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画像:A.T. カーニー株式会社

現職コンサルタントインタビュー

A.T. カーニー株式会社

「100年に1度の大変革期」にあると言われる自動車業界。2010年代後半から「CASE」の議論が激化し、昨今ではカーボンニュートラリティとデジタル化といったビジネスモデルの変化が求められる複雑な経営課題を抱える中で、もとは内製思考の強い日本の自動車業界において外部のコンサルティングファームによる支援ニーズが高まっているという。日本の基幹産業である自動車業界は、各ファームとも力を入れている。A.T. カーニーの自動車プラクティスはどのような案件を手掛け、どのように他社と差別化されるのか。自動車プラクティスの日本リーダーを務めるシニアパートナーの阿部暢仁・マッスィミリアーノ氏と、マネジャーの佐藤真人氏に自動車プラクティスについて話をうかがった。

ご経歴について教えてください。

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【阿部】小学3年生の時にベルギーに移住し、現地の大学を卒業した後、トヨタの欧州事業統括会社であるToyota Motor Europeに入社しました。新規事業立ち上げに従事した後、日本のトヨタ自動車本社に出向して商品戦略・企画を担当しました。延べ8年トヨタに在籍した後、2013年にA.T. カーニー日本オフィスに入社しました。アソシエイトとして様々な業界のプロジェクトを経験した後、マネジャー昇格時に自動車プラクティスにジョインしました。他の様々な業界を経験する中で改めて、巨大な市場があり、グローバルにビジネスを展開していて、複雑な業界構造を持つ自動車業界の面白さを実感した形です。現在は自動車プラクティスの日本リーダーを務めています。

【佐藤】私の前職は三菱UFJ銀行で、11年の在籍期間中、約3年間調査部で自動車業界を担当しました。その時に自動車業界の日本経済を支えるという強い使命感、各拠点の地域経済への貢献の大きさを知り、この業界に関わる仕事がしたいと思うようになりました。その後、営業部門の完成車メーカー担当に異動したものの、様々な経営課題に悩まれる経営層を間近に見るなかで、金融面だけでなく自動車業界の経営課題の解決に、より幅広く取り組みたいと考え、2019年にA.T. カーニーに入社しました。昨年7月にマネジャーに昇格し、自動車プラクティスのメンバーとなりました。

A.T. カーニーの自動車プラクティスについて教えてください。

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【阿部】日本の完成車メーカーやその他自動車関連企業の経営アジェンダの解決を支援しています。関連企業とは、部品メーカーやシステムメーカー、輸送、(装備品の開発で自動車とも関わりの深い)防衛・宇宙まで様々です。日本オフィスには約10名、グローバルでは約300名のプラクティスメンバーがいて、特に欧米、中国、インドといった自動車産業が盛んな地域のオフィスと密に連携しています。自動車プラクティスの支援は「戦略」と「トランスフォーメーション」に特化しており、ほとんどがCxO案件です。

ここ数年、戦略ファームでもエンジニアやデザイナーなどの機能を自社で抱えて支援の幅を拡大している傾向にあり、その中では弊社のような体制は珍しいかもしれません。もちろん、私たちのプロジェクトの中でそうした機能が必要になれば、外部企業と協働することもあります。1社がワンストップでサービスを提供できるのは大きな価値ですが、一方で私たちの体制は、自社のリソースに縛られないために検討の自由度が高い、プロジェクトに最適な業界のトップランナーをアサインできるというメリットがあります。

また、自動車プラクティスの特徴をWillと Skillの観点から説明すると、まずWillの面では自動車業界への熱い思いを持ったパーパス・ドリブンなチームです。グローバルで市場規模が600兆円もある巨大産業において、完成車の販売台数シェアで日本企業はその約3分の1を占め、日本経済を支える基幹産業の一つとなっています。そのような自動車業界ですが、昨今では大きく「デジタル化」と「カーボンニュートラリティ」というビッグアジェンダへの対応に迫られています。いずれもビジネスモデルの大きな変革が求められるアジェンダである一方、デジタル化には知見がない経営層も多く、カーボンニュートラリティは各国の規制・政策も関わる非常に複雑な課題です。しかし、これらのアジェンダに適切に対応できなければ、日本の自動車企業は今後もグローバルでの高いプレセンスを維持することはできません。私たちはそうした課題を支援することで、日本の自動車業界の競争力を高め、日本経済に貢献するという使命感を持っています。そのため、業界に対して大きな意義を持つプロジェクトにこだわって受注しています。

