いかなる問題に対しても適切な人やチームを送り込める
「「有事」の企業経営者のプラットフォーム」となるべく、人員の拡充をスタート
すでに数々の実績を築きつつあるDTAMだが、具体的にはどのように既存コンサルやファンド会社と違うのだろうか。
「DTAMでは企業が置かれている状況に応じ、大まかに4つの型を設定しており、アドバイザリー型、チーム常駐型、チームスタッフ派遣型、経営者派遣型の中から、最適なサービスを提供しています。
最初の2つは従来からある事業再生アドバイザリーの範疇ですが、3つめと4つめの、人をお客様の内部に派遣して、ともにリスクを負いながら再生を目指すスタイルが、DTAM独自の強みということ。ここまでやって、ようやく経営は有事から平時へと移行できるのだと考えているんです」(石坂氏)
例えば当社には前職で各種コンサル等でコスト削減の成果をあげてきたものもおりますし、ファンドに在籍し、マネジメントとしてバリューアップ局面で成果を上げていた者もいます。
実際の案件では、例えばクライアント企業におけるコスト削減策を立案するとともに、その立案者を購買部長として送り込んで実際にコスト削減を行い、一定の成果が見えてきたところで、今度は経営の中枢に然るべき人材を送り込み更なるバリューアップを図るという取り組み方も考えられます。
状況やタイミングによって、企業が必要としている機能や役割は異なります。再編や再生に成功するには、最適な時期に最適な人材を立てる必要があるわけです。もちろん同様の取り組み方をファンド会社なども実施しているようですが、『今は事務局に入り込んで、スタッフとして活躍する人材が必要』というケースもあれば『今このタイミングで優秀な経営人材が入らないと』という局面もある。
最適な人材がその都度必ずファンドにいるかというと、なかなかそうもいっていない実態があります。DTAMが現状、多くの企業から歓迎されている理由は、こうした部分で満足をしていただけているからだと自負しているんです」(沖本氏)
そして、この部分の強みをより強固にしていくため、ここへきて人員の拡大を目指してもいるのだと沖本氏は言う。
「DTAMもこれまでは、より経営層に近いポジションで真価を発揮するメンバーによって構成してきましたが、そろそろ現場に派遣されてデリバリーしていける若手人材も充実させていかなければいけない、と考えているんです」(沖本氏)
「サービスを提供する企業は、業種も規模も様々ですが、ビジネス界では非常に巨大な規模の企業が危機に直面するケースが後を絶ちません。そうした大企業の場合、今すぐにでも倒産するような危機を迎えるとは限りませんが、個別事業の採算問題にせよ、ファイナンス面でのトラブルにせよ、ありきたりのアドバイザリーサービスでは解決できないような複雑でこじれた状態になりかねません。
DTAMの手法は、このような局面でも有効に作用すると信じています。デロイト トーマツ グループは、もともとこのようなビッグディールを受け止め、成果を上げることを期待されることの多い存在ですから、グループとして向き合う中で、私たちDTAMが価値を提供していく場面も登場してくるはずです。
ともあれ、このような大規模な案件の場合は特に、現有のリーダー層人材だけでなく、現場へのデリバリーで付加価値を提供できる若手メンバーも必要になってくるのです」(石坂氏)
石坂氏も沖本氏も「DTAMは「有事」の企業経営のプラットフォームになる」のだと強調する。プラットフォームとは、ある意味、空母艦のようなもの。問題解決に貢献できる多様なリソースを甲板上に備え、いつでも適切なリソースを相手に送り込み、どんな敵にも対処できるようになることが必要だという。業種や規模を問わず、多くの企業から期待を集めるようになった今、人員の強化は不可欠というわけだ。
「型にはまった人」でなくていい。ユニークな経験を持ち
その活用法を知っている人ならば、必ず成長できる
では、DTAMはどのような人材を求めているのか? どのような人が活躍するのか? 両氏に尋ねてみると、2人同時に微笑みを浮かべ、こうもらした。
「"有事における経営"というテーマに強く惹かれる人間というのは必ずいます。もちろん、有事というのは深刻な状況を示す言葉ですが、その修羅場に分け入って力をふるう醍醐味や、そこでしか得られない成長を求めている層は間違いなくいる。
ちょうど私や沖本がそうだったように、このテーマを追求したくて、それができる場を探し求めている人物と出会うことが出来れば、きっと素晴らしい関係が築けると信じています」(石坂氏)
「私も石坂も、本音としては自分がその修羅場に入っていきたい人間なんですよ(笑)。DTAMを設立したことで、今はこのチームをしっかりしたものにすることが第一となっていますが、その目的を果たして行ければ、自分たちもまた現場に入っていける。そのために頑張っているようなところも、なきにしもあらずなんです(笑)」(沖本氏)
両氏によれば、現在いる20名弱のメンバーは多彩そのもの。コンサルティングファーム出身者もいれば、一貫して事業会社でキャリアを築いた者、起業をしてまさに修羅場をくぐり抜けてきた人などなどだという。万能型というよりも、ユニークで型破りな経験をそれぞれに持ち、強い「思い」を行動で示しているような面々。
「もちろん、経営を建て直すプロフェッショナルとして価値を発揮しなければいけませんし、不足しているものがあればどんどん吸収していく必要もありますが、何より必須なのは『思い』の強さ。きれいな絵を描いて、お客様のところに置いて帰るだけでは満足できない、というような強い情熱を持っていることがDTAMでは必要になります。
有事に遭遇しているお客様とともに、苦難を超えていくわけですから、人としての魅力も問われます。乱暴な言い方かもしれませんが、保守本流の領域で器用に評価を上げてきたような人は、概して面白味に欠けます。独特な経験を持っっていて、そこで得た経験値を局面に応じて活用できるような人に、私は期待をします」(石坂氏)
