぎて仕事を断っている組織に明確に分かれています。
例えば、自動車産業(最近だとモビリティと呼称するファームは増えています)向けのコンサルティングも4大監査法人系のファーム間では、業界に強いシニアメンバーがいるか否かで活況度合いは異なります。
そのため、アサインされない状態ってあるの?、昔の話でしょ?と捉えられる方が多いかと思いますが、実態としては現在もアサインされない状況になる可能性は存在していますので、本日はその対処法についてお伝えできればと思います。
アサインされていない理由①所属組織に起因する場合
アサインされない状況になる理由は、大きく2つあります。1つ目は先ほどから述べている所属するファームの業界内でのポジション、或いはファーム内で所属する専門領域別の組織やチームの業界内でのポジションにより、そもそもとしてアサインされるプロジェクトが存在しない場合です。
所属組織がこのような状況に置かれている場合、早急に、そして人間関係には気をつけた上で他ファームへのラテラルでの転職、または社内異動することをお勧めしています。プロジェクトを受注出来ない理由を突き詰めると、その専門領域をリードするパートナーやシニアメンバーが業界で評価されていない理由に収束します。そして、この状況が改善することはほぼありません。なぜならプロジェクト経験を積み重ねることでインサイトも生まれるし、実績としても評価されることでビジビリティも高まるからです。
この状況の結末はここ数十年変わらずに、どのファームでも見られる光景です。その専門領域をリードするパートナーやシニアメンバーがいなくなり、組織は吸収または解散、あるいは他ファームから鳴り物入りでパートナーを採用して立て直していくお馴染みの光景です。
所属組織へのリテンションを目的として、提案活動を手伝って色々と見識を広げようであったり、研修で学習して成長しようであったり、色々なメリットになりそうなことを提案されます。しかし、プロジェクトを通じてのみでしか本質的に成長しません。また、提案活動や研修はプロジェクトにアサインされながらも、やる気次第で実施出来ます。並行して取り組んだ方が時間効率は高いことから、色々なメリットのありそうな提案も、その提案内容はプロジェクトにアサインされながら出来るか否かで判断した方が良いと考えています。
アサインされていない理由②自身に起因する場合
2つ目は自身に起因した理由でアサインされない状況が続く場合です。特に自身の能力が理由の場合は、1-2年の期間をかけてその評価を解消させていくことが必要です。言い換えると、自身の能力を理由に低い評価をつけられ、アサインされない状態になったとしても、成長をすれば短期間でも評価を変えることが出来る業界でもあります。
それは、プロジェクトテーマとの相性や、クライアントやチーミングといった対人関係といったように、一人のコンサルタントの能力以外の事象も複合的に合わさっての結果だと、マネージャーはそれぞれの経験を通じて理解をしているからです。
なお、所属組織でこのような能力を理由にアサインされなくなった場合に他ファームへのラテラルでの転職という対処法もあります。つまり、心機一転して活躍出来るファームを探すアプローチです。私としてはこの対処法はあまりお勧めはしていません。それは、エージェントを通した転職活動であったとしても、最終的には転職先のファームからリファレンスをとられる可能性が高いからです。
人材の流動性の高いコンサルティング業界では、シニアになればなる程、他ファームの人と何人か密に繋がっています。そのため、ファームが変わったとしてもリファレンスを通じて評判はついてまわる可能性は高くなります。そのため、転職先よりも慣れ親しんだ環境で、評判を覆してからの転職の方が可能性が開けるのではないかと考えています。
最後に
以前よりも、所属組織や自身に起因してアサインされない状態になる機会は減ってきています。また、自身に起因する場合であっても、そのアサインされない状態になった時に与えられる猶予も増えてきています。
このようにコンサルティング業界も刻々と変わりつつあります。一般的なイメージのみならず、最近のコンサルティング業界の情報を把握していくことが、もしコンサルティング業界を目指すのであれば必要ではないでしょうか。