転職のご相談・お問い合わせ

シニア・ミドルマネジメントに強い
専門のエージェントに転職相談(無料)してみませんか?

1分で完了無料登録・転職相談

CxOインタビュー

相原 修 氏

[6]専門的スキルは主にどこで獲得したのですか?

人事のオペレーションに関わる専門性については、渡米前の東レで手に入れました。一貫して人事部門にいましたし、良い意味で非常に社員教育に厳しい会社でしたから、かなりのスキルを既に身に着けることができていました。一方、アメリカに駐在してからは欧米流のコミュニケーションから「Why?」に応えていくビジネス習慣を獲得できたと思っています。単に作業をこなすだけでなく、物事の本質を考え、伝えていくという大事なスキルをこの時に得たわけです。

そしてGEに入ってからは、同社が保有する非常に高度なリーダーシップ育成のスキルを、体感しながら覚えていきました。そうしてDHLではCHRO的な役割を任せてもらえるようになったわけです。そうはいってもHRはとても裾野の広い領域ですから、それまでに得ることができず不足していたスキルを、DHL時代に少しずつ補完していくことになりました。

こんな風に言ってしまうと、見事に完成度を上げていったかのように思われるかもしれませんが、人事の仕事の本質はビジネスを理解することにあります。いつでもそれが前提です。人事がその会社のビジネスを理解していなければ、組織も人も機能しません。ですからベーリンガーインゲルハイムに入社してからも、ライフサイエンスのこと、この会社が展開している事業のことを勉強し続けています。

[7]リーダーシップやマネージメントに関する経験やスキルは、いつ、どこで獲得したのでしょう?

これについては、GE、DHL、そしてベーリンガーインゲルハイムで獲得し、今も勉強中だと思っています。現状、私の直属のチームについて言えば、皆がしっかりと力をつけているので、かなりの部分を任せています。そしてそのうえで、彼らにもまたリーダーシップのあり方を考え、意識し、行動に表すよう呼びかけています。

HRヘッドというのは社長のビジネス・パートナーなのだと私は捉えています。ですからビジネスを理解していることが大前提になりますし、組織の実情やカルチャーについても、いつでも社長にアドバイスならびにプッシュ・バックできる存在であるべき。ですから私だけでなくHRに携わる者すべてに、リーダーシップとマネージメントの意識を高めていくよう接しています。

[8]キャリア形成上の転機があったとすれば、それはいつのことですか?

2つの大きな転機がありました。東レ時代にアメリカ駐在した時と、GE時代です。アメリカ駐在時代に手に入れた最大の収穫は、発想の違い。当時の日本企業はとかく「管理する」思想で仕事と向き合っていましたが、米国の企業や従業員は「ビジネスにいかにして貢献するか」をテーマにしています。

photo02.jpg

日本企業や日本人が「間違えてはいけない」という思いの強さから、行動に対して慎重になるのとは対照的に、米国企業やアメリカ人は「とにかく行動する。やって間違えたら、やり直せばいい」と考えている。その違いを大いに痛感しました。

GEで学んだことも駐米時代の延長線上にあります。GEは当時「4つのE」、つまりエナジー、エナジャイズ、エッジ、エグゼキューションを大切なバリューとしていました。この思想を学んだ私は、今でも4つのEを大切にしています。変化に合わせて迅速に対応するという観点から朝令暮改も良しとするGEにいたことは、とても大きな価値を持っているのです。

[9]強く印象に残っている試練やストレッチの経験について教えてください

忘れられないエピソードが東レの駐米時代にありました。当時のアメリカには東レの関係会社が5〜6社あったのですが、その内の1つで労働組合結成の動きが発覚したのです。アメリカの労働組合は、日本の労働組合とはその姿勢・性質が大きく異なるため、アメリカ企業の経営陣は「とにかく組合を結成させない」ように動くのが常識となっていました。アメリカの労働組合は社員ではなく外部からきて自分たちの力を誇示することに注力し、会社の経営にはあまり意を払わない傾向があるので、経営を脅かすリスクが高いからです。

