BCGが向き合う案件は常に多様だと思うのですが、最近目立っている傾向のようなものがあれば教えてください
【平谷】 中期経営計画策定やマーケティング戦略立案・実行など、旧来の案件は依然として多数あります。ただ、そうした中でも急速に目立ち始めているものとして、トランスフォーメーションとデジタル関連のプロジェクトが挙げられます。
トランスフォーメーションと言っても様々ですが、やはり多いのは「日系企業がグローバルで戦うために何をすべきか」という内容です。言うまでもなく、日本企業に今、大きな変化が訪れており、その中でグローバルな競争や、業界の枠組みさえも超える競争プレッシャーがあらゆる企業にのしかかっていることが背景にあるためです。
具体的には、コア事業の本質的な変革に向け、まずはコスト削減を進めながら変革の原資を生み出し、並行してチャレンジのための戦略を立て、実行に移していくという流れとなります。この中では、もちろん伝統的なコンサルタントとしての役割もありますが、時にはお客様の組織内部に入り、一員となって意思決定から実行面にまで深く関わっていくことも求められています。
また、革新的なテクノロジーが出現し、新たなビジネスチャンスや市場創造の可能性にも期待が高まる昨今、デジタル・テクノロジーに深く関わる案件が急速に増えてきました。
これらのプロジェクトでは、BCG自体が組織のあり方そのものを変化させ、かつてのBCGではできなかった新しい価値を提供しています。最先端のトピックやスキルを持つBCGデジタルベンチャーズやBCG Gammaなど特定の領域専門に特化した存在をグループの中に立ち上げ、すでに多くのプロジェクトを手掛けております。
お客様が『次の一手はどうするか?』『経営を左右する最重要テーマをどう進めるか?』という悩みを抱え、実現に向けたイノベーションやトランスフォーメーションについて、理想と現実のジレンマもある中で悩みを深めている。こういった課題に応えるためBCG自体もチャレンジを続けているのです。
その他にもコンサルタントの皆さんの役割に変化が生まれているのでしょうか?
【平谷】 そもそも多様な専門性や機能を持っていたBCGでしたが、先ほど申し上げたプロジェクト動向に伴う役割変化に加え、グローバルというキーワードの中でも様々な変化を迎えています。これもまた、お客様側のグローバル化が進展していることが背景にあり、私たちも今まで以上にBCGのグローバルとの緊密な関係性が問われるようになりました。
日本のお客様と対峙する際にも、グローバルなテーマと向き合う場面や海外オフィス主導のプロジェクトに、あえて日本から人を送り込むことでプロジェクトの進展を実現するようなケースもあります。コンサルタントとして働く、と一言でいっても、その働き方や求められる役割がどんどん多様化しており、それによってキャリアパスもまた多様化していると言えます。
東京オフィス新卒入社で最初の女性パートナーである平谷さんとして、思うところがあれば教えてください
【平谷】 今後世の中の価値観もさらに変化して行くと思いますが、今はまだ出産・育児の際に女性が長期の休暇をとることが一般的です。ですから、女性は男性以上にキャリアプランとライフプランの共存をしっかり考える必要があると思っています。そのためにも職業上のスキルをいかに効率良く身につけるか、といったことを真剣に考えなければいけません。
これからキャリアを築いていく女性の皆さんに伝えたいのは「今はチャンスですよ」ということ。確かに日本では海外ほど女性のマネージメント人材は増えていない状況ですが、多くの企業がグローバル展開などを意識する中で、多様性のある組織を持つことの価値に気づき始めています。
これまで女性の進出率が低かった日本だからこそ、ホワイトスペースがあるわけで、本人の意志さえあれば、やりがいのある仕事と出会い、スマートにキャリアプランとライフプランを両立させていくチャンスも広がっていくと思っています。ポジションが高くなるにつれ、面白い仕事やインパクトのある仕事に携われ、より充実感も感じることができますから、そういうチャンスがあればぜひ掴んで欲しいと思います。
最後に、「今のBCGで活躍できる人材」とはどのような資質の持ち主なのでしょうか?
