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CXOインタビュー Japan Digital Design 株式会社 Chief Experience Officer 浅沼 尚 氏

CxOインタビュー

浅沼 尚 氏

GAFAや中国のBATという大手ITプラットフォーマーが金融機関の潜在的な脅威として認識されるようなった時代。
ついに日本のメガバンクも動き出した。
三菱UFJフィナンシャル・グループ(以降MUFG)が2017年10月に立ち上げたJapan Digital Design株式会社だ。
既存の金融サービスを再定義し、金融の「新しいあたりまえ」を創造する。
このミッションのもと、2018年からChief Experience Officer(CXO)として入社したのが浅沼尚氏だ。
日本ではまだ聞き慣れないCXOという職種。
浅沼氏はどのようなキャリアを経て、現在の役割を担うことになったのか。
どんなビジョンを持っているのか。いつもの15の質問で掘り下げていった。

浅沼 尚 氏

Japan Digital Design 株式会社

Chief Experience Officer

https://www.japan-d2.com

1976年生まれ 東京都出身。慶應義塾大学理工学部機械工学科卒業、同大学大学院総合デザイン工学専攻 修士課程修了。2001年に株式会社東芝に入社。映像機器や生活家電部門においてインダストリアルデザイナーとして経験を積み、2013年にデザインディレクターとして北米の東芝グループ会社に赴任。その後、デザイン部門の戦略立案やコーポレートブランディング業務に従事。2017年に世界10拠点でITサービスを展開するTigerspike株式会社(以降Tigerspike)へ転職。金融、保険、小売、航空業界等の大手企業のUXデザインコンサルティングを担当。UX Leadとしてデジタルサービスにおける体験デザイン戦略の立案やサービスコンセプトの開発を主導。2018年5月からJapan Digital Design株式会社(以降JDD)で同社における体験デザインのプロセス整備とデザインチームの立ち上げを行い、同年9月からChief Experience Officerに就任。慶應義塾大学大学院総合デザイン工学専攻博士課程修了。博士(工学)。

[1]自己紹介をお願いします

小さい頃から絵を書くことや工作は好きでしたが、将来の仕事については特に具体的なイメージはありませんでした。大学進学のタイミングでも、将来のイメージはぼんやりしたまま慶應義塾大学の理工学部に推薦入試で進学しました。学科は漠然とモノづくりに関わる仕事をしたいなと思って機械工学科を選択。しかし、大学に通ってみて、機械工学科で対象とするモノづくりと当時私が考えていたモノづくりとが違うことに初めて気づきます。私が思い描いていたモノづくりは、自分で何か課題を見つけてそれを解決するようなアイデアをカタチにすることであり、決められた仕様や性能を前提に設計することではありませんでした。

商品開発プロセスは一般的に上流工程と下流工程があり、エンジニアは主に下流工程の設計を担っていること、上流工程においてカタチを定義するインダストリアルデザイナーという職業があることを、大学入学後に知りました。当時インダストリアルデザイナーになるためには、美大や専門のデザイン学科を卒業するのが一般的でしたので、一時は美大を再受験することも考えました。

そんな折、慶應大学の大学院に日産のデザイン部門出身の教授がいることを知りました。迷うことなくその教授の研究室に入り、インダストリアルデザイナーを志しました。大学院では設計理論の研究を行いながら、デザイン専門学校に通いインダストリアルデザインの基礎を学びました。しかし、いざデザイナーとして就職先を探してみるとそう簡単にはいきませんでした。

2000年当時は工学出身者がインダストリアルデザイナーを志望すること自体が稀だったこともあり、大手企業において工学出身者はそもそもデザイナー採用の対象にもなりませんでした。複数の大手メーカーの採用窓口に問い合わせましたが、なかなか良い返事を頂けませんでした。最終的には大学院の教授の援助により、なんとか東芝のデザイン部門の採用試験を受けることができました。美大やデザイン学科出身者に混じって運良く採用試験をパスすることができたというのが社会人スタートまでの経緯です。

私が入社した当時は、日系メーカーはグローバル市場においてもまだまだ競争力があり、最先端のプロダクトを開発し世界市場に提供していました。東芝はデジタル製品、白物家電、医療機器、インフラシステム等、幅広い分野でデザインを行うことができるインダストリアルデザイナーにとって大変やりがいのある魅力的な環境でした。若手デザイナーでも様々な製品デザインを経験できる仕組みや文化があり、映像機器から家電まで多様な製品開発においてコンセプト提案から量産開発まで幅広くデザイン経験を積むことができました。また、関わった製品では、国内外で多くのデザイン賞を受賞することもできました。