Skillの面では、業界構造が複雑かつテクニカルな論点が多い自動車業界を支えるため、①A.T. カーニーに求められる高度な課題解決力 ②グローバル人材 ③産業横断的な知見、の3つのSkillを重視して採用・育成を行っています。日本の自動車業界は売上に占める海外比率が高く、かつ自動車は地産地消ビジネスであるため、世界中に開発・製造拠点を持つネットワーク型組織となっています。プロジェクトは日本国内だけで完結せず、時にはA.T. カーニーの現地オフィスと連携しながら海外拠点をみることも多いため、グローバルコミュニケーションに長けている必要があります。また、昨今では業界の融合が進み、例えばエネルギーやテックなどは自動車業界にとは切り離せない重要な論点となりました。自動車業界の知見は前提として必須ですが、それだけでは不足しており、関連する業界の知見も必要となっているのです。この3つのSkillを持つエキスパートをA.T. カーニーとのミッションや価値観で束ねることによって強いチームを形成しています。

A.T. カーニー日本オフィスはミッションとして『20社+200社』を掲げています。これは「2050年までに世界中の経営のロールモデルとなる日本を代表する大企業20社、世界に新たな価値を創造する日本発ベンチャー企業200社を生み出す」ということで、自動車プラクティスはこのミッションとの一致性が非常に高いプラクティスです。20社となりうる大企業を多数支援していますし、モビリティの分野を中心に日本発ベンチャー企業が増加しています。ベンチャー企業から直接コンサルティングの依頼を受ける機会はあまりありません。しかし、私たちは彼らが活躍するための環境づくりに関わっています。例えば、東京大学の加藤真平准教授が創業した自動運転ベンチャーのティアフォー社と共同で自動運転の安全性評価のペーパーを発表したり、経済産業省の自動運転の検討会の事務局を3年に亘って務めていて、その検討会の中でベンチャー企業にヒアリングを実施して彼らの声を反映したり、警察庁や国土交通省などの関係省庁とも規制に関してディスカッションをしています。こうした、モビリティ分野の基礎でもある国の方針や規制への関与を通じて、ベンチャー企業が活躍できる土台づくりを目指しています。

プロジェクト事例について教えてください。

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【佐藤】経営アジェンダのプロジェクト事例として戦略的トランスフォーメーションプロジェクト、より現場に近いプロジェクト事例として開発プロセス改革プロジェクトの2つの事例を紹介します。

1つめの戦略的トランスフォーメーションプロジェクトのクライアントは、グローバルTop3に入るメーカーです。100年の歴史を持つモノづくり企業ですが、デジタル化の潮流の中で、ビジネスモデルの転換が求められています。どのようなビジネスモデルを目指すべきか、そのビジネスモデルを実現するにはどのようなデリバリーモデル、開発プロセス、組織のあり方が必要なのか。A.T. カーニーでは、その構想から実装までをクライアントのパートナーとして一貫して支援しました。

まず世界中の事業拠点をめぐり、現地法人の社長や現場スタッフ、現地ユーザーにヒアリングを実施し、各地域に最適なカスタマージャーニーを策定することからスタートしました。開発プロセス策定では安全が大前提でありトライ&エラーに慎重であるべきモノづくり業界が、どのように「安全性」と「アジャイル」を両立させるか、組織改革ではモノづくり企業としての強いアイデンティティを持つ社員の方々をどのように意識転換するかなど、各フェーズで非常に難しい課題を検討しました。プロジェクトの一環として、ジョイントベンチャーの設立にも構想から関わりました。この様に大規模で本質的な改革を実施し、企画・開発されたサービスは、世界的なトレードショーで発表した際には世界中の有力メディアに画期的なサービスとして大きく報じられました。

2つ目の開発プロセス改革のプロジェクトのクライアントは、世界トップレベルの部品メーカーです。日本の自動車業界は、国内の市場が小さいために新興国市場を成長のドライバーとしてきましたが、新興国が成長するにつれて地場企業も力をつけてきました。クライアントは長年培ってきた開発プロセスに沿っていましたが、競合に勝つためには、開発スピードを上げていく必要があります。開発部門の統括ヘッドの直轄として行われた本プロジェクトでは、開発に多岐に亘る部署が関与していたため、全部署とコミュニケーションして現状のプロセスの把握、将来的なリスクや課題の抽出、どのような変革していくべきかを議論しました。現場を巻き込みつつ進める必要があったため時間を要しましたが、目指す姿とそこに向けた施策が共通認識化され、実装が進んでいる段階です。

