はじめに
中小企業からコンサルティング業界へ転職する方と面接する事例は意外と多くありません。
それは、コンサルタントが一次面接で会う候補者は既に中途採用エージェントにスクリーニングされているためです。
現在のコンサルティング業界における中途採用はエージェント経由での応募がほとんどとなっています。
そのため、エージェントは書類応募時点で一定のスクリーニングを実施し、候補者をファームへ紹介します。つまり、中途採用エージェントがこの候補者を紹介しても通らないと思われると面接どころか書類応募にもたどり着かないのが現在のコンサルティング業界での中途採用の実態です。
ただし、戦略ファームに近くなればなるほど基準のバーが高くなりますので、戦略ファーム以外であれば、意外と中小企業出身の方も多くいらっしゃる印象は持ちます。
少し蛇足ですが、中途採用エージェントを通した採用をするとファームはエージェントへ仲介料を支払います。そして、この仲介料を考慮したチャージレートに基づきクライアントへのコンサルティングフィーを請求するため、ファームが大きくなればなるほど少しファーム経営としては悩ましい事態に陥ります。
サイズ維持のために、ますますエージェント経由での採用を増やさざるを得ず、また未経験の候補者を一定程度採用する必要が生じます。
結果、品質は下がり、また低下した品質に見合うフィーでの請求は出来ずに、評判を落とす悪いサイクルに入っていくからです。当然、変動費に占めるエージェントフィーは何か月か稼働すれば回収できるのですが、悪いサイクルに入った瞬間に非常に気になる項目です。
さて、本論に戻ると、そのようなプロセスにおいても中小企業の方でもエージェント経由で書類応募される方もいます。その方がどういう方々かを紹介した上で、どうすればなれるかをお伝えしたいと思います。
中小企業出身の候補者とは
主に中小企業出身で面接にお会いする方は3タイプいます。もちろん、ここで挙げる3タイプ以外の方も多くなりますが、ほとんどはこの3タイプのどれかに当てはまる印象です。
1つ目のタイプは中小企業においてコンサルティング業務に従事する方です。
大手コンサルタントファーム出身者の社長を含む何人かが独立して立ち上げた企業に所属される方が多いと思います。
コンサルティングを行う中小企業は比較的に他中小企業からの入社はし易い傾向にあります。そのため、一度、そのような会社に転職し一定のお作法を身に着けて大手のコンサルティングファームへ転職するといったルートがあります。
ただし、転職が成功したとしても、そこからがチャレンジングだと思った方が良いです。同じコンサルティングといってもコンサルティングのテーマや期待値、品質や働き方は全く違うという心構えでいた方が良いとは思います。
2つ目のタイプは、書面上で見ても分かり易く評価しやすいポイントを持っていることです。
例えば、英語といったビジネスレベルでの言語能力や海外での就業や起業の経験といったものです。
個人的に珍しいと思って目を引いたのはMENSA(人口上位2%のIQを有する方々の交流を目的とする非営利団体)に所属している方でした。少しミーハー気分もありましたがMENSA所属と初見の中小企業の名前とのギャップで面接をさせて頂いた記憶があります。
このルートでの転職を目指す場合、英語を身に着けてビジネスシーンで活用する経験を積んでいくことが王道ではないでしょうか。
3つ目のタイプは、知り合いからの紹介です。
つまり、既にファームに所属する友人がいれば、その方のリファーラル採用のルートで転職することです。
リファーラル採用は優秀な知り合いを紹介という制度ですので、自身が優秀だと、その友人に思われていれば手っ取り早いルートとなります。
最後に
実は私も20人ぐらいの中小企業からコンサルティングファームへ転職しております。
その時は1つ目の中小企業でのコンサルティング経験と、3つ目の知り合いのリファーラル採用の合わせ技で転職が実現しました。
その後は少し苦労しましたが、転職先のファームで最速でプロモーションし、最年少での役職を更新していきました。
そのため、企業サイズの差と能力は紐づかないとは理解しています。しかし、ファームでの採用責任者の立場になると、確率論として一定以上の能力がある方はやはり今の日本では大企業に所属することが分かり、その結果、効率を考えて中小企業に所属される方にとっては狭き門となる選考をせざるを得ないというのが現実です。
しかし、そういった状況であっても優秀でやる気のある方がいらっしゃることも理解しているので、上手く転職活動を乗り切って頂けると嬉しい限りです。