社会的意義の大きさ、個人の成長が会社の成長に直結するフェーズであることに惹かれた
まずは齋藤様のキャリアについて教えていただけますか。
【齋藤】2011年にみずほ銀行に入行し、最初の5年間は法人営業を担当しました。中小零細企業から中堅、大企業まで幅広い顧客を担当し、融資業務を中心に経験を積みました。
その後、グループ内のPEファンドであったベーシック・キャピタル・マネジメントに出向し、約5年間投資業務に携わりました。ここが私にとってのM&Aや企業投資の世界への入り口となりました。
ファンドでの経験を積む中で、次は事業会社、それも成長企業での実務経験を積みたいと考え、2020年にマネーフォワードに転職。そこでは約3年間、M&Aやマイノリティ出資、PMI(買収後の統合)に従事しました。
優秀な経営陣とメンバーに恵まれて多くのことを学ばせていただいたのですが、自己成長のためにはもっともっと場数を踏む必要があると感じていました。そのような中、キャリアインキュベーションさんにご紹介いただいたのがPROSPERでした。
PROSPERへの参画を決めた理由は何ですか?
【齋藤】PROSPERを選んだ理由は大きく3つあります。まず、地域活性化という社会的意義のある投資を行っていること。どのファンドも投資先企業を成長させるという意味では共通していますが、企業の成長はもちろんのこと、その地域を盛り上げることにも貢献していく考え方に強く共感しました。
2つ目に、Plan・Do・Seeという宿泊・外食・ブライダルのプロフェッショナル集団と協業してバリューアップを行える点。これは他のファンドにはない特徴ですし、投資先企業の成長につなげられる可能性が高いと感じました。
3つ目に、PROSPERはまだ創業間もないファンドであり、チームビルディングに自分自身も深く関わっていける点。自分自身の成長とともに、これまでのバックグラウンドを活かして組織の成長にも貢献できると考えました。
現場で感じる地域の課題。"点"ではなく"面"として活性化する必要性
入社後、どのような業務を担当されましたか?
【齋藤】最初はソーシングから始まり、魅力的な案件を探す活動をしていました。その後いくつかステージが進む案件があるとそのエグゼキューションを行い、2024年3月には「ゆとりろ熱海」、2024年8月には「大洗パークホテル」という2件のホテルに投資させていただき、Plan・Do・Seeのメンバーと連携しながらバリューアップに関わっています。
Plan・Do・Seeとの協業について、具体的に教えてください。
【齋藤】例えば、ホテルの料飲のアップデートに取り組んでいます。宿泊において食事はお客様の満足度に直結する重要な要素の一つです。朝食や夕食の内容を変えることでアップサイドが見込めると考え、投資先とPlan・Do・Seeのタッグにより、地元の食材を活かしつつ、原価もコントロールしながら一層美味しいメニューの開発を行いました。
お客様にはご好評いただいており、Plan・Do・Seeのノウハウを生かした取り組みに、手ごたえを感じています。一見地味で地道な改善ではありますが、こうした小さなことの積み重ねがお客様の満足度向上、ひいては投資先の価値向上につながると考えています。
地域活性化への思いはどのように生まれてきたのでしょうか。
【齋藤】正直なところ、入社前は今ほどは強い思い入れがあったわけではありませんでした。しかし、この1年間で様々な地域を訪れ、たくさんの方々と接する中で、地域活性化の意義深さをより強く実感するようになりました。
例えば、ある地方都市のホテル案件を検討した際、そのホテル自体は何とか経営を維持していましたが、周辺の温泉街は元気がなく、シャッター通りに近い状況になっていました。そういった現状を目の当たりにすると、単にホテル1つを再生するだけでなく、街全体を面的に活性化させる必要性を感じます。
そのためには広い視野を得て、良し悪しを判断できる目を養う必要があります。以前まではプライベートで旅行に行くことは多くなかったのですが、今は公私両面でいろいろな場所を訪れ、自ら体感するようにしています。その中で良いと感じたサービスや特長を投資先のバリューアップに活かすため、審美眼を磨いているところです。
各ステークホルダーからの期待を強く感じる
実際に働いてみて、入社前後でのギャップはありましたか?