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【阿部】日本の製造業はPDCAサイクルを回しながら、長い年月をかけてプロセスを研ぎ澄してきました。そのプロセスを変えるという発想は社内では生まれにくく、客観的な第三者として改革のメスを入れるのが私たちのバリューです。長年のプロセスを改革するためには、クライアント企業の組織力学を理解し、ソフト面からも慎重に進める必要があります。このプロジェクトは、技術面に加えて組織力学への理解も必要であるため難易度が高く、対応できるコンサルタントは限られています。業界における深い知見に基づいてこうした高付加価値な案件を手掛けることができる人材が揃っていることもA.T. カーニーの自動車プラクティスの大きな強みです。

自動車プラクティスの考える自動車業界の今後について、Point of Viewを教えてください。

【阿部】自動車業界は、設備投資や開発ノウハウが必要であるため、参入障壁が高い産業です。新車の開発には5年ほど掛かり、既に2020年代後半のプロダクトラインが見え始めています。突如、新興企業にシェアを奪われるドラスティックなことは起こりにくい業界です。しかし、不可逆的に進展するデジタル化への対応は急務であり、日本の自動車業界もビジネスを抜本的に見直さなければ今後もグローバルでの高いプレセンスを維持することはできません。

デジタル化がもたらす論点は多岐に亘り、例えば、デジタルメディアもその一つです。これまでは完成車メーカーは開発・製造を担い、別資本のディーラー店舗が顧客と接点を持ってサービスを提供する明確な役割分担がありました。しかしデジタル化によってカスタマージャーニーが変化する中で、今後はメーカーがデジタルを通じて直接的に顧客と接点を持つようになります。完成車メーカー、ディーラー、顧客の三者の関係性が変わる中で、いかにデジタルメディアを活用し、カスタマージャーニーの中で三者を繋げていくか。今後新たなサービス・デザインのあり方を考えなければなりません。

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また、ソフトウェア・デファインド・ビークル(SDV)も大きな論点の一つです。SDVとは車載ソフトウェアをアップデートすることで、新たな機能・価値を付加するというコンセプトです。引き渡し後の車に対して新たな価値を付加できるようになり、アフターサービスやリセールを含めてライフ・タイム・バリュー(LTV:顧客生涯価値)を最大化させるあり方を再設計する必要があります。また、SDVで大きな価値を生み出すソフトウェアエンジニアはテック業界の人材であり自動車業界での採用は難しく、特に日本は人材が少ないため日本企業は採用に苦戦しており、これも大きな課題となっています。今2つの論点を挙げましたが、特に国内市場が小さく、売上の大半を海外で得ている日本企業は海外市場でもこれらを検討する必要があるという点で更に難易度が上がります。

こうした高難度の課題に対応するため、日本の自動車業界はより「戦略」を重視した合理的な経営にシフトする必要があります。日本のモノづくりは優秀で、戦後から成長を続け、グローバル企業も多数輩出しました。しかし、今改めて企業としてのパーパスをどこに置くべきかを考えるべきです。従来のように「モノづくり」や「雇用維持」をパーパスとしていて勝ち抜ける競争環境ではありません。また、同じ日本の企業で戦略的に協力することも視野に入れることも重要です。「敵の敵は味方」とは言いますが、優れた企業が多い日本の自動車業界が力を合わせれば、非常に大きな価値を生み出す可能性もあります。

プロフィール

写真:阿部 暢仁・マッスィミリアーノ 氏

阿部 暢仁・マッスィミリアーノ 氏
シニア パートナー

前職では、日系大手自動車メーカーにて、商品企画およびブランド戦略を担当。A.T. カーニーでは、新規を含む事業戦略、M&A戦略、セールス&マーケティング及びブランド戦略などのテーマを中心に従事。自動車プラクティスメンバー。次世代モビリティなどに関するテーマで、新聞・雑誌の取材や寄稿などメディアを通じ、英語と日本語で発信。

写真:佐藤 真人 氏

佐藤 真人 氏
マネージャー

都市銀行を経てA.T. カーニーに入社。製造業を中心に、事業戦略、アライアンス戦略、ガバナンス戦略、マーケティング戦略の支援等に従事。

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