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CDOインタビュー 株式会社Mizkan Holdings 執行役員Chief Digital Officer兼 デジタル戦略本部長 兼 プロセストランスフォーメーション部長 渡邉 英右 氏

CxOインタビュー

渡邉 英右 氏

1804年創業のミツカングループは、食酢をはじめとする調味料や納豆等の食品等の製造販売で、食酢などの市場をリード。
いまや、海外売上高比率が5割を超えるグローバル企業に成長。
そして2018年、ミツカン未来ビジョン宣言を発表したことでも注目を集めている。
象徴的な存在が同社初のチーフ・デジタル・オフィサー(CDO)。
就任した渡邉英右氏は、主に外資系企業でキャリアを構築してきた人物である。
伝統企業が挑むデジタル対応において、渡邉氏はどのような役割を果たしていくのだろうか?
いつもの15の質問を通して答えてもらった。

渡邉 英右 氏
株式会社Mizkan Holdings
執行役員Chief Digital Officer兼 デジタル戦略本部長 兼 プロセストランスフォーメーション部長
http://www.mizkan.co.jp/

1979年、岐阜県生まれ。米国コミュニティカレッジを卒業後、ベンチャーを経てマイクロソフトに入社。2008年までの約5年間でコンテンツ・スペシャリスト、マーケティング・ソリューション・マネージャーなどを務めた。その後、ICS(一橋ビジネススクール)にてMBAを取得すると、米国デジタル企業のMother App社を経て2011年にカタリナマーケティング ジャパンに入社。同じく米国系の日本テラデータでビッグデータ解析に携わった後、日本マクドナルドに転じ、同社のデジタル変革をリード。2018年11月、Mizkan HoldingsのCDOに就任した。

[1]自己紹介をお願いします

私は米国のコミュニティカレッジにいる頃からネットを使って学費を稼いだりしていました。卒業をするとそのままITの世界で働き始め、日本マイクロソフトでは価値ある経験をさせてもらいました。ただ、シアトルの本社とやりとりをする機会が増えていくうちに、優秀なアメリカの同僚が皆MBAホルダーだということを知って気持ちが動き、一橋大学のビジネススクールに通うことにしたんです。

マイクロソフトでも、年齢や学歴に関係なく自由にやらせてもらいましたが、ビジネススクールではまったく異なるバックボーンの学友たちとの交流から非常に大きな刺激を受け、自分自身の将来像などを俯瞰的に見つめる良い機会になりました。MBA取得後はカタリナマーケティングやテラデータ等で、デジタル関連の業務に携わり、組織をゼロから起ち上げていくような経験をすることもできました。

2016年になると、サラ・カサノバさんがCEOに就任して、大胆な経営変革を実行していた日本マクドナルドから声をかけてもらい、足立光さん(当時CMO。現在は米国ナイアンティック社アジアパシフィック プロダクトマーケティング シニアディレクター)率いるマーケティング本部のデジタルエンゲージメント部という部門でデジタルマーケティングによる改革などをやらせてもらいました。

いわゆる事業会社で働いた経験や、そこでV字回復を成し遂げたチームの一員を務めたことは自信にもつながりましたが、大きな会社が変革を目指す場合に、そうそう簡単には効果が短期的に現れては来ない現実も、学習することになりました。

ミツカンホールディングス(以下、ミツカン)からCDOのお話をいただいた時にも、大規模な事業会社におけるデジタル変革の難しさは頭に浮かんできたのですが、お話をさせてもらう内に、考え方が変わっていきました。

ミツカンは日本人なら誰でも知っている歴史ある企業です。長い年月を生き抜いてきた会社には、どうしても保守的なイメージを持ってしまいがちですが、よく考えてみれば「常にその時代ごとの変化に適応してきた」から長続きしているのだとも言える。事実、ミツカングループのチーフオフィサー・クラスのかたがたは、40〜50代という若さ。聞けば、戦略的に少しずつ若返りを図った成果なのだということ。

米国に本社があるような企業ばかりで働いてきた私には、こうした「長期的に変革を形にしていく姿勢」が素晴らしいものだと思えたんです。今回のデジタル変革についても、大胆さを期待しつつも、きちんと地に足の着いたものにしていきたい、という経営陣の意向があるとわかったので、CDO就任のお話をお受けすることにしたんです。

[2]現在の社内での役割について教えてください

私のCDO就任と同じ2018年11月に、ミツカンは「ミツカン未来ビジョン宣言」を発表しています。そこでは、10年先の未来に向けた基本理念が示されているのですが、このビジョンに則って、私が担うデジタル変革も進めていこうとしています。つまり、短期的にいくつかのデジタル関連プロジェクトを進める、というような取り組みだけではなく、ミツカングループ全社を変えていく、というスケールの大きなミッションを担わせてもらっているわけです。

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営業のあり方だったり、マーケティングの手法だったり、バックオフィスの働き方だったり、社内の隅々をデジタルによって変えていくのが使命ですから、かなり大規模なロードマップが出来上がってもいます。生活者とのエンゲージメントのために、生活者を主語にした発想でデジタルマーケティングを打っていく動きもあれば、ロジスティクス領域の運送費問題解決のためにルート最適化をデジタル技術で行っていく動きなどもあり、いろいろと動き始めています。

