はじめに
何十年間もの間、新たなにコンサルティング業界に転職し、残る方、去る方を見てきました。
最近は入社後にオンボーディングの位置づけでトレーニング期間が厚めにとられていますが、コンサルタントとして長く勤務し続けられるかどうかの最初の見極めポイントはそのトレーニング期間の終了後、プロジェクトに入って1か月続くかどうかだと考えています。
その後、1か月続けられる方のほとんどは3か月続けられ、3か月続けられる方のほとんどは1年続いて在籍していられることが多いです。もちろん、その間にファームから向いてないと促される方もいますが、そうでない限りは、そのような傾向を持ちます。
コンサルタントとして働き続けられている人たちと話した結果、入社からの時間ごとに乗り越えるべき課題が見えてきました。
まず、1ヶ月残るのに必要なのは、たとえ何が起きているかよく分からず忙しい日々を送りながらもその時点で働き方に忌避感を覚えないことです。
次に、3ヶ月残るためにはコンサルタントとしての働き方に慣れて成長やプロジェクトの面白さを感じ始められることが必要です。
そして、1年残れるのは、ファームに入ったからにはなんとしてでも複数プロジェクトを経験したいという意思のある方です。
コンサルティング業界に転職して、このまま続けられるか悩まれる入社半年未満の方から「このまま私はやっていけるのでしょうか?」と相談を受けた際に、この話をして、「だから、君も大丈夫。」と話をすると、いつも不安そうな反応を受けます。
不安の理由
改めて、面接の時は自信に満ち溢れ、またコンサルティング業界に残り続けている面接官が大丈夫ではないかと採用した業界未経験の方々の不安が解消されない理由を考えてみると、大きく2つの原因があるのではないかと思っています。
1つ目は、一般の企業とコンサルティング業界で、仕事の組み立て方の思想が180度転換していることに気づいてないのではないか、という点です。
具体的には多くの企業は積み上げ型で仕事を進めているように見られます。
例えば、ある資料の準備をしている際、終了の目途がついた、あるいは終了してからレビューをしてもらう上司との打ち合わせをセットしているのではないでしょうか。あるいは、お客さんとの打ち合わせが終了した後も同じで、持ち帰った宿題が終わった、あるいは終わりそうになってからアポイントメントを入れているのではないでしょうか。
一方のコンサルタントは、「終わりから考える」ことから教え込まれます。
それは、何を成果物にするかから考えることや、いつまでを期限に終わらせる必要があるかといった「終わり」です。
例えば、クライアントの状況を考えると、来週に必要だから来週に打ち合わせをクライアントとセットし、そのための準備として、ドラフトをいつまでに作成する必要があるかというと、上司のレビューを2サイクルぐらい回していくとすると上司の予定がここしか空いてないから、明日の朝の段階で出来てないと間に合わない、といった仕事の進め方となります。
あるべき目的に対して品質を担保した成果を出し続けようとするプロフェッショナルの一面でしかありませんが、このように仕事を組み立てていくことが求められます。
このサイクルや思想の転換が期待されていることが分かっていないと、なぜ今日徹夜して準備をする必要があるのか、ただ体力が辛いと思い、ついていけない、不安だ、となってしまうように見受けられます。
2つ目は、目指す目標においている人が身の丈に合っておらず、ひたすら焦るだけで不安が解消されない状態になっているケースです。
つまり、上を見すぎの状態です。
多くの未経験者が憧れて、こんなコンサルになりたいと見上げている人は、プロジェクトの中心でキラキラと輝くマネージャーや、名だたる大企業のクライアントに親しく話しかけられるシニアコンサルタントであって、一緒に今苦しんでいる未経験者ではなく、またちょうど立ち上がり始めている入社半年未満の方でもありません。
そうなると当然、自身とのギャップを感じ、不安になってしまいます。
辞めるか迷った時は、ぜひ上を見るのではなく周りを見ていくことを心掛けてください。そうすれば、色々と落ち着く部分も出てきます。
最後に
辞めるか迷ったら、先ずは周りに相談されると思いますが、多くの場合は「大丈夫、なんとかなる。」「騙されたと思って1か月続けてみたら3か月は続くよ。」とか言われ、相談をしても解決しないことが多いかと思います。また、アドバイスする側からしても、「きっと解決してないな。」と内心で思いながら対応している場合がほとんどではないでしょうか。
今回、不安を感じ続ける理由をお伝えしましたが、結局は、最初のうちは不安があってもとにかく続けることを目標にするしかないような気もしています。せっかくコンサルティング業界に入ったのであれば、少なくとも半年ぐらいは続けてみて、この記事の内容を検証してみてはいかがでしょうか。