私は立場的には直接関与していませんでした。そのまま静観することもできたのですが、「どうやら大変なことになるかもしれない」と知り、迷ったあげく現地のアメリカ人スタッフと連携しながら、組合結成を防ぐべくその関係会社に半ば押しかけ的に入っていきました。

結果的に、組合を結成するかどうかの投票までいきましたが、最後には組合結成には至らずに済みました。しかし、そういう結果に至るまでの期間は、緊張感あふれる毎日でした。本社の人事部とアメリカの統括会社のトップには報告を入れていたとはいえ、もしも支援が失敗に終わってしまえば、勝手に介入しに行って何をしているんだということになり、自分の存在価値自体を否定されかねなかったからです。

よくて帰任だったでしょうね。その会社の成長の大きな足かせになりかねないというプレッシャーも強くありました。ともあれ、タフな経験ではありましたが、「悩んでいるならば、行動を起こしてしまうほうが良い」という価値観をより強くすることができました。

[10]影響を受けた先輩や、師匠といえるかたはいらっしゃいますか?

多くの人に影響を受けたおかげで今の私があると思っていますが、強いて挙げるとすれば2人。1人は東レ時代に私がアメリカから帰国した際の上司。この方のもとでグローバル人事の仕事をしていたのですが、とにかく太っ腹な人で、肝が据わっていました。こんな風になりたい、と強く思いましたね。

もう1人はGE時代の上司です。先ほど私は「HRは社長のビジネス・パートナーであるべき」と持論を申し上げましたが、そのお手本を示してくれたのがこのGE時代の上司でした。ビジネス・リーダーと接する時、どのように振る舞えば良いのかというのをいろいろと学ばせてもらいました。

社長をはじめ、組織の長というのは孤独なものです。CHRO的な立場に就くのであれば、そうしたリーダーたちの話し相手、相談相手の役割も果たしていかなければいけないわけですが、そういう部分についても、私はこの人から多くを学び取ったと思っています。

[11]座右の銘や、独自の哲学などをお持ちですか?

前の質問にお答えしたように、私のこだわりは「迷っているなら行動しよう」です。ですから今もベーリンガーインゲルハイムの社内では「Just Do It!」という言葉をよく使います。もう1つ私流の哲学を言うならば、「Can Doスピリット」です。要するに「できない理由を考えるよりも、どうすればできるか考えよう」という姿勢ですね。DHL時代にはこの言葉が頻繁に社内で飛び交っていましたし、今もベーリンガーでしつこく話しています。

[12]感動し、影響を受けた本や映画などがあれば教えてください

映画で私が強烈に印象に残っているものというと『アポロ13』が筆頭ですね。1970年に打ち上げられた月探査ロケットのアポロ13号は、爆発事故を起こすのですが、その乗組員は奇跡の生還を果たしました。この実話をもとに制作された映画が『アポロ13』で、とにかく感動しました。

多くの人はトム・ハンクスが演じた船長の印象が強かったようですが、私としては宇宙船の乗組員を生還させるために動いていたNASAの人々にインパクトを感じました。特にそのNASAのリーダーが見せた強さ、静かな温かさに感動し、「リーダーかくあるべし」と感じ入ったわけです。別に仕事の役に立てようとして見たわけではなかったのですが、結局こういう立場の人に吸い寄せられていくんですよね(笑)。

本で最も感動したものといえば、宮城谷昌光さんが書いた『孟嘗君』です。実在した中国戦国時代の公族であり政治家である孟嘗君という人物を描いた歴史小説なのですが、ここでも私は主役である孟嘗君以上に、彼の養父が見せるリーダーシップに魅せられました。

あともう1冊挙げてもいいのならば稲盛和夫さんの『生き方:人間として一番大切なこと』です。たいへんなベストセラーになった本ですが、ストレートに学ぶことの多い名著だと思って愛読しています。

[13]CxOというキャリアの将来性や、今後期待される役割について、どうお考えですか?

