常に進化をし続けていらっしゃるBCGのこれからの組織の方向性について、今どのように考えていらっしゃるのでしょうか?
【木村】方向性としては2つ、「スケール」と「多様性」があります。スケールについては、今お客様が置かれている状況に対して、付加価値のある解決策を提供しようと考えたなら、コンサルティングファーム は一定のスケールを持っていなければいけない。私たちはそう考えています。なぜなら、安定的に知見を蓄積し、かつ、複数の分野にまたがってその知見を活用する必要があるからです。
その背景として、お客様の従来のコアビジネス領域に閉じこもることなく、複数の業界、多数の国や地域、複合的なテーマにまたがるプロジェクトが次々に浮上していることがあります。動員すべき知見の幅は過去とは比べようもないほど広く、ごく僅かなメンバーが突出して優秀な人材だったとしてもカバーしきれないほどの幅です。だからこそスケールのある集団とならなければ、次々に寄せられる期待に応え得るような知見の蓄積もままならないのです。
また、画期的なイノベーションを実現するためには、スケールを大きくするばかりでなく、多様な才能のコラボレーションが必要です。お客様の変革をサポートし、共に実行にも携わろうというコンサルティング集団が、均質化した顔ぶれしか持っていないようでは、その重い責任や使命を果たせません。
「異なる者同士のぶつかり合いから、お客様の期待を超える革新性を導き、付加価値として提供する」というビジネスにおける我々の信念は勿論のこと、自らの組織のガバナンスを良質なものとするという側面からも、かねてからグローバル全体でダイバーシティに取り組んでおり、これまで以上に人員の多様化を進めています。
具体的にはどのような点で多様化を進めているのですか?
【木村】多様化の1つとして、女性の積極採用が挙げられます。BCGでは女性のパートナー(一般企業でいう取締役)も増えており、我々が業界内でも際立ってダイバーシティに積極的に取り組んできた自負もあります。しかし、それでも男女比を見れば女性の数は少ないのが現状です。
残念ながらコンサルタントという職業は、まだまだ世の中の多くの女性にとっての選択肢の一つになりえていないのかもしれません。我々は、女性を増やすことで多様性を豊かにするだけでなく、世の中のコンサルタントという職業に対する既存の概念も変えていきたいと思っています。
確かにコンサルティングは、楽が出来る仕事ではありません。しかし、随分前からBCGはグローバル全体で働き方の工夫を制度面などで進めてきましたし、キャリアパスについても多様化を進めてきました。
性別に関わりなく、自分のライフステージやキャリアビジョンに応じて働き方を調整しながら、サステイナブルに自分なりのキャリアを設計できる。そのために、産前産後休暇・育児休暇はもちろん、留学支援、海外オフィスへの派遣や転勤、時短勤務などの制度面からの環境も整えて来ました。そういったことを知ってもらい、中長期的なキャリアビジョンを描いて頂きどんどん優秀な女性に参画してほしいと思っています。
国内では、コンサルティング業界に限らず、多数の女性が自由に活躍できている企業というのはまだまだ限られています。私たちがこれを実現できたなら、それ自体がクライアント企業へ向けての付加価値提供へとつながりますし、社会の常識をブレークスルーするきっかけになるとも思っています。
プロフィール
木村 亮示 氏
シニア・パートナー&マネージング・ディレクター
京都大学経済学部卒業、フランスHEC経営大学院にてMBA取得。国際協力銀行で主にODA(政府開発援助)の実施に携わった後、BCGへ。マネジャー時代に2年間のパリオフィス勤務を経て現在に至る。ハイテク・メディア・通信の領域、およびトランスフォーメーショングループのコアメンバーとして活躍する他、BCG戦略グループのグローバルリーダーも務めている。
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