プライベート・エクイティ転職体験談

第1回:総合商社出身者

弊社は、2000年代前半のPEファンド黎明期より各社の採用をサポートさせていただいており、外資系・日系のPEファンドへ200名以上のご紹介実績がございます。今回は、弊社を介してPEファンドへご転職した方に、当時の転職活動についてインタビューを行いました。
PEファンドを志した経緯、入社後実感した前職との違い、選考準備等について具体的にお話を伺いましたのでぜひ参考にしてみてください。

【転職前】大手総合商社
【現在】日系大手PEファンド

まずは自己紹介をお願いします。

PEファンドに入る前の主なバックグラウンドは総合商社です。事業投資や投資先の経営管理業務をやっていました。

PEファンドを志すようになったきっかけを教えてください。

商社での投資関連業務を通じて、また、とある案件でPEファンドと協働したことをきっかけに興味を持つようになりました。
商社では「事業投資」と言ったりするだけのこともあって、投資も投資後の経営管理やバリューアップも、その商社の事業拡大、商社グループの繁栄のために行われています。つまり主語は商社なわけです。他方でPEファンドの投資は、投資先個社を主語にして、その潜在力を最大限に引き出すお手伝いをすることで、結果的に投資リターンを創出しようという試みです。
投資によって、ある会社の株主になることには変わりありませんが、この視点の違いはけっこう大きいものです。良し悪しではなく単に思想や目的の違いではありますが、株主の役割について真剣に考えてみたいと思ったのが、PEファンドに移った一つの理由です。

実際に商社からPEファンドへ転職され、当初の感じていた総合商社とPEファンドの違いについては想像通りでしたか。

はい、概ねイメージどおりでした。商社との対比では、PEファンドの投資は目的が分かりやすいといえば分かりやすいですね。でも、目的はシンプルですがとても奥が深い仕事です。想像していた通り、実際に投資先の価値をどう上げられるかということにフォーカスして投資を検討し、投資後はその観点からガバナンスを設計し、またバリューアップ活動に取り組んでいます。常に学びのある仕事で非常に面白いですね。

商社の経験でPEに活かせた経験と足りなかった経験があるとしたら、どのような点でしょうか。

商社の中でも、投資系の仕事をやっているかトレーディング業務をやっているのかで全然違うと思いますが、投資系の仕事であれば求められるスキルや経験は近いと思います。投資の視点やガバナンスの考え方に違いはあるものの、私自身はあまり大きなギャップを感じませんでした。

経験・スキルの面での不足を感じたところはファイナンスですかね。商社に限らず事業会社だと、財務部門がコーポレートファイナンスで調達したお金があり、事業部門は既に会社のバランスシートにあるお金を使って投資をするという構図が普通です。もちろん会社のお金を使うための稟議があり、また社内金利のような概念があったりもしますが。一方で、ファンドの場合、投資案件ごとに最適な形でお金を用立てることも投資担当が行うわけです。特にLBOファイナンスの実務は商社ではなかなか経験しませんので、そこはキャッチアップが必要なところでしたね。

分析のメッシュの細かさや、モデリングの精密度について、商社との違いを感じるところはありますか。

分析やモデリングの細かさについては、商社の中でも案件によって、またチームや個人によって異なりますので一概には言えませんね。個人的には、細かい分析はもともと嫌いではないですし、商社時代もそれなりにやっていたと思うので、今の組織に来ても特にギャップは感じませんでした。

商社とPEファンドで違いがあるといえば、投資の対象や位置付けの部分でしょうか。商社の投資の多くは順張りなんです。この市場は明らかに伸びていくよね、というところに投資をしていく方が多いんですよ。「事業投資」なので。一方で、PEファンドの場合は、そういう場合もありますけれど、順張りだと当たり前ですがエントリー時のバリュエーションが高くなりがちですので、何らかの理由で成長の踊り場にあるけれどファンドが手を入れると伸びそうな会社を発掘してきて投資するといったことが多いです。そうするとモデリングを行うときも、投資のテーマとなる会社の内部的な改革による成長もモデルに落とし込んでいく必要があります。「どういう改革をすると、KPIがどのように変わるか?」というような話です。商社で行われるモデリングでは、市場の成長を踏まえて事業のボリュームがどの程度大きくなっていくか、というトップラインに論点の比重が置かれたものが多いと思います。

転職活動を実際にされ、苦労したポイントについてお伺いさせてください。転職活動を始めて想像と違ったことはありましたか?

一つは、プロセスがそれなりに長い会社が多く、各社の進行状況などタイミングを合わせていくのには苦労しました。もう一つは、当時はあまり業界に知っている人がいない中、パートナークラスの方との面接だけでオファーに至ってしまうファンドがいくつかあって、実際に入った場合の職場のイメージが持ちにくかったことです。そのあたりは実際に始めてみて感じたことでした。

インタビューの回数が多いという点では、具体的にやりくりで困ったことはありましたか。

プロセス全体像が見えないこともあり、複数社を同時並行的に受けようとすると、そのタイミングの調整は少し気を使わないといけないところでした。最終的にオファーをいただいたところもお待たせせず、且つ納得感のある活動ができるよう意識していました。