その後、北米にある東芝のグループ会社へデザインディレクターとして赴任しました。配属は映像事業のマーケティング部門。当時は韓国メーカーがデザインや機能面でも市場をリードし始めていた時期。日本市場とは異なりデザインに対する期待や責任はとても大きく、業務も広範囲を任されました。現地のマーケティング責任者のもとで、リサーチやデザイン提案だけでなく、現地の営業、調達、製造、品質管理、リスク管理部門との調整や、欧州やアジアといったデザイン担当者との連携を行なっていました。

北米での駐在生活やビジネス経験は、自分の視座を大きく上げたとともに今後のキャリアを見直す一つの転機になったと思います。2015年に映像事業は北米市場から撤退することになったのですが、海外での生活やデザイン業務は、日本とは異なる文化を肌で感じて理解する貴重な経験であり、価値観の形成にも大きく影響を与えたと思っています。

日本に戻ってからは、本社のコーポレートブランディングやデザイン組織の戦略立案、デザイナーの採用や育成などに携わり、経営的な視点で業務を行う貴重な機会を頂きました。一方で、ビジネストレンドがモノからデジタルサービスへと大きく変化するなか、次のキャリアステップとしてデジタルサービスのデザインディレクションを経験できるような機会を社内で模索しましていました。

しかし、残念ながら当時は私が希望するような選択肢は社内にはありませんでした。長年働いてきた会社を離れるのには大きな決断が必要でしたが、最終的に新たな環境で挑戦することを選択し、デジタルサービスの体験設計においてグローバルで多くの実績があるTigerspikeにUXデザイナーとして入社することに決めました。東芝を離れる際にお世話になったデザイン部門や事業部の多くの方々が新たな挑戦を応援してくれたことは本当に感謝しています。

Tigerspikeでは、コンサルティング業務を通じて、様々な業界においてインハウスデザイナーが必要とされていることを実感しました。メーカーでは大企業から中小企業までインハウスデザイナーという職種は一般的ですが、金融、保険、小売、流通、航空会社などの業界では、日本の場合、大企業であってもインハウスデザイナーの必要性がまだ認識されていない状況です。このことに強い問題意識を持つようになりました。

また、企業カルチャーを最重視するTigerspikeでは、企業における組織づくりの大切さも学びました。どうすればデザイナーをはじめとした社員の能力が最大限に発揮されるか、魅力的な企業カルチャーをつくる意義は何かを実体験として学ぶことができました。自由で働きやすい環境のなか、バックグラウンドが異なる優秀なメンバーと一緒に質の高いデザイン業務ができたことは、本当に素晴らしい経験でした。

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Tigerspikeで複数のクライアント企業と一緒に仕事をしているなか、MUFGが立ち上げたJDDからデザイン責任者のポジションについて話しを頂きました。JDDで代表を務める上原(代表取締役CEO)から、「金融は目的でなく手段。既存の金融サービスの枠組みにとらわれず新たな金融体験を創りたい。」という強い想いとAI研究所の設置やエンジニアリング部門の拡大といった思い切った施策を聞いて、直感的にデザイナーが新たな価値を創出できる環境を作れると感じました。また、ソリューションをデジタルに限定せず、ハードウェアも対象としていることも、新たな体験を創り出すという観点で大きな可能性を感じました。

Tigerspikeでの仕事が充実していたので迷う部分もありましたが、非製造業におけるインハウスデザイナーの必要性という課題意識も後押しとなり、最終的にJDDでの新たなミッションに挑戦することを決断しました。まずは2018年5月からプロジェクトに関わり、2018年9月からChief Experience Officerとして新規プロジェクトや社内の体験デザインならびにデザイン組織マネジメント業務を行っています。

[2]現在の社内での役割について教えてください

ミッションは大きく2つあります。1つ目は、新規事業やMUFGが有するデータを活用したAIソリューションにおけるCustomer Experience(顧客体験)の設計です。リサーチ設計から始まり、機会領域の定義、ソリューションコンセプト創出、そしてプロトタイプの開発と検証までサービス開発の上流から下流まで全体を通して関与することになります。