【平谷】 私としては3つあると考えています。1つは、自分の専門性を磨きつつ、その領域を広げていく成長意欲のある方。これは以前からBCGで求められてきた資質ですが、やはりビジネスの色々な面で変化が急速に起きている時代ですから、コンサルタントが基礎的に知っておくべき事柄が増えており、それらを習得するスピードも求められているからです。BCGには階層に応じた育成制度や体系的なラーニングプログラムが揃っていますので、それらを活用し前向きに専門領域を広げていければ、キャリアの選択肢もぐっと広がっていくはずです。
2つ目は、先ほども申し上げましたが、グローバルな局面でインタラクティブなコミュニケーションを展開しながら、成果につなげていける方が活躍のチャンスを掴むと思います。そして3つ目が実行支援の現場で力を発揮できる方です。単に提案して支援する役割だけでなく、お客様の中に入り込んで、一緒に実行面にコミットする働き方も増えていますから、そこで成果をあげ、成長していくことも可能です。
私がBCGに入って良かったと思うことの1つは、多様性を重んじる組織で、性別やバックグラウンド、そしてポジションも関係なく、フラットに個人の意見を尊重する文化が根付いている点です。 加えて、BCG自体が変化していくことにポジティブな組織ですから、自分の頑張り次第でいかようにでもチャンスを掴んでいける。ぜひ多くの方に参画して頂き、一緒に成長していけたらと思っています。
プロフィール
平谷 悠美 氏
パートナー&マネージング・ディレクター
一橋大学社会学部卒業。同大学大学院社会学研究科修了の後、BCGに入社。BCGの社費留学で、ハーバード大学経営学修士(MBA)取得。多様な戦略案件に携わる中、主に医薬・医療機器業界の企業に向け、中長期戦略、成長戦略新製品上市戦略、PMI、プライシングおよびコストの最適化などを手がけている。
山形 佳史 氏
プリンシパル
一橋大学を卒業後、日本アイ・ビー・エムに入社。ITエンジニアやプロジェクト・マネージャー、コンサルタントとして経験を積む。ロンドンへの留学を経て、2012年にBCGに入社。金融、通信、インターネットビジネスなど様々な業界のクライアントに対するテクノロジー×戦略実行のプロジェクトに従事している。
ロンドン・ビジネス・スクール経営学修士(MBA)
この企業へのインタビュー一覧
- [コンサルティングファーム パートナーインタビュー]
- シニア・パートナー&マネージング・ディレクター 木村 亮示 氏
(2017.6) - [コンサルティング業界ブログ]
- DigitalBCGとBCG digital venturesの違いとは?
(2018.5)
注目ファームの現職コンサルタントインタビューの最新記事
- アリックスパートナーズ | Partner & Managing Director 服部 浄児 氏 / Director 小川 竜平 氏 / Senior Vice President 今井 充 氏(2024.4)
- フロンティア・マネジメント株式会社 | マネージング・ディレクター 経営執行支援部門 副部門長 兼 クロスボーダー経営執行支援部長 舟橋 宏和 氏 / シニア・ディレクター 経営執行支援部門 大西 恭平 氏 / ディレクター 経営執行支援部門 勝田 菜菜子 氏(2023.11)
- A.T. カーニー株式会社 | シニア パートナー 阿部 暢仁・マッスィミリアーノ 氏 / マネージャー 佐藤 真人 氏(2022.6)
- A.T. カーニー株式会社 | シニアパートナー 針ヶ谷 武文氏 / マネージャー 梅本 周平氏 / マネージャー 柳田 諒 氏(2022.2)
- 株式会社リヴァンプ | 取締役 執行役員CFO 大山 拓也 氏 / 業務コンサルティングチーム シニア・マネージャー 徳田 浩明 氏 / 経営支援チーム マネージャー 阿部 浩平 氏(2022.2)