今からPEをチャレンジする方に向けて、どんなマインドを持って転職活動を乗り切れば良いか、アドバイスをお願いします。

どこまでいっても求職者側が知らないことのほうが多いと思います。ですから、あまり考えを決めつけず、様々な可能性に対してできる限りオープンな姿勢でいるということは、機会を掴む意味で大事だと思います。また、転職活動という意味では、最後、退職申し出時に色々な形で慰留にあうことが多いので、現職に残らない理由、そして志望する業界に行こうという気持ち・理由を、ご自分なりにしっかりと整理してから挑むことも重要だと思います。面接においても、そういう部分はどうしても相手に伝わるものです。

具体的に転職活動の際にされていた準備はどんな準備でしょうか。また、ポイントも教えてください。

大事なことは、先ほどお話した通り、転職に対する覚悟がきちんとできているのかということです。PEファンドの多くは少人数の組織ですし、投資家から資金をお預かりする立場で、また、投資先の方々の人生にも大きな影響を及ぼしうる仕事です。つまり、そのファンドに入るということ自体とても責任が求められることですし、ファンド側もリクルーティングは重要な投資と位置付けています。自分の中で「なぜPEに行こうとしているのか」という整理がきちんとできているかどうかが大事なことだと思います。

PEへの転職したい理由について思考の整理をすることを前提として、その他モデリング、投資ケースのケーススタディーについての準備で必要な事を教えてください。

ハードスキルは様々なものが必要ではあるので一概には言えないですし、その方のバックグラウンドによって各スキルの期待値は異なると思います。選考も恐らく各ファンドで全然違うと思います。最低限求められるベーススキルというのはあるかもしれませんが、より大事なのは、自分のバックグラウンドで期待されるであろうことを理解した上で、きちんと強みをアピールできるか、ということでしょうか。

PEへの転職で最低限備えていなければならない部分だと、ご準備したことやポイントはありますか。

LBOの基礎的な理解ですかね。また、モデリングテストはないところもあると思いますが、課題式だったり、その場で作る方式だったりで何かしら実施されることが多いので、実務での経験がなければ基礎的な事項は予習しておくことをお勧めします。本も出ていますし、インターネットでも勉強できます。

何社ぐらい応募されて、同時並行でお受けになりましたか。

5社程度です。

PEファンドを受ける上で、どのように応募先を選定していきましたか。

応募前は各社について全然詳しく知らなかったので、外資系、日系独立系、政府系ファンドなどあえていろんなタイプのファンドの話を聞きに行きました。ただ、ある程度実績や投資の方法論がしっかりしているファンドの方が商社との比較対象という意味で面白そうだったので、ある程度ネームを重視した面もありました。実際に各ファンドのメンバーと話すことによって各社の違いもかなり見えてきて、結果的に業界への理解が深まったと思います。

現職に入社を決めたポイントを教えてください。

これは結構シンプルで、投資に対する考え方や価値観、組織です。現職は面接で会ったメンバーもみな面白くカルチャーフィットを感じました。
PEファンドは少人数の組織なので、結局そこにいる一人一人がそのファンドのカルチャーを形成しています。したがって、面接で複数名にお会いする中で、その人たちがどういうことを言うのか、どういう考え方をしているのかを聞く事で、そのファンドのカルチャーを理解できると思います。

弊社の担当(佐竹)にはどんな相談をされ、どんなアドバイスを参考にされましたか。

まず、佐竹さんには具体的な活動を始める前のかなり早いタイミングで一度お会いしました。これは冒頭の、PEファンドに関心を持ち始めたけれどまだあまりしっかりと調べていない、というタイミングでインターネット検索したところ、業界についてとても詳しい記事を書かれており、お会いしてみたという経緯です。そのときに業界全体のビューみたいなものを教えていただきとても参考になりました。今思うと、それがなかったら、あまり全体像が見えていない中で転職活動をすることになったと思います。また、選考プロセス中は毎回面接結果を佐竹さんに共有し、今どういう段階にあるのかについて助言いただいていました。プロセスの全体像が分かるのでとても助かりました。

弊社以外にもエージェントにコンタクトされたと思いますが、何社ご利用になって、どういう観点から選定されましたか。

最終的にPEファンドへのアプライで利用したのは2社です。もともと本格的に転職活動をする前にも、多くのエージェントさんにコンタクトしていて、様々な方とお会いしていると、それぞれの特色や人材エージェントとしてのプロ度合いが見えてきました。先程お話した通り、佐竹さんとはPEファンドについて話を聞きにいったのが始まりですが、圧倒的な知識量と業界情報のリアル感で他エージェントさんとは差がありましたね。今も思いますが、本当に業界ネットワーク広いですよね。狭い業界ですし、詳しい方に絞ってアプライしたほうが良いと考えました。

PE業界への理解を深める上で、有効だった方法があれば教えてください。

持ち上げるわけではないですが、佐竹さんにお会いして、PE業界についてハイレベルな情報収集ができたことですかね。本当は業界の中の人に直接たくさん会えればいいのですが、普通の人はそういうネットワークはないわけで、そこに佐竹さんのバリューがあると思います。
昨今はPEファンドに関する書籍やインターネットの記事も増えているので、そういう公開情報に自分でしっかりアクセスすることは必須だと思いますが、業界をよく知る方に会うことがやはり重要だと思います。

今日は本当にお付き合いいただいてありがとうございます。


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