プライベート・エクイティ転職体験談

第5回:外資系戦略ファーム出身者

弊社を介してPEファンドへご転職した方に、PEファンドを志した経緯、転職活動で苦労したこと、選考準備等について具体的にお話を伺いましたのでぜひ参考にしてみてください。

【転職前】外資系戦略ファーム
【現在】外資系PEファンド(バリューアップ担当)

まずは、自己紹介をお願いします。

国立大学を卒業後、大手事業会社に2年ほど勤めました。入社理由は、日本の大企業を変革すれば、日本に大きなインパクトをもたらせるのではないかということを若気の至りで考えたからです。しかし、数十万分の1の歯車では、大きな組織は全然変えられないということに気付き、自分自身のスキルや力がないとやはり日本社会にインパクトをもたらせないという考えと、経済情報番組で見たコンサルタントの方がとても格好良かったことへの憧れで、2013年に外資系戦略ファームへ転職し、8年半在籍しました。

経営に関与でき知的好奇心も満たされるので環境に満足はしていたものの、コンサルタントだとやはりコミットが足りないと感じ、投資をして、リスクを取って、リターンも享受できる立場にいないと真のコミットはできないのではないかと考えるようになっていきました。学生のときからPEファンドという業態は認識しており、そこに非常に興味があったこともあり、次のキャリアとしてのPEファンドを頭の中に入れた上で戦略ファームでの経験を積んでいきました。今回、そこに対して自分のスキルも高まってきたと認識をしたので、PEファンドへの転職を決意しました。

そうすると、1社目(事業会社)の転職活動のときから3社目の今回のファンドというものがある程度、方向性として見えている中で2社目(戦略ファーム)の選択をされたという理解でよろしいですか。

はい、漠然とですがそのイメージを持っていました。コンサルティングを行っていく中で、コンサルタントという第三者の立場でも経営を変革できる方もいるとも思っていたので必ずしも3社目ありきではなかったですが、自分がファンドに入ってリスクもリターンも享受できる立場になったほうがいいのではないかという思いもあり、半々の考えで入りました。

もう一点、伺いたいのですが、コンサルタントとしての企業変革と、ファンドにおける株主としての企業変革というのは、どのように違うと整理されてファンドへ転職されたのか、教えてください。

企業変革の面と深さの観点で、ずっとトレードオフを考え続けてきたのではないかと思っています。1社目の転職の際も、1社目は規模が大きく相当面が広い一方で、全く深く入れないことがきっかけでした。面は広い中でもっと深く入っていけると思い、コンサルタントを考えたのですが、やはり深さでいうと、アドバイザーという立場では経営の中で知らない部分も多くありました。本当に経営の一部しか任されないところもあったので、深さがまだ足りないと実感しました。ファンドに行くということは、深さは深くなると思います。一方で面については小さくなるというのが私の理解です。
1社目は面から入りましたが、コンサルタントとして事業の深いところに携わっていく経験もしていく中で、面と深さの掛け算に意味があるのではという考えを持つようになり、特に深さに自分はより興味があるのではないかと気付いたので、面を少し捨てて、もっとディープに入り込めるようなPEファンドの仕事を志望しました。

ちなみに今仰っている面というのは、具体的にはどのような要素を面という表現にされていますか。

例えば企業の数、あるいはその企業の大きさというようなところです。どちらかというと、社会に対するインパクトの大きさを面として考えています。マックスでのインパクト、その事業が関わっている業域の広さを面として考えています。
深さというのは、自分がどのくらいそこに対して影響を及ぼせるかというレバーの大きさのようなところと考えています。

その掛け算でどちらを広げて、どちらをその分、狭めるかというようなトレードオフの関係を考えてきたということになります。

そして、最終的には、掛け算をすること自体も意味がなく、自分はハンズオンで入っていきたいのだということに気付いたところが、PEファンドを受けた理由の一つです。

続いて、転職活動について伺いたいのですが、転職活動で苦労したことは何かありましたか。

一番苦労したのは、やはり現業があることです。好きでコンサルタントの仕事に取り組んでいるし、プロフェッショナルとしての責任感を持っており、そこが自身の強みだとも思っているので、絶対に現業をおろそかにしないことが、一つポリシーとしてはありました。ちゃんとプロジェクトでバリューを出しながら転職をしっかり進めることが、私の中では一番の苦労ポイントでした。

やはりタイムマネジメントは皆さん共通で苦労されているというところですね。

そうですね。解決の仕方としては、土日に集中的に行うということと、あとは受ける会社を相当絞ること、プロジェクトの切れ目に重要な面接を入れるという三つで一応、乗り越えたと思います。

転職活動を行ってみて、当初の想定との解離などがあれば、その内容を教えてください。

大きい乖離はありません。ただ、今、コロナ禍でオンライン面接が相当進んだのは、転職活動をしていて非常に楽だったので、これが今後も続いてくれると、転職する側の立場としては動きやすいです。企業からすると、抜けられやすくなってしまうのかなと思います。

これから転職活動をされる方にモチベーションの維持やマインド面でのアドバイスがあれば、教えてください。

私は比較的応募社数が少なかったため、参考になるかわかりませんが、私の場合は、ある程度、業界研究をしている中で、ここが一番ぴたりとくるということが1社に絞れていたので、そこに全力を注げたということがあります。ですから、この中のどれでもいいやという思いで受けてしまうと、多分、モチベーションが下がってしまうのかもしれません。

