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画像:株式会社ローランド・ベルガー

現職コンサルタントインタビュー

株式会社ローランド・ベルガー

ローランド・ベルガーのジャパンオフィスは今、これまで以上の期待を多くの企業から集めている。
それゆえ、組織規模の拡大も急務となっているとのことだが、はたして何がローランド・ベルガーに起きているのか?そして、熱望している新たな参画者に何を求めているのか?
自ら消費財領域に軸足を置いたコンサルティングで成果を上げながら、同時に人材採用のリーダーも務めている福田稔氏と、一度はローランド・ベルガーを離れたものの、再び復帰して活躍をしている鈴木慎吾氏の二人から話を聞いた。

今、ローランド・ベルガーでは以前と異なる組織体制になっているとのこと。それについて詳しく教えてください。

【福田】東京オフィスに大きく2つのバーチャルな組織、MI(Manufacturing Innovation)とST(Strategic Transformation)チームを組成しました。MIチームは、製造業を中心とした事業会社におけるバリューチェーンの進化とイノベーション創出を目的としています。中でも業界としては、自動車、消費財・流通、産業財、ヘルスケア、エネルギーといった領域に注力しています。一方STチームは、業界全体の再編を目的として、業種横断で事業を展開するクライアント、即ち、総合商社、金融、PEファンド、政府をサポートしており、具体的にはBDD、クロスボーダーM&A、PMI領域に注力しています。この2つのチームの掛け算により、個々の企業の垣根を越えて日本企業並びに産業界全体の革新を実現することがローランド・ベルガー東京オフィスのビジョンです。

但し、このチーム制はプリンシパル以上が対象です。マネージャー以下では業界やチームを特定せずに幅広いプロジェクトに関わってもらい、個々に引き出しを増やしてもらうようにしています。私自身の場合も、今はMIチームで消費財・流通領域を担当していますが、プリンシパルになる前は商社、自動車メーカー、消費財、金融機関などなど、様々なプロジェクトに参画してきました。

プリンシパルクラスがチーム制のもとインダストリー別の担当を持つことのメリットとは何なのでしょう? 同時に、ジュニアクラスがインダストリーにとらわれないことのメリットについても教えてください。

【福田】以前からローランド・ベルガーの強みの1つとして、お客さまと継続的で長期的なリレーションシップを築く点がありました。今もこの強みは変わっていません。むしろ、その部分をこれまで以上に高く評価される時代が来たことで、手が足りなくなるほどのオファーをお客さまから頂戴できているともいえます。

1つの経営課題をクリアするだけでなく、企業のあり方や産業界全体の方向性にも関わるテーマが増えているため、コンサルタントにも単発的なノウハウ提供では収まらない役割が期待されています。その期待に応えて行くには、お客様の経営陣と日々接するパートナー・プリンシパルクラスには腰を据え、専門性も熟成させた人材が不可欠ということです。一方、どんな産業でも、今は業界の境界線を飛び超えてしまうようなチャレンジが必要になるケースが増えています。

若いコンサルタントの場合、インダストリーの枠に固執するのではなく、多様な経験を積み、その経験を異なるフィールドで活用することで価値を発揮できるチャンスも増えています。自らの引き出しを増やすためだけでなく、異業種での経験やアナロジーが直接役に立つケースもあるということです。

私は中途入社組で、前職はITコンサルティングの会社でしたが、コンサルタントとして多様な業界に触れる中で消費財領域に強く惹かれ、今に至っています。若手の内に多様な業界を見ることは、自分自身が活躍できる場、力を発揮していきたいと思えるフィールドと出会うチャンスにもつながるということです。

福田さんが消費財に感じた魅力とは何だったのでしょう?

【福田】単純明快です。日本の消費財企業には世界を圧倒するだけの力があるのに、それが正しくグローバルに伝わっていない。是非とも各企業の素晴らしさを世界に伝えるお手伝いがしたいと思ったからです。

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例えば、ブランドコンサルティングのインターブランド社が発表するグローバルブランドランキング上位100社では、日本企業は7社だけ(2014年)。具体的には、トヨタ、ホンダ、日産、パナソニック、ソニー、キヤノン、任天堂です。任天堂を除きすべてが製造業。

グローバル化に成功していると言われているファーストリテイリングも資生堂も味の素もサントリーも、消費財領域の企業はランキングのベスト100には一度も登場していません。「そんなはずない。そんなことではいけない」という思いを駆りたてられ、クールジャパンの取り組みにも積極的に関わってきたんです。

ローランド・ベルガーには「製造業、特に自動車産業に強い」イメージが以前からありましたが、それだけではないということですよね?