「有事に見舞われた企業に派遣される可能性もあるのがDTAMですから、コンサルティングやアドバイザリーのフェイズのみならず、常駐フェイズでも力を発揮したいと望む人であることが条件になります。
派遣される企業の大部分は混乱しています。シャープに目を光らせ、問題点を整理していくようなコンサル的能力が奏功することも多くなりますが、一般的なコンサルタントの力量だけでは、実質的な経営を把握することはできません。多くのコンサルタントはPLを深く理解し、活用できても、BSには精通していないはず。
会社経営の基本はPL、BS、キャッシュフローの3つ。この3つをすべて理解し、使いこなせて初めて経営再生のプロだといえます。もしも、平時ではなく有事のプロになりたいと望み、常駐型フェイズでも貢献できる力を得たいのであれば、DTAMは成長のための最良のプラットフォームになるはずです」(沖本氏)
石坂氏、沖本氏がともに口にした要素はもう1つ、将来的なキャリアパスについての自由な発想だ。
「今回、特に強く求めているのが若手の人材ですが、沖本が示したような成長を遂げていくことがDTAMならば可能ですから、早期に経営者として派遣されるような能力と素養を掴み取ることもできるでしょう。そうなった後、もしもご当人が望むならば1つの会社の経営に身を捧げてもいい、と私たちは考えています。
他方、この独特な姿勢で動き出したDTAMをより強くしていくことにエネルギーを費やしてくれるならば、もちろん大歓迎します。ここはプラットフォームなのですから、いかようにでも活用してほしいですね」(石坂氏)
「欧米ほどではありませんが、日本でも徐々にプロ経営者と呼ばれる層が活躍する機会も増えてきました。DTAMはそうした人たちをプールし、活躍の場を安定的に追い求めていく上でのプラットフォームにもなろうとしていますが、逆にDTAMで育った人材が、例えば担当した業界で経営人材としてキャリアを積み上げていってもいいと思っています。
言い換えれば、経営の仕事に携わりたいと志しているすべての人たちに門戸を開き、つながっていき、人材を輩出するプラットフォームにもなっていく。それによって日本に貢献できるならば言うことなしです」(沖本氏)
両氏の言葉は次第に熱を帯び始め、先にも触れた「優等生である必要はない」という話題が膨らんでいく。もちろん、コンサルタントやファンド会社のメンバー以上に多様な能力を培う必要性は「ある」と語り、「それを得るためにもDTAMを選んで欲しい」と語るのだが、「少々の変わり者でいいんだ」という部分を強調。最後にその理由を尋ねると、至極当然ともいえる答えが返ってきた。
「有事なんですよ。私たちが向き合うのは。それはつまり、予想だにしなかったことが毎日のように起きてしまう状況です。ありきたりの経験しか持っていない人間では務まりません。少なくとも、ビクビクしているようでは貢献もできませんし、成長もできません。
むしろ『有事は常に新しいことが起きる。だからいつもゼロから物事を考え、組み立てることができる』とポジティブに受け止められる素養が問われるわけです。いちいちビックリしない。失敗なんて、して当たり前くらいに捉える。そういう人間性に期待しているんです」(石坂氏)
「DTAM自体を、多様性を重んじ、その価値を発揮できるチームとして成長させたいと考えています。だから少々の変わり者をむしろ積極的に歓迎したい。目指しているのは新撰組あるいは海援隊のようなチーム。
1人ひとりが個性を発揮するサムライでありながら、なおかつ仲間を裏切らず、仲間の個性を受け容れて、ともに成長し、目標達成をめざしていくチームです。なにも変わり者だけを募集しているわけではありませんが、こういう言葉の背後から私や石坂の思い、真意を感じ取ってくれるサムライが参画してくれることを心から待ち望んでいるんです」(沖本氏)
プロフィール
沖本 普紀 氏
代表取締役 マネージングディレクター
一橋大学商学部卒業後、富士銀行(現みずほ銀行)で企画業務・不動産投融資・企業金融を経験。その後、A.T.カーニーにて主に金融機関向け戦略コンサルティングに従事。1999年、ソフトバンクファイナンス(現SBIホールディングス)執行役員に就任すると、合弁事業立ち上げや投資先上場会社の再建に携わった。その後も、ソフトウェア・ベンチャー企業のCFOとして上場に成功するなど、複数の事業会社で実績を上げた後、2008年にアリックスパートナーズ参画。LDH(旧ライブドア)の財務リストラクチャリングや、アジア国営航空会社の経営再建などの案件を担った後、2013年10月、石坂弘紀氏とともにアンカー・マネジメントを設立し、共同代表に就任した。1992年ノースウェスタン大学ケロッグ校にてMBA取得。著書に『企業再生プロフェッショナル』(日本経済新聞)などがある。
石坂 弘紀 氏
代表取締役 マネージングディレクター
東京大学法学部卒業後、通商産業省(現経済産業省)入省。主に不良債権問題解決に関わる制度改正や各種経済対策立案に携わった。2004年、産業再生機構に出向すると上場製造業の海外部門(中国、インドネシア、ブラジルなど)からの全面撤退を統括し、短期間で全面的成功を獲得。2006年に参画したアリックスパートナーズではLDH(旧ライブドア)の再生を担い、そのまま留まって2007年には同社代表取締役社長に就任して、事業再生・大規模訴訟対応などを通じ、大幅な株主還元に成功した。その後、原子力損害賠償支援機構での参与就任を経て、2013年10月、沖本普紀とともにアンカー・マネジメントを設立し、共同代表に就任した。2003年コロンビア大学ロースクール卒業(LLM)、ニューヨーク州弁護士資格を保有。著書に『民事再生法を活かす鍵』(きんざい)などがある。
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