はじめに
以前と比較するとコンサルティング業界の総労働時間は減少しています。また、イシューのすそ野が広がったことにより、クライアントからのプレッシャーもプロジェクトによってばらつきが生じてきました。その結果、以前よりキャパシティを超えそうになっているコンサルタントを見かけることは減ってきた印象はあります。
10年以上前、私が若手コンサルタントとして働いていた時は、「指摘されすぎて片耳が聞こえなくなった(今は治っています)」、「徹夜続きで倒れて救急車を呼ばれた」などとキャパシティ超えで不調をきたしていたコンサルタントが散見されました。その時代のコンサルタントは、バイネームであいつのエピソードでしょと言えるのではないでしょうか。もちろん、このような事態を肯定するものではありませんし、現在のコンサルティング業界のホワイト化は歓迎はしています。
キャパオーバーはどこで散見されるか?
そのような状況であるため、アサインされすぎてキャパシティを超えそうなコンサルティングファームがあるかと言われると、コンサルティングファーム単位では見かけなくなってきているが、各ファームのマネージャー以上の役職では一部散見されるという状況です。
以前のコンサルティング業界では、マネージャー以上を1つのプロジェクトのみにアサインするか、2つ以上のプロジェクトにアサインするかはファームによって明確に方針が異なっていました。最近では徐々にアサインプロジェクトは1つという方向に業界では統一されつつあります。しかし、過渡期として複数プロジェクトにアサインされているマネージャーがいます。このマネージャー達はキャパオーバーになる傾向が多いという状況にあるのではないでしょうか。背景として、マネージャー未満の労働時間の総量規制や業界未経験者が増大してきたことに起因して、タスクを巻き取って対応しなければならない現実が存在するためです。
なお、コンサルタント業界に分類されることも多いのですが、総研系やそれに類する期待役割のファームは今も昔も変わらずに複数プロジェクトへのアサインというのが多くなっています。マネージャー未満も複数プロジェクトアサインという状況も聞きます。それは、クライアントへの請求フィー見合いでの期待水準や、得意とするイシューの種類といったビジネスモデルに根差す理由であるため、今後もその複数アサインの傾向は変わらないのではないでしょうか。ただし、複数アサインされていたとしてもキャパオーバーを超えて辛いといった話はあまり聞くことはありません。あくまでビジネスモデルの違いであり、キャパオーバーの所在とは別議論となります。
キャパオーバーへの対処法
それでは、キャパシティを超えそうな状態が続いた際の対処法はどうなるでしょうか。基本は、経営から期待されるプロジェクトと自身で取り組みたいプロジェクトを見極めて調整をしていく、ということになります。もちろんコンサルティングファームの経営の立場としては、利益率が良い、長期にわたって関係構築が出来そう、社内外でエポックメイキングになりそうな象徴になりそうといったプロジェクトをマネージャー以上へ担当していくことを期待しています。
一方、コンサルタントである以上はマネージャー以上の方自身にも取り組みたいイシューやクライアントが存在します。不思議なことに自身で取り組みたいイシューやクライアントの場合、キャパシティを超えたとしても、なんとかなります。そのため、自身で取り組みたいことを明確にして、主張することが大事になります。以前より、マネージャー以上になれる人材は貴重な人材です。感覚を掴みにくいかもしれませんが、人材が競争力の源泉と言えるコンサルティングファームとしては、可能な限り優秀な人材の意思はかなえるべく寄り添ってくれます。
なお、マネージャー以上になれる人材は貴重と言いましたが、最近はファームによっては様相は異なります。ファームによっては1軍から3軍ぐらいを分けてマネジメントしているところもありますので、マネージャー以上であっても必ずしも意思がかなえられるとは限らないことは伝えておきます。
最後に
現在、特に戦略ファームにおいては役職が上がれば上がるほど忙しくなる、という状況です。パートナーは"あがり"の役職であるといった時代ではなくなっています。このように上がれば上がるほど、やりがいも増えますが忙しくなる業界に興味がある方は、ぜひチャレンジしてはいかがでしょうか。