完全独立系ファンドとして、クライアントの最善利益を追求。
コーポレート・メザニンを強みに、企業の課題解決に貢献していく
日本初の本格的な独立系メザニン・ファンドであるMCo。前身である株式会社メザニンは、企業の多様な資金ニーズへ柔軟に対応可能な、新たな資金調達手法の提供を目的として2005年に設立された。メザニン・ファイナンスの黎明期から、MBO、M&A、資本増強、負債構造の再構築など、多様なニーズに対し、金融機関のみでは対応困難な資金調達を実現してきた。それらの事業を継承し、より発展させていくためにMCoとして新しいスタートを切ったのは2014年のことだ。
株式会社メザニン設立間もないころから代表を務めてきた笹山氏は、MCoの特長についてこう語る。
【笹山】MCoは、独立系メザニン・ファンドの運営において、最も老舗の企業です。2021年4月には、MBOにより完全な資本的独立も果たし、100%独立したファンド運営会社として、クライアントの最善の利益を追求することを常に最優先課題と考え実践しています。
メザニン・ファイナンス黎明期より国内トップクラスの投資実績を積み重ね、これまでに累計2000億円を超える資金を運用してきました。長期にわたる安定したインカムゲイン中心のパフォーマンスを生み出し、現在までに6つのファンドを運営しています。
メザニン・ファイナンスは、デット(銀行ローンなど)とエクイティ(普通株式)の中間に位置する資金調達手法だ。先駆者であるMCoは、これまでの豊富な知見とM&A実務や資本政策におけるノウハウを活かし、創造的なストラクチャーやタームを提供しているが、それだけではない大きな強みがある。
【笹山】弊社はバイアウト・メザニンのみならず、コーポレート・メザニンとの二本柱で事業を手掛けており、投資領域の幅広さが大きな特長です。業種、企業規模、上場・非上場を問わず、様々な企業を投資対象としており、ニーズに合わせて、主に優先株式・劣後ローン等を手掛けていますが、マイノリティの普通株式投資を組み合わせることもあり、提供するファイナンスの種類も数多いです。
コーポレート・メザニンにおいては、経営者による純粋MBO、事業会社の普通株式増資や銀行ローンの追加借入の代替としての新規資金調達などを支援し、資金拠出に留まらず、MBOやM&Aなどのイベント実務のプランニングから実行までのサポートも行っています。事業承継、非上場化、親会社からの独立などの多様な課題の解決手段を提供しており、単なるファイナンサーの枠を超え、アドバイザーとしての機能を果たしている点が、MCoならではの強みなのです。
インカムゲイン中心にミドルリスク・ミドルリターンの安定的な投資運用を行うため、クライアントとなる機関投資家も投資先企業も、日本を拠点とする国内企業のみだという。
【笹山】投資における方針は、「元本維持を最優先に考え投資を行う」「ポートフォリオを意識した分散投資を行う」「マクロの経済・金融環境を意識して投資を行う」を3原則としています。企業年金、金融機関、事業会社など、堅実な運用を求める機関投資家と、その資金を必要とする投資先企業を結びつける役割を果たし、信頼を積み重ねてきました。これまでの15年間、リーマンショックや東日本大震災、アベノミクス、そして、昨今のコロナ禍など激変する環境下においても、安定的な投資パフォーマンスを出し続けています。
M&Aファイナンスのパイオニアを経て、メザニンに見出した可能性。
コロナ禍の影響のもと、需要はますます高まっている。
笹山氏は、日本長期信用銀行(現新生銀行)、日本興業銀行・みずほコーポレート銀行(現みずほ銀行)にて、何もないところからM&Aファイナンス関連ビジネスの道を切り開いてきた。日本におけるM&Aファイナンスのパイオニアとなった後、なぜメザニン・ファイナンスに特化する道を選んだのだろうか。
【笹山】1990年代後半、ニューヨークでエクイティ・ファンドのバイアウト向けLBOファイナンスなどに携わる中、「近い将来には、日本でもプライベート・エクイティのマーケットが立ち上がる」と予想していました。米銀アレンジ案件にパティシパントとして参加する中、いずれは日本でアレンジャーとしてM&Aファイナンスに携わりたいと考えていました。そして帰国後、誰一人、知識や経験を持っていない状況下、それを実行するために、いやがおうでも自ら市場を切り開いていくことになったのです。