【齋藤】入社前に聞いていた話と違うところは特にありませんでした。ファンドとしての土台を作っていくフェーズであることを感じながら、常に当事者意識を持って、チームに貢献していこうと思い、楽しく働けています。
プラスの意味でのギャップとしては、ステークホルダーの方々がこのファンドに高い期待を寄せてくださっていることはひしひしと感じます。LPの方々をはじめ、協業する会社、案件をご紹介いただく金融機関や仲介会社など、多方面からPROSPERという会社は面白い存在だとご認識いただいており、それがやりがいにもなっていますね。その期待に応えていきたいと思います。
PROSPERで働く魅力はどのようなところにありますか?
【齋藤】私が投資業務に感じている魅力は、「出会い」があることです。自分がよく知らなかった産業や企業のビジネスに触れるという意味での出会い、投資先企業で活躍する人との出会いなどが豊富にあるのです。PEファンドでは資金面以外での貢献もしていけるので、その幅の広さも魅力です。
その観点で見ると、PROSPERはやる気があればあるだけ、経験値を積むことができ、成長できる環境です。私自身、宿泊業の経営については明るくありませんでしたが、Plan・Do・Seeのプロフェッショナルと協働することで、日々新しい知識を得ていますし、その知識をすぐに実践で活かすこともできます。組織としてまだ発展途上ですし、自分たちで会社を作っていく過程に携われるのも大きな魅力ですね。
若手人材に求められるものは何でしょうか?
【齋藤】まず何より、地域活性化という私たちのミッションに共感できることが大切だと思います。ただ私のようにあまり地方に関わったことのない人間でも、入社後の行動次第で解像度を高めたり思いを強めたりすることはできるので、必ずしも地方への原体験が必要とされるわけではありません。あくまでも、投資先企業やその周りをより良くするために妥協しない姿勢を持っている人を求めています。
また、キャッチアップ力も重要です。私たちの仕事は多岐にわたり、常に新しいことを学び続ける必要があります。学習意欲が高く、新しい知識を吸収し、すぐに実践できる人であれば、ファンド未経験でも活躍できる土壌はあると思います。
プロフィール
齋藤 翔 氏
株式会社PROSPER 投資担当チーム
2011年にみずほ銀行に入行後、国内支店にて中堅企業向けの事業金融を経験。2016年よりベーシック・キャピタル・マネジメントに参画し、案件ソーシングや投資検討に加え、自動車部品加工会社や通訳サービス会社、テストエンジニアリング会社のバリューアップに従事。
2020年からはマネーフォワードにて、M&A及び資本提携業務を推進。保険代理店業のグループ化を担当し、ハンズオンでの経営支援に携わる。
2023年9月にPROSPERに参画。
立花 陽三 氏
株式会社PROSPER 代表取締役
ソロモンブラザース証券にてキャリアをスタート。
ゴールドマン・サックス証券 債券営業部および戦略投資部 マネージングディレクター、メリルリンチ日本証券 常務執行役員を歴任。
その後、楽天野球団 代表取締役社長に就任。楽天ヴィッセル神戸 代表取締役社長も兼任。お客様の声を第一にした経営スタイルで、スポーツビジネスの価値向上と収益力アップを手掛ける。
2021年末に各職退任し、2022年4月 PROSPER を設立、代表取締役に就任。
2022年には、事業承継として相談がきた、廻鮮寿司 塩釜港(宮城県塩竈市)の会社社長に就任するなど、公私共に地域を盛り上げる取り組みを行っている。
佐藤 公春 氏
株式会社PROSPER パートナー 取締役 (投資担当)
富士銀行 (現みずほFG)、アーンスト・アンド・ヤング (現EYストラテジー・アンド・コンサルティング)の後、シティグループ・プリンシパル・インベストメンツにてコーポレート投資部門ヴァイスプレジテントを務める。
その後、ゴールドマン・サックス証券 戦略投資部およびマーチャント・バンキング部門ヴァイスプレジデント、きずなキャピタルパートナーズ 投資部門パートナー、ジャパン・インダストリアル・ソリューションズ 投資部門マネージングディレクターを歴任。
20年間に渡り、自己勘定投資部門、ファンドにおいて企業投資に従事する。
2022年10月にPROSPERに参画。
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