2つ目は、社内におけるEmployee Experience(従業員体験)の設計です。新規事業を創り出すことは口でいうほど簡単ではありません。一定の成果が出るまではしんどいことばかりと言ってもいいと思います。だからこそ、そのしんどさをポジティブな力に変換できるような組織や環境づくりが大切だと思います。個人のモチベーションやスキルだけに委ねるのではなく、組織として個人をモチベートしたり能力を引き出したりする環境を作ることが自分の役割だと思っています。試行錯誤を重ねながらではありますが、外部の専門家の力をお借りしながら、業務プロセスの改善、オフィス環境の整備、社内活動の導入を行なっています。

[3]小中学生時代はどんなお子さんだったのでしょう?

運動神経が良く活発な子供だったと思います。小学生から高校生までバスケットボール部に所属していてキャプテンを任されていました。小学生の頃はまとめ役というよりも自己中心的なタイプで、周り厳しく接してしまうことも多かったと思います。小学生時代に先生や親に何度も諭されて、このとき初めて勝負に勝つためには自分個人の力だけでなく、チームとしての力が大事だと学びました。

[4]高校、大学時代はどのような学生でしたか?

高校生時代は部活漬けの生活だったと思います。引き続きバスケットボール部に所属していて肉体的にも精神的にもかなり鍛えられました。(東京都立)国立高校は文武両道の精神を掲げていたのですが、勉強はそこそこで部活に没頭していました。勉強がずば抜けてできたわけではありませんでしたが、ありがたいことに内申点の評価が高かったので、推薦入試を受けることができました。インタビューの最初にお話しましたが、モノづくりに興味があったこともあり、あまり深く考えないまま慶應義塾大学の理工学部の推薦入試を受けて進学を決めました。

[5]ご自身の専門性をいつごろ決めたのでしょうか? その理由についても教えてください

最終的には大学3年生のときです。大学3年生のときに、GKインダストリアルデザイン(株式会社 ジイケイデザイン機構)で車両デザインをしている菅さんの講義を受講して、インダストリアルデザイナーを目指そうと決めました。

[6]専門的スキルは主にどこで獲得したのですか?

東芝に入社して実務を経験しながらだと思います。デザイン実務では創造性や造形力だけではなく、理解力、コミュニケーション力、プレゼンテーション力といった総合的な能力やスキルが必要とされます。私が東芝に入社した頃は、主要な製品におけるデザイン案の選定が全て社内コンペ形式で行われたので、新人デザイナーもベテランデザイナーと同様の総合的なデザイン力が求められました。大きな組織のなかでこのような機会があったからデザイナーに必要とされる能力やスキルを身につけることができたと思いますし、このときの経験が今でもデザインを行うえでの基礎になっていると思います。

[7]リーダーシップやマネージメントに関する経験やスキルは、いつ、どこで獲得したのでしょう?

リーダーシップに関しては部活動での経験が大きかったかもしれません。常にチームをリードする立場にあったので、そのなかで自然に身についた感じがします。マネージメントに関しては海外でのデザインディレクションとコーポレート部門でのデザイン組織運営を通じてだと思います。両者とも自分のチームだけでなく複数の組織を横断するプロジェクトをマネージメントすることが多く、この時期にマネージャーとしての人間力や基本スキルが身についたと思います。

[8]キャリア形成上の転機があったとすれば、それはいつのことですか?

2つあります。1つはアメリカ赴任の時です。東芝のグループ会社ではありましたが、企業文化も業務プロセスも全く違う環境のなかで、各国の事業部門、開発部門、マーケティング部門の方々と連携しながら、ビジネス全体を俯瞰してデザインディレクションを行えたことは本当に貴重な経験でした。日本とは異なる環境のもと、ビジネスに近い立場で責任を負いながらデザイナーとして成果を出せたことは、大きな自信につながってます。アメリカでの実務経験は、その後の自分の仕事に対するスタンスやデザインアプローチに大きく影響していると思います。

もう1つは社会人の時に博士課程に進学した時です。2足のわらじというかたちでしたが、やはり自分が納得できるような成果はなかなかでませんでした。結果的に6年も大学に通うことになり、周囲にかなり迷惑をかけながらなんとか学位を頂くことができました。この時の経験があるので、当面はデザイン実務に集中するようにしています。