【福田】そういうイメージは大変ありがたいですし、事実、今も自動車をはじめとする製造業で私たちは頭一つ他を先んじた成果を上げてもいます。けれども、私たちの強みはそれだけではありません。

今も申し上げたクールジャパンとも密接に関わってくるソフトコンテンツの領域や、これまでコンサルティングファームとの結びつきが強くなかった産業材領域でも急速に実績を築き上げています。ものづくりを中心としたMIチームと業界横断のSTチームの掛け算により、業種業界の垣根を越えてイノベーションを生み出していることがローランド・ベルガーの東京オフィスの強み・特徴であると捉えてくださればわかりやすいはずです。

新しい体制のもとで、案件数がどんどん膨らみ、人員規模の拡大が急務になっているというお話を聞きました。具体的にはどのような内容のプロジェクトが増えているのでしょう?

【福田】今いただいている案件の約3分の1ほどがインターナショナルなプロジェクトになっています。中でも東アジア、ASEAN各国を対象とするものが非常に増えています。2010年あたりまでは、海外プロジェクトの大部分が中国絡みでしたが、私たちとしては中国だけにこだわることなく、世界の企業の視線が今後広くアジアに注がれることを見越して、10年ほど前にアジアジャパンデスクというものをシンガポールに設置しました。

他のグローバルファームも「世界各地のオフィスとの連動」をアピールしていましたが、現実のプロジェクトでは、それだけでは足りない要素というのがいくらでも出てきます。刻一刻と発展し、進化していくアジア地域の状況を現地に常駐しながら捉え、日本企業にとって価値のある情報をリアルタイムでとらえていくアンテナのような機能の必要性、なおかつローカルプレイヤーとの結びつきを継続的に深めていくような拠点の必要性を痛感したことから、ジャパンデスク設置をどのファームよりも早く行ったのです。

今となっては他ファームも追随してジャパンデスク的な拠点を設けていますが、10年先んじた優位性は大きいです。私たちはすでにインドネシアにもジャパンデスクを置き、コンサルタントが常駐しています。30ヵ国以上のエキスパートと連携するリレーションシップも確立して、日本企業に最新情報をつぶさにレポートしていく仕組みも機能しています。

中国、シンガポール、インドネシアはもちろん、タイやミャンマーでも突出した実績を築きました。「アジアでの成功を起点にグローバル化を進めていく」ことを望む多くの企業から期待をいただくことができています。

例えば私が担当している消費財の中でも、日本の食品やファッションに関する分野は、アジアで高い評価を受けています。食も服飾も文化ですから、同じアジアの日本が生み出すモノの良さは、文化的親和度の高いアジアでは理解されやすい。いくつもの企業が高品質なプロダクトを生み出し、なおかつアジアに限らず欧米からも賞賛されている点は高いブランド価値としても映っています。

しかし、強力なライバルもいます。中国は言うに及ばず、韓国なども以前から国家戦略としてソフトコンテンツのアジア普及を成し遂げてきました。そうした競争相手と日々戦っていかなければいけないのですから、常駐メンバーと連動でき、実効性あるネットワークを持つ私たちに期待してくださる企業が増えているのだと自負しています。

アジアの場合、宗教や価値観の多様性がネックになるケースもあるのではないでしょうか?

【福田】おっしゃる通りです。特有の多様性に適応できなければ、アジア全域で勝ち残ることは難しい。ただし、ローランド・ベルガーはまさにこの多様性に強みを持っています。米国系ファームとは異なり、ヨーロッパに出自を持つファームの利点とも言えます。どちらが良いか悪いか、という話ではなくスタイルの違いだとは思いますが、やはり米国人と欧州人ではものの考え方の根本が違います。

私個人としても、ローランド・ベルガーに入った後、スペインバルセロナのIESE経営大学院に留学した際、そこから米国シカゴのノースウェスタン大学ケッログ校へさらに留学するという経験をさせてもらいました。欧米双方のMBA及び文化に触れ、多様性についての違いも体感したのです。

米国系企業が備えているカルチャーは、やはりマジョリティとしてのアメリカンカルチャーが強い。米国社会は人種や考え方の多様性を受容しつつも、そうした存在を中心に広がりを作っていくような考え方です。逆にヨーロッパはそもそもマジョリティが存在せず、異なる文化が等しく並列しているような中で協調してきた歴史を持っています。

マジョリティ先にありきの多様性受容と、最初から多様性の上に立脚してきた者との違いが、アジアという多文化、他民族エリアでポジティブに活かされている。私はそう考えています。

そういう違いは、人材採用の場面にも関わってくるのでしょうか?

