はじめに
コンサルタントは転職がし易いという話をよく聞きます。業界や周りを見渡してみても、他業界と比較して転職がし易いというのは実感を持ってYESと断言できるものだとは思います。それは、一社にとどまらない前提で、日ごろからマーケットバリューを意識して、意図的に外部との接点を増やす動き方をしている方が多いカルチャーであることが根底にあると思います。
また、アルムナイの多くはコンサル業界内で転職していますが、絶対数だとコンサルティング業界外へ転職する方が多くなります。そのため、転職先にコンサルティング業界出身者がいる場合、「あの会社のあの世代の人か。」と、なんとなくの実力が分かり、また何名かたどると応募者と一緒に働いていた方にアクセスできるのでリファーラルが取りやすいということも転職し易い背景にあります。
改めてコンサルタントの特徴は何かと考えてみると、当然、専門とする領域(自動車・ヘルスケアといった業界、M&A・サプライチェーンといった機能、等)での多様な経験に基づく価値の創出という観点もありますが、
①ビジネスマンとしての基本的な所作・スキルを突き詰めている および、②目的志向で動けるという2点が挙げられます。
つまり、最新のグローバル地域を問わず情報収集し、集めた情報を分かり易く重要度の軽重を考えながら纏め、相手の状況を踏まえて理解できるように伝えてビジネスを素早く前に進めていくスキル・能力を磨き続けているのがコンサルタントとなります。
そのため、コンサル業界で一定期間働けていた場合、その出身ということでスキル・能力については一定の保証がある状況です。転職先の方から見ても、若手のスタッフとして協同する分には何ら問題はないのではないでしょうか。
しかし、現実はスキル・能力を一定持っていると分かっているコンサルタントであったとしても、転職できる方もいれば、お断りされる方も存在します。本日はその差を生み出すポイントに焦点を当ててお伝えできればと思います。
ビジネスマンとしての基礎的なスキル以外に見られている点
コンサルティング業界内でのリテラル転職、また業界外への転職において良く見られている点としては、端的に書くと組織の一員としてやっていけそうか、という点がコンサルタントの転職時にはよく見られているようです。「ようです」と書いたのは、私自身がコンサルティング業界から他業界への転職がないため、周りの方から聞いた話となるためです。ただ、リテラル転職時においては、私も中途採用責任者として、また面接官の一人として重視しています。
なぜ重視しているかの背景として、コンサルタントのイメージにあります。ミッションや仕事が終わったら去るといった立ち位置にあるコンサルタントは、一般的な見方をするとジョブホッパーとして受け取られがちです。どのファームで仕事をしても変わらないなら処遇がよいファームへ転職しますといった話も少なくない声として聞こえてくるのが実態です。
つまり、もちろん残ってもらうことは目的ではありませんが、その転職者の方に現時点でのスキル・能力の発揮以上に、将来においても組織内での役割を背負ってもらえそうかという点を重視します。
そのため、コンサルタントが転職を成功させる上ではストーリーを持って自身が何者であるかを語れることが重要になります。なぜストーリーであるかという、経歴上、転職をそれなりにしてきたことにも理由があるという点、並びに将来においてやりたいことを明確にして、そのために今回の転職があるので一定期間は所属するという点を一貫性を持って語ることで、安心感を提供するためとなります。
このストーリーとして自身の人生を意味付けし、他者に分かり易く伝える能力の有無が、コンサルタントであっても転職できる人、断られる人を分ける大きな差となると考えます。
最後に
皆さんの周りを見渡してみても、「彼/彼女は、あの領域でこういうことをしていたし、将来こういうことをしていきたいと言っていたので、あの転職には納得だよね。」という方がいらっしゃるのではないでしょうか。もちろん、ストーリーとして構築する能力も大事なのですが、そのストーリーに説得性を持たせるのは日々の行動により生み出された証左となります。そういった意味だと、日ごろからこれまで何をしてきたのか、今後、何を成していきたいのかといったアスピレーションの所在を考えて過ごすことが大事とも言えます。