ただし、CDO就任時に弊社の代表とも約束をしたのですが、私がまずやるべきことは「この会社のかたたちと仲良くなること」だと考えています。外から入ってきたチーフオフィサーが得意分野で何か専門性を発揮すればそれでいい、とはミツカンの経営陣も私自身も考えてはいません。一緒にこの会社をもっと良くする、もっと面白くするために私はここにいると考えています。

中にいる人たちをその気にさせるのが役割なのですから、「仲良くなる」のはとても大事な仕事。今後はデジタル変革のためのチームも編成していきますが、外部からの人間は原則として私だけ。あとはミツカンの社内から集まっていただき、一緒に変革を成功させたいと願っています。

[3]小中学生時代はどんなお子さんだったのでしょう?

岐阜の田舎に生まれ育った、どこにでもいるやんちゃ坊主だったと思います。親も放任主義でしたから、野球やドッチボール、釣りに昆虫採集に、という具合に遊びまくっていました。

[4]高校、大学時代はどのような学生でしたか?

遊びに夢中だったわりに成績は良かったので、高校では進学校に行ったのですが、突然まわりがデキる子ばかりになったこともあり、成績は上から数えて300番目(笑)というようなどん底を味わいました。

さすがにマズイと思って、必死で勉強したら20番目くらいまで這い上がることはできたのですが、大学受験では浪人を経験。親からの勧めもあって、米国シアトルのコミュニティカレッジへ留学することにしました。学問での収穫以上に、大きかったのが、自己流のネットビジネスをアルバイト感覚で始めたところ、それがうまくいき、インターネットの醍醐味を知ったことでした。

[5]ご自身の専門性をいつごろ決めたのでしょうか? その理由についても教えてください

ITやインターネットが持つ魅力に惹かれたのは、米国での学生時代ですが、その後、複数の会社で上司や同僚にも恵まれて、様々な役割をやらせていただく中で、自分の能力を伸ばしていくことができました。キャリアの大部分はITやデジタル関連の仕事だったのですが「結局のところ、自分が価値を出せる専門性とは何なのか」がはっきりしたのはわりと最近です。

カタリナマーケティングや日本マクドナルドのように、売場や店舗といったリアルな局面とネットとをまたいで行うような分野で働いた時、最も価値を出すことができたように感じていますし、私が追求していくべき領域もそこにあるのだと思っています。今後もネットの中で完結してしまうような世界ではなく、リアルなお客様や、そのお客様と接していくかたたちを意識しながら、デジタルが持つ力や機能を活かしていきたいと思っています。

[6]専門的スキルは主にどこで獲得したのですか?

マイクロソフトなどでプログラミングを経験したことは、非常に大きかったと思っています。リアルなビジネスにITやデジタルを活かしていく時代だからこそ、その基本であるプログラミング言語やテクノロジーの仕組みを多少なりとも知っていることが生きてきます。

最近では日本の経営者層もプログラミングを学び始める傾向が出てきていますが、素晴らしいことだと思います。今後もしもCDOやCTOのように技術をベースにしながら経営にも携わっていきたいと考えているかたには、今からでも遅くないのでトライしてほしいと思います。想像以上の気づきや学びがありますので。また技術者の身になって考えることもできるようになります。

[7]リーダーシップやマネージメントに関する経験やスキルは、いつ、どこで獲得したのでしょう?

正直に言いますが、私自身のリーダーとしての能力は、これから経験を重ねて伸ばしていかなければいけないと考えています。ただ、これまで在籍した複数の企業で、非常に尊敬できるリーダーに出会えたこと、そして若いうちからチームを任せてくれるような環境に多くいたことは、成長につながったと思っています。

[8]キャリア形成上の転機があったとすれば、それはいつのことですか?

ITやデジタルの領域で生きていくことにつながったのは、マイクロソフトで得た経験からでした。そして、「リアルとデジタルをつなぐ」局面に自分の価値を見いだすきっかけになったのは、カタリナマーケティングで、日本全国の流通小売のお客様や消費財メーカーのお客様とデジタルについての会話をたくさんさせて頂いた事が、今でも財産になっています。

[9]強く印象に残っている試練やストレッチの経験について教えてください

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たくさんあり過ぎてどれか1つを挙げることができません(笑)。とにかく、新しいことにチャレンジしたい人間でしたから、非常に数多くの会社で、多様な役割を経験してきましたし、ほとんどが新しいことへの挑戦でしたから、いつも試練を味わっていたようなものです。

ただ、本当にありがたかったのは、すべての職場が、私のようなチャレンジャーを認めてくれる風土を持っていたことです。そういう意味では、今チャレンジのチャンスをくれているミツカンもまた、良い意味での試練の場だと考えているところです。

[10]影響を受けた先輩や、師匠といえるかたはいらっしゃいますか?