[9]強く印象に残っている試練やストレッチの経験について教えてください

思い返すと試練といえるような大げさなものはなかったかなと思います。ストレッチという感覚も特にないのですが、あえて挙げるとしたら、東芝在籍中に社外のデザインコンペへ作品を応募したことです。現状に甘んじず高い目標を立てるという意図よりも、当時はデザインを続けるなかで何か客観的な指標になるようなものが欲しかったんだと思います。結果として2つのデザインコンペで最優秀賞を頂きました。社外でも一定の評価を得られたことで、自分のなかでデザイナーとしてのある程度のアイデンティティが確立できたと思ってます。

[10]影響を受けた先輩や、師匠といえるかたはいらっしゃいますか?

デザイン実務に関して言うと絞り込むのは難しいですね。大学や東芝時代に出会った多くの方に影響を受け、デザイナーとして、そして人として多くのこと学ばせてもらいました。
デザイン実務以外で挙げるとすると、自分の父親と茶道の先生です。2人共70歳近い年齢ですが、常に他者のことを考え、自らの経験を社会に還元すべく生涯現役を貫いています。その生き方や姿勢を見ているといつも背筋が伸びますし、自分もそうありたいと思います。

[11]座右の銘や、独自の哲学などをお持ちですか?

座右の銘は特にないのですが、意識していることは幾つかあります。若いときには「失敗しても必ず取り戻す」と決めて結果に執着してました。特に「手を抜くことがクセにならない」ように、やると決めたら何事にも徹底してやることを意識してました。ある程度裁量を持って仕事をできるようになった30代では、まず「失敗から学ぶこと」を意識してました。そもそも挑戦しないと失敗することもないので、今まで経験したことないことに挑戦することを大事にしていました。

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つぎに、「独自の視点を持つこと」を意識していました。ビジネスとデザイン。ハードウェアデザインとデジタルデザイン。マネジメントと実務。日本文化と海外文化。異なる軸を自分のなかに併せ持つことで自分らしい観点を持てるように意識して仕事をしていました。

今は常に「問う」ことを大事にしています。今までの経験がバイアスになることはできるかぎり避けたい。今までの経験を過信しないで、可能な限りフラットな状態でデザインに取り組みたいと思ってます。

[12]感動し、影響を受けた本や映画などがあれば教えてください

本や映画では無いですが、幼少時は動物や天体の図鑑、LEGOが大好きで、たぶんこの頃の体験は、自分の好奇心や創造性に大きく影響を与えていると思っています。

[13]CXO(Chief Experience Officer)として今後必要なスキルや資質についてはどのようにお考えでしょうか

代表の上原に言われたことが印象に残っています。「やめる」意思決定をすることが大事といった言葉です。何か新しいことを「はじめる」ことより、始めたことを適切なタイミングで「やめる」ことの方が難しい。この能力を磨くためには、大小含め今のポジションでの意思決定を積み重ねながら鍛錬するしかないと思ってます。あとはCXOというポジションはまだロールモデルが少ないので、CXOがどんな役割を担って、会社に何をもたらす存在かを社内外に発信することも大事だと思ってます。

[14]ご自身の今後のキャリアビジョンについて教えてください

まずは、今の立場で自分で納得できるような成果を出すことが直近のキャリアビジョンです。デザイン実務の観点では、デジタル化が進むなかで排除されがちなデジタルリテラシーが高くないユーザーでも、自然に使えるようなサービスの創出に積極的に取り組んで行きたいと考えてます。

「インクルーシブデザイン」のようなアプローチはサービス設計においてまだまだ一般的ではないですが、社内のデザインプロセスの一つとして定着させたいと考えてます。
また、若いデザイナーの方々が活躍できる場をつくることも私のミッションだと思ってます。JDDをそういう場にしたいと思ってますし、将来的にはJDD以外でもそういう場を作れればと思ってます。

[15]若い方々へメッセージ、アドバイスをお願いします

私が言うのもおこがましいですが、まずは目の前にある課題に対して謙虚に手を抜かずにやり切ることが大事かなと思ってます。その上で、失敗することを恐れす自分の直感を信じて挑戦してみる。デザイナーに限らず、若い方々には自分の可能性を信じてのびのびと仕事をしてほしいと思っています。

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