以来、M&Aファイナンスを生涯の仕事としていこうという思いを抱くようになりました。そしてこのとき、メザニン・ファイナンスのアレンジも経験し、劣後ローンと優先株式を中心に状況に応じてシニア・ローン、そして一部普通株式も活用できる、いわば何でもありのメザニン・ファイナンスに大きな可能性を感じたのです。
その後、旧知の信頼できるプロフェッショナルから笹山氏に「日本におけるメザニン・ファンド市場を切り開くために、陣頭指揮を取ってほしい」と声が掛かり、現在に至る。
【笹山】当時、すでにある程度マーケットが出来上がっていたシニア・ローンの世界で仕事を続け発展させていくのも楽しいが、未だ未開拓の領域であるメザニン・マーケットで勝負してみるほうがより面白いと思いました。あれから15年、企業やビジネスにおける課題や資金調達が複雑化していく中、メザニン・ファイナンスは第三の資金調達手法として一層注目されるようになりました。先駆者として積み重ねてきた経験と、豊富な知見のもと、我々が取り組める領域はますます広がっていることを感じています。
コロナ禍の大きな影響を受けた昨年以降は、メザニン・ファイナンスを求める声がより一層増え、毎週のように案件の相談を受けるほどになっている。
【笹山】メザニンによる資金調達に活路を見出そうと考えても、具体的にどのように活用してよいのかわからない事業会社は実に多いのです。今後5年ぐらいの間にメザニン・ファイナンスは一気にテイクオフして大きく発展する可能性があると感じています。その際には、私たちの知見に加え、事業展開における3つの強みがより活きるであろうと考えています。
MCoの事業展開においては、「創造性(クリエイティビティ)」「柔軟性(フレキシビリティ)」「迅速性(スピーディ)」という3つの強みがある。
【笹山】まず、投資案件1件1件に対し、マス・プロダクツではない"創造性"を活かしたテーラー・メイドのストラクチャリングを行っています。さらに、独立系ファンドのため、資本関係の影響を受けることなく自由に多様な手法に取り組むことができる"柔軟性"があるのです。また、プロフェッショナルなメンバー全員が一丸となり、話し合いながら一気に案件を進めていく"迅速性"も強みです。意思決定から実行までのスピードが早く、限られた時間の中でベストなソリューションを導き出し実行できる。今後もこの3つの強みを活かし、他の追随を許さないメザニン・ファイナンスのプロフェッショナル集団として走り続けていきます。
プロフェッショナル集団として、
若手人材の育成に注力。事業承継も見据えてゆく
MCoの事業の根底を支えているものは、この会社のプロフェッショナル・メンバーで構成されるチームの"厚み"と"結束力"だ。
【笹山】現在、11名のメンバーが投資業務に従事しており、人員数においても専門性においても厚みがあることを自負しています。幅広く複雑な投資案件に対応できるのは、各自が自分の得意とする領域のスキル・経験を活かし、組織全体に貢献しているからなのです。そして、それを支えるバックオフィスメンバーの縁の下の力も極めて重要です。
弊社には、シニアからジュニアのポジションまで幅はありますが、業務領域に境界はなく、一人ひとりを「独立したプロフェッショナル」として扱っています。もちろん、ポジションごとに期待されている役割はありますが、真のプロフェッショナル人材を育成していくために、職位を超えて個々が成長・チャレンジする機会をどんどん与えています。
例えば、情報はパワーの源となるものなので、様々なマーケット情報や案件情報などは全員にシェアしており、ポジションに関わらず人脈を広げる会食や外部マーケティングなどにも積極的に取り組むことを推奨しています。また、企業としての方針や投資における考え方なども全員に適宜共有し、同じ方向に向かっていく結束力を高めています。
また、MCoで働くことで、ファイナンサーとしての業務知識にとどまらず、ビジネス、法務、税務まで総合的な知識や経験を身につけていくことができる、と笹山氏は頷く。
【笹山】弊社では、シニアからエクイティまで幅広いファイナンス領域に携われるだけでなく、案件の分析検討から実行まで、すべての業務を経験しながら総合的に知見を深めていきます。事業会社や機関投資家はもちろん、弁護士、会計士、税理士など、関係する人々とのネットワークをしっかり築いてもらう。そして、自ら案件を発掘し、これをぜひやりたいという案件にもどんどんチャレンジしてほしい。自律的に成長できる環境を与え、各人がその中で甘えることなく努力し続けることで、MCoの看板や組織力に頼ることなく、バイネームで求められるプロフェッショナル人材となるように育成することを目指しています。