CxOの存在は、今後の企業経営においてますます重みを増していくだろうと考えています。ただし、ともするとその専門性にばかり注目が集まりがちですが、私としてはCHROだろうとCFOやCTOなどであろうと、ゼネラリスト的な立場で言動し、貢献していくべきだと思います。技術革新などによって、これからの社会では、様々な仕事が定型化され、機械に委ねられる作業も増えていくはずです。しかし、そんな時代が訪れても企業の営みの中には定型化・機械化できないものが多数残ります。

例えばCHROが担っているような仕事に、どれほど優秀なAIを持ち込んでも、社長のビジネス・パートナーとなって寄り添えるほどの成果を出せるとは到底思えません。見方を変えれば、今後のCxOは定型化・機械化できない分野で価値を出し、貢献していけるようでなければいけません。だからこそゼネラリストとしての役割が重要になると思うわけです。

[14]ご自身の今後のキャリアビジョンについて教えてください

これまで複数の企業でキャリアを作ってきた私ですが、今はこのベーリンガーインゲルハイムという会社で頑張りきろうと心に決めています。さらにその先のビジョンという意味でいえば、企業の枠を超えて生涯現役を貫き、何かしらの貢献をしていきたいと考えています。

例えばの話でしかありませんが、私は以前から日本の強みは中小企業にあると信じていますので、これまでの経験とネットワークを生かして何らかの形でそういう企業のお手伝いができないか、あるいはソーシャルビジネスや、ボランティア団体などでもお手伝いできることがあるのではないかなどと漠然と考えています。

[15]若い方々へメッセージ、アドバイスをお願いします

座右の銘の質問でも言いましたが、私がお伝えしたいメッセージは「Just Do It!」......とにかくチャレンジしてください、です。今の若い人の中には、とても優秀な人がたくさんいると感じているのですが、自分の可能性の枠を自分で勝手に小さく決め込んでしまっている人も多いのではないでしょうか。

今の若い人に限ったことではないのかもしれません。自分で自分の枠を決めてしまい、可能性の芽を摘み取ってしまっている人が少なくない、眼前の仕事はそつなくこなすけれども、「もっといいやり方、仕組み、プログラムがあるはず」というような発想から、自分で行動を起こすような人が必ずしも多くない。これって、本当にもったいないと思うんです。

皆さんも今いる職場で何らかの使命を背負っていると思うのですが、「この仕事の本当の課題って何だろう」という発想で見直してみて、既存のやり方に問題を感じたなら、迷うことなく壊してもいいし、新しいものを作ろうとするチャレンジをしてもいいと思うのです。目の前にある仕事ばかりではありません。何か大きな課題があると感じたなら、それを主張するのもいいでしょうし、社内にある別のプロジェクトに参画を希望してもいいでしょう。

デジタルの世界でも大きな変化がすごいスピードで起きていますし、面白い材料、ヒントはあちこちに転がっているはずです。そうしてチャレンジを繰り返していっても納得がいかないならば、外に出て異なる環境で改めてチャレンジしたっていいと思います。前向きな姿勢を維持して、チャレンジし続けてくれたら嬉しく思います。

CxOインタビューの最新記事

一覧を見る
初めての方へ 私たちキャリアインキュベーションについて

転職のご相談・お問い合わせ シニア・ミドルマネジメント
ポジションに強い専門のエージェントに
転職相談(無料)
してみませんか?

各社の採用ニーズを熟知し、業界のキーマンともリレーションを持つ専任コンサルタントが転職活動を支援します。
求人紹介はもちろん、最適なキャリアを提案します。

  • ご相談いただいた方々の
    顧客満足度は90%以上

    初回面談から内定まで平均6か月。
    入念な準備と余裕を持った進行で
    納得できる転職活動を支援します。

  • 安易に転職は勧めず戦略的に
    最適なキャリアを提案します

    内定はゴールではなくスタート。
    経験・スキル・カルチャーフィットも
    含めた企業・求人情報を提供します。

  • 35歳以上のオファー年収は
    平均1500万円以上

    40歳以上は平均1700万円以上。
    3000万円を超えるポジションまで
    キャリアに応じてご紹介可能です。

1分で完了 無料登録・転職相談

現在約6000人以上が登録中!
転職活動にすぐに役立つ
メールマガジン(無料)もございます。

メールマガジン登録(無料)