活動を振り返って、これが一番重要だったと思えるアクションがあれば教えていただきたいのですが、いかがですか。

ファンドビジネスを理解するということもそうですし、自分の経歴の棚卸しをして、自分のプロジェクトを生々しく語るようにするということも大切ですが、やはり一番重要だったのは、しっかりとその会社のポートフォリオ(投資先)を理解することです。ポートフォリオを理解することで、その会社がどのようにポリシーや信念で今まで投資してきているのかという、各ファンドのカルチャーが分かるので、志望理由もそれによって、ビビッドになると思います。面接官側からすると、しっかり準備してきているということが伝わると思うので、やはりそこはしっかり行う必要があります。

ポートフォリオを調べるということは、もう一段ブレークダウンすると、例えばどのようなことをされましたか。

まず基本的にその投資先がどのような事業をしているかを調べたり、過去の記事などをさかのぼって、どのくらいの価格で買ったのかというようなところも調べたりしました。どのような投資ストーリーだったのかについてイメージアップしたり、あとは自分の中で、仮に自分の考える投資ストーリーであれば何が課題なのかを考えてみて、それに関するニュースなどがあるかも見てみました。一社一社に何時間もかけているわけではありませんが、具体的に何が課題なのかについても議論できるレベルで語れるくらいには、それぞれ準備しました。
応募企業に関しては、過去の投資実績の10社分ほどは分析を行いました。

それでも10社はありますが、一個一個見ていったのですか。

そうです。妻が簡単な記事検索などのところを手伝ってくれましたが、一個一個、特に直近に投資している数社については、深く調べました。

素晴らしいですね。続いて、バリューアップチームへの応募とはいえ、財務モデリングの準備もされたお聞きしました。コンサルタントの方へ向けて、財務モデリングのキャッチアップ方法について、アドバイスがあれば教えてください。

私は別にモデルにとても自信があったわけではないので、なるべくシンプルなモデルでいいので、LBOが回わせるように準備しました。単純に目標の大体の概算を算出するためだけのモデルだという前提で、あまり複雑に入り過ぎないようにということを意識し準備を進めました。

参考にしたサイトや書籍はありますか。

キャリアインキュベーションさんで実施している財務モデリングセミナーは大変参考になりました。それ以外にもオンライン上にエクセルのアドインを扱っているサイトや解説サイトがあるので参考にさせていただきました。

いろいろなPEファンドがある中で、どのような軸で転職先を選んだのか、教えていただけますか。

社会人歴も長くなり戦略ファームのコンサルタントで前回転職時より年収が上がっていたので、家庭の事情なども含めて、少なくとも維持か、できればアップしたいという希望が念頭にありました。
もう一個の軸としては、投資をするときの信念やどのような考えで投資しているのか、あるいは投資先が自分にとって興味のある領域なのかという点も、とても重視しました。私は、B to Bはプロジェクトとして数社、関わったことがあるのですが、それほど関心は高くなく、どちらかというと自分が身近に感じられるようなB to C系の領域に携わっているファンドがいいと思いました。

また、過去の投資の経験などを見て、人切りやコストカットでバリューアップをしているというより、業界でユニークな会社をさらに発展させて、成功事例として磨き上げるというポジティブなバリューアップをしてきたところも魅力に映りました転職先のPEファンドは、投資時よりもう一段階トップラインを伸ばし成功させてきたと感じたので、そのような信念やポートフォリオの考え方を持って投資をしているPEファンドに行きたいと思いました。
更には、選考を通じ、カルチャーとして、とてもいい人が多そうなイメージを持ちました。並行して進めていた他社は某外資系ファンド1社しかなかったのですが、その点に大きな違いを感じました。

弊社の担当にはどのようなことを相談し、どのようなアドバイスを参考にされましたか。

佐竹さんには以前からご相談に乗っていただいていたこと、このPEファンドをカバーしているエージェントの中で一番、業界知識や事情にお詳しいですし、信頼できると思いました。志望理由なども含めて相談に乗ってくださったので感謝しています。

ありがとうございます。志望動機の壁打ちは、結果として意味はありましたか。

はい、ありました。やはり自分だけだとこれでいいのか?など分からないところもありますので、そこは本当にありがたかったです。また、佐竹さんが過去に書かれている記事やホームページの中身などもだいぶチェックさせていただいて、そこも踏まえて準備をしました。

弊社以外のエージェントにもご相談されましたか。もしされた場合、そのエージェントと弊社の違いでお気付きな点があれば、教えてください。

こちらから積極的にというよりかは、LinkedIn経由で何名かご連絡いただいたうち2人ほどは具体的にお話をしました。
大きな違いでいうと、サポートしてくださる情報の質、例えば具体的にこのような会社だということや、業界全体の流れについて教えていただけること、志望理由を具体的に壁打ちしていただいたというところが大きな違いでした。また、転職活動を行うタイミングに関しても、私が動きたいタイミングを待ってくださって、進めてくれたということが、私としてはとても動きやすかったです。

本日は貴重なお話をありがとうございました。


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