個々のやりたいことを尊重する風土の中、一人ひとりがプロフェッショナルとして行動する。そして、高い専門性を持つそれぞれがチームとして結束していくことで、より強い組織が生まれたのだ。
MCoの根幹を為すのは人材力であり、今後の展望についても、「事業継承を視野に入れ、若手人材の育成により注力していく」と、笹山氏は微笑む。
【笹山】私はM&Aファイナンスを生涯の仕事と決め、広く社会に貢献していきたいと考え、それを実現していく場所としてMCoという企業に自らの持てる力を注いできました。経営者、株主のベストパートナーとなり、メザニン・ファイナンスを活用した最適な資金提供を通じて、投資先企業の発展を長期的にサポートしていく。また、それによって、機関投資家を通じて企業年金を受け取る方々や投資先企業で働く方々の生活を守ることにも貢献していくことができると考えています。
今後は、次世代に事業継承していくことを見据え、若手人材の育成にさらに注力していきます。私たちの世代が退いた後も、クライアントの皆様のお役に立ち続けることができるよう、プロフェッショナルとしての力を発揮し、真摯に業務に取り組める人材を育てていきます。
最後に、MCoが求めている人材像について伺った。
【笹山】専門領域を持つプロフェッショナル集団として、私たちが最も大切にしていることは、「一人一人も強いが、チームはもっと強い」ということに他なりません。そのため、自律的に成長していこうという意欲があり、協力し合ってチーム全体に貢献していける人柄であることは大前提となります。また、多様な投資案件を扱うため、個々がこれまで育んできた課題解決のセンスにも期待しています。
現時点のメザニン・ファンドに関する知識の有無は一切問いません。MCoの既存メンバーたちと一緒に働き、プロフェッショナルとして共に活躍し貢献していきたいと感じる人材なら、これまで掲げてきた理念を受け継ぎ、次の時代を築き上げていってくれると信じています。
プロフィール
笹山 幸嗣 氏
代表取締役
2006年12月、MCo代表取締役就任。投資委員会議長としてMCo全案件の投資検討と意思決定に関与。多方面のリレーションを生かした個別案件のソーシングに加え、ファンドレイズや投資家IRにも関与し、MCoの運営全般を統括。
MCo参画前は、日本長期信用銀行(現新生銀行)及び日本興業銀行・みずほコーポレート銀行(現みずほ銀行)にて10年以上に亘りM&Aファイナンス関連業務に従事。日本におけるM&Aファイナンスのパイオニアとして、ソーシングからストラクチャリング、シンジケーションまで含めたワンストップのアレンジを多数行った。
慶応義塾大学経済学部卒、コーネル大学ジョンソン経営大学院修了MBA取得。
著書に『M&Aファイナンス』(共著 金融財政事情研究会)、『MBO 経営陣による上場企業の戦略的非公開化』(共著 日本経済新聞出版社)がある。
長田 貴男 氏
エグゼクティブディレクター
2007年4月、MCo入社。多数の投資案件の実行を経験。案件のソーシングから分析・検討、実行、回収に至るまでの一連のプロセスの完遂に主軸を置く。2015年より投資委員としてMCo全案件の投資判断に貢献。MCo参画以前は、複数の戦略系コンサルティングファームにて事業会社向けの戦略立案・実行支援を、アーサー・D・リトル在籍時にはM&Aにおけるビジネス・デューディリジェンスを数多く主導。また、ベンチャーキャピタル在籍時には投資先企業に出向し、事業の立ち上げならびに上場までの足掛かりとしての体制整備を経験。
東京大学工学部卒。
一般社団法人 日本ファミリービジネスアドバイザー協会(FBAA)
FBAAファミリービジネスアドバイザー資格認定プログラム修了。
加藤 康介 氏
アソシエイト
2019年4月、MCo入社。ソーシング、個別案件検討、投資実行、モニタリングに関与。MCo参画前は、国土交通省航空局にて航空管制業務に従事。それ以前は、みずほ証券投資銀行部門にて社債引受業務、格付アドバイザリー業務に従事。
一橋大学経済学部卒。
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