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【福田】私はローランド・ベルガーで活躍し、ハッピーになれる人の要件というのが2つあると考えています。そしてその内の1つが、今申し上げた多様性についての価値観です。

ローランド・ベルガーは先ほどお話をしたような、「ヨーロッパで生まれた企業だから」という点だけでなく、意識的に「マジョリティを作らず、多様性をそのまま受容していこう」というカルチャーを大切にしていますので、この点に共感できる人が活躍をしやすい環境になっています。言い換えれば、例えば今、米国系ファームや事業会社にいて「何か違うな」と思っているような人には、是非興味を持っていただきたい。

ただし、私が考える「ローランド・ベルガーで活躍する人」のもう1つの条件にも注目してほしいと思います。それはアントレプレナーシップ。新しいチャレンジにぶつかっていくことが好きな人であるならば、私たちが今多様な領域で進めているプロジェクトでも、必ず活躍してくれると期待しているんです。

アントレプレナーシップの重要性を強調し、「サラリーマンは要らない」

【福田】私はここで採用の担当もしていますが、実感としてここ数年でコンサルティングファームへの参画を目指す人たちのマインドセットが変わりつつあるように思います。一言でいうならば保守的傾向が強まっている。職業を通じて生活の安定を求めるのは当然の欲求だとは思いますが、それが最優先だというかたは、コンサルティングとは異なる場が相応しいのではないでしょうか。

私に限らず、ここにいるすべての人は、お客さまへの貢献であったり、ともに挑戦した事業の成功であったり、業界全体の変革であったり、自身の成長であったり、とにかく今までやったことのないチャレンジに携わることでワクワクしていたい人間です。ですから、プロフェッショナルとしての高い志があり、成長に対して貪欲な人が集まった刺激的な環境の中で、自分を高めていきたいという希望を強く持っているかたに集まってほしいと思っています。

そういう人間がハッピーになれる風土や仕組みはしっかり揃っています。すでにマネージャーになっていた私が、「もっと高い知見を求めて留学したい」と主張をしたら快く留学を認めてくれましたし、携わりたいインダストリーや機能についても、若手のうちからどんどん希望を主張できる環境が根付いています。そんな環境を是非とも活かしたいと思うかたにお会いして、一緒にチャレンジを楽しんでいければと思っているんです。

プロジェクトマネージャー 鈴木慎吾氏 インタビューへ続く

プロフィール

写真:福田 稔 氏

福田 稔 氏
プリンシパル

慶應義塾大学卒業後、2002年に大手ITコンサルティング会社に入社。CRMコンサルティングから全社の経営企画まで多様なコンサルティング業務に従事。その後、2007年にローランド・ベルガー参画。消費財、流通・サービス、ラグジュアリーブランド、総合商社、製造業等の幅広い業種・業界において、グローバル成長戦略、ブランド戦略、事業再生戦略の立案・実行を担う。その後、社内の留学支援制度を活用し、欧州IESE経営大学院(MBA)、米国ノースウェスタン大学ケロッグ経営大学院(International MBA Exchange Program)への留学を経て、プリンシパルに就任。消費財業界に軸足を置きながら、プライベートエクイティに対するデューデリジェンス支援や、投資後の企業再生支援にも携わり、さらには経済産業省主導のクールジャパン政策への支援も行っている。

写真:鈴木 慎吾 氏

鈴木 慎吾 氏
プロジェクトマネージャー

一橋大学商学部を卒業後、2006年にみずほ証券入社。M&A・資金調達に関わるアドバイザリー業務に従事したのち、2010年にローランド・ベルガー参画。その後リクルートライフスタイルに転じ、プロダクトマネージャーとしてECサイトの立上げ・運営に携わったが、その後ローランド・ベルガーに再参画。消費財、サービス、製造業等を中心とした幅広い業界において、グローバル成長戦略、M&A・PMI戦略、事業再生戦略等の立案・実行を担っている。

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