たくさんのかたに影響を受けましたが、特に強烈だったのは、日本マクドナルドで出会った2人です。1人は直接の上司でもあった足立光さん。とにかく、二極のバランスを絶妙にとれるかたなんです。例えば理想と現実、ロジカルとクリエイティブ、というように双方を共存させなければいけないけれども、互いに対極にある存在で、なかなかバランスをとりにくいものを、うまく共存させていく。その妙技に感動しつつ、影響を受けていきました。「ゴールは何か」にこだわるかたでもありました。そこをブレずに追求する働き方も、お手本にさせてもらいました。

もう1人はCEOのサラさんです。経営を任された頃の日本マクドナルドは、本当にピンチだったのですが、冷静に現実を受け止めながらも「変われる」と発信し続けて、大人数を巻き込んで変革を成し遂げてしまいました。このかたの強さにも大いに学ばせてもらいました。

[11]座右の銘や、独自の哲学などをお持ちですか?

座右の銘のようなものは持っていません。向き合っている課題次第で、その都度こだわる姿勢や考え方を変化させてきたと思います。

[12]感動し、影響を受けた本や映画などがあれば教えてください

本や映画は好きですし、ビジネスの観点でも有意義だと思っているのですが、何に最も感動するのかというと、田舎育ちのせいか(笑)自然が見せてくれる風景なんです。例えばカナディアンロッキーの雄大な情景などに遭遇すると、感動しますし、パワーをもらえた気持ちになれます。

[13]CxOというキャリアの将来性や、今後期待される役割について、どうお考えですか?

CxOには、2種類あると考えます。1つはCEOやCFOのように、これまでの組織においても違う名称で誰かしらがその機能を果たしてきたもの。もう1つがCDOのように、時代の要請もあって新しく生まれてきたものです。

専門性をもって経営に貢献していくチーフオフィサーの存在は、今後も変わらずに重要であり続けると思いますが、後者の新しく生まれてきたCxOの中には、この先、例えばCOOやCMOの役割の一部となっていくものもあると思います。

特にデジタルについていえば、2019年の今は新しいものとして扱われていますが、かつてのITが時とともに経営に使われるのが当たり前になったように、デジタルもまたそういう位置づけになるはず。そうなれば、いつかはCDOが良い意味で必要なくなる企業もあるでしょう。大切なのは企業という組織が、いかに新しい価値をインテグレーション、つまり融合させていけるか否か。それを成功に導くのがあらゆるCxOの重要な役割だと考えています。

[14]ご自身の今後のキャリアビジョンについて教えてください

キャリアビジョンをどうするか、という前に、今の私にはやるべきことがたくさんあります。まずはそれらと向き合っていきたいと思います。長期的な視点で変革を起こそうとしているミツカンの姿勢に強く共感しているのは、さきほども申し上げた通りですが、だからこそ、私としてはQuick Winを重ねたいと思ってもいます。

つまり、社内の様々なところで小さくてもいいからデジタルを使った成果を重ねていく。そうすることで多くの社員の意識の中に「いろいろできることがあるじゃないか」というポジティブな気持ちを喚起していきたいんです。

自分自身のキャリアのこれからについては、一連のミツカンでのチャレンジが続くうちは、具体的になっていかないと思いますが、親が学習塾を営んで教育に携わっていた影響もあってか、なにか人の成長につながるような役割に就いていけたらいいなあ、と思ってはいます。

[15]若い方々へメッセージ、アドバイスをお願いします

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メッセージは3つですね。1つめは「若いうちにできるだけ『出る杭』になりましょう」です。私自身のこれまでのキャリアパスが良い参考例になるかどうかはわかりませんが、とにかく「成功するキャリア」が何なのか、よくわからないまま、興味がわいたものに手を出していきました。

考え込んでいるくらいならば、とにかく動いて経験して、少々目立った「出る杭」になってもいいから、そこで得たものを積み重ねていけば、自然と進むべき道も見えてくると思うんです。

2つめのメッセージは「グローバルな視点を持ちましょう」です。私などは大学受験に失敗して、成り行きで米国に行ったりしたことが、むしろ良い経験につながったのですが、その後も複数の外資系企業で働いたことから、グローバルな視点の基準みたいなものを肌で知ることができました。

日本で昔から根づいてきたものとは明らかに違うものがそこにはあります。端的に言えば、発言権の取り合いみたいな様相が、常にあるんです。これからは国内市場がシュリンクしていくわけですから、どんな企業に入ろうとグローバル基準で働くことになります。そこで価値を出していくための視点や姿勢は、誰にとっても必須になるはずですから、意識を高めて獲りに行ってほしいと思います。

3つめのメッセージはITやデジタルに携わる場にいるかたがたに向けてです。「リアルなものや場面にもっと目を向けましょう」と言いたいですね。例えばCDOになるにせよCMOやCIOになるにせよ「技術やデジタルに精通していれば通用する」なんてことはあり得ません。テクノロジーで何かを変えようとする時には、必ず人間が介在します。AIなどの技術がどんなに進化しても、それは変わらないはずです。

リアルを知り、人間を知る者こそが、デジタルをはじめとするテクノロジーを価値あるものにすることができるのだと私は確信しています。ぜひ、リアルとデジタルの両方に同じように目を向けて、自身を成長させてほしいと思います。

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