グロービス 林 恭子 氏 注目企業インタビュー

株式会社グロービス

「経営に関するヒト・カネ・チエの生態系を創り、社会に創造と変革を行う」。
この理念を1992年の創業以来、一貫して追求してきたグロービスは日本最大の社会人向けMBAビジネススクールとして揺るがぬ地位を築き上げた。
だが、同社が携わってきた「創造と変革」はそればかりではない。
企業の人材育成・組織変革にフォーカスした法人向け人材育成サービス事業やベンチャーキャピタル事業においても高い実績を上げ、グロービスならではの「生態系」を形成。
20年以上貫き通しているグロービス・ウェイとは?さらなる強化を目指している人材育成・組織変革を担う法人事業で求める人材像とは?

林 恭子 氏
マネジング・ディレクター
経営管理本部 本部長
チエを発信し、ヒトを育てる場としてのビジネススクール事業で国内を席巻し、「アジア№1のビジネススクール」を目標に掲げるグロービスはコンサルティング事業においても20年以上の歴史と高度な成果を構築してきた。 独自の理念と手法は、特に人材育成・組織変革で課題を抱える企業から高い評価を獲得。 ここへきて、陣容の拡大と更なる向上を目指すに至ったという。 そこで、同社経営管理本部を率いる林恭子氏に、あらためてグロービスの理念と信条、その具体的な発露について話を聞いた。
「ヒトの可能性を徹底的に信じ抜く集団」が独自の理念に基づいて示し始めた新たな胎動

1990年、当時ハーバード・ビジネス・スクール(MBA)に留学中だった堀義人氏がキャパス内でノートに書き留めた3つの輪。これが2年後に設立されるグロービスの経営理念となっている。
●「ヒト」は、経営大学院の創設、及び、企業内リーダーの育成と輩出。
●「カネ」は、ベンチャー企業への投資。
●「チエ」は、経営ノウハウの出版・発信。

「ヒト」「カネ」「チエ」という3つの生態系の輪をノートに描いた堀氏は、その3つを重ね合わせることで創造と変革を生み出す事業を思い立ったのだ。

「経営に関するヒト・カネ・チエの生態系を創り、社会に創造と変革を行う」というグロービスのビジョンは、設立から20年以上が経過した今も共有され、あらゆるビジネスの現場で浸透しているという。

「グロービス・ビジョンはお題目として唱えているのではなく、全社員がそれぞれの業務において、本気で経営理念に基づいて仕事に取り組んでいるんです。まさに理念経営。この事実を知った時は、本当に驚きましたし、素晴らしいと感じました」

そう語る林恭子氏は長年ボストン コンサルティング グループ(以下、BCG)において人材の採用と育成をリードしてきた人物。それだけに、グロービスが日本やアジアのビジネスシーンで果たしている役割や、その成果の大きさ、存在意義の重さなどを以前から熟知していた。

しかし、それでも「ここまで理念に忠実な経営が成されているとは思わなかった」というのだ。それゆえに「良い意味で驚かされた」という林氏によれば、同社には先のグロービス・ビジョンを補完する行動や価値観に関する指針であるグロービス・ウェイが存在するという。教育、投資、コンサルティングなどの主要事業はすべて、このグロービス・ビジョンとグロービス・ウェイに照らし合わせながら計画・実行・分析・修正されていく。

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「もちろんビジネスですから、売上や利益は大切ですが、例えば私たちが行う事業が本当に社会への貢献につながっているのかどうか、あるいは個人や法人の変革や創造性の向上につながっているのかどうか、という基準が常に意識され、それによって1つひとつのアクションが評価されます。

私は現在、経営管理本部で社内の人材育成や採用、制度設計などに携わっていますが、ここでも同じです。人事評価でも『グロービス・ウェイに則した行動と結果を出しているか否か』が問われるんです」

一方で、ビジネスのあり方は時々刻々と変わる。20年以上前に打ち立てた理念を貫くだけではなく、グロービス・ウェイ自体を常にアップデートしながら時代の潮流にフィットさせていく営みも忘れていない、と林氏。

「例えばここ2年ほど注力しているのが「テクノベート」というものです。「テクノベート」は、AIやロボット技術など企業経営に大きな影響力を及ぼすテクノロジーと、イノベーションを組み合わせて、私たちグロービスが生み出した造語です。

経営大学院をはじめとする教育プログラムの場でも、関連プログラムを徐々に開講し、受講生の皆様からも大きな反響をいただいています。そして、オンライン学習中心のカリキュラムでもMBAの学位を取得できる『オンラインMBA』という新しいプログラムを2015年に開講しています」

テクノロジーという新しい技術を活かしたことだけに意味があるのではない。「オンラインMBA」であれば、例えば子育て中の主婦であったり、地方在住のビジネスパーソンといった、時間的、地理的な制約のある方々にも「学ぶチャンス」「成長を加速する機会」が劇的に広がる。

まさにグロービス・ビジョン、グロービス・ウェイを「今」という時代に相応しい形にする新事業だからこそ、どこよりも早く実現へ向けて動いてきたというわけだ。「テクノベート」はグロービスが世に投げかけた新しいキーワードであり、新しい事業の軸となる思想にもなっている。

「ヒトは誰もが可能性を持っています。ヒトに備わった無限の可能性を心から信じられるかどうかというのが、教育や育成に関わる者には問われます。『ヒトは適切なチエを得れば必ず良くなる。ヒトが良くなれば企業が良くなり、社会も良くなる』。グロービスはそう信じている人間の集団です」

この特徴ある集団がスクール事業において成功してきたことは、今や誰もが知っている。しかし、グロービスが創業間もない2年目から「社内人材の育成や組織の活性化」に悩む企業を対象に独自のコンサルティング事業を進め、高い成果を築いてきたことは意外に知られていない。

「一般的には経営大学院などのイメージが強いでしょうけれども、私のように人事の仕事に携わってきた者や、ヒトのあり方に心を砕いてきた経営層には、このコンサルティング事業も以前から知られていました。日本でどこよりも早くMBA的な知識や知恵の価値を認識し、その獲得のための仕組みを提言しながら、独自のカリキュラムを企業に導入し、成果をあげてきました」

個人を対象とするスクール事業でも実証されてきた人材育成と経営改善に関わる確かなノウハウは、法人分野におけるコンサルティングに活かされ、同業他社には実現できなかった効果を発揮。同時にこのフィールドで獲得した知見によってシナジーが生まれ、グロービスはさらなる成長を達成してきた。

ベンチャー企業への投資を担うグロービス・キャピタル・パートナーズの成功も相まって、1990年にノートに描かれた3つの輪は、まさに今、それぞれが形を成し、充実した連携で相乗効果を生み出している。

人材育成・組織変革コンサルティングの最前線で求められる「グローバル」と「ダイバーシティ」

林氏自身がグロービスに参画したのは2007年。「ちょうどグロービスが経営大学院として認可された直後で、MBAの学位を提供できる基盤をしっかりと整えようとしている時期」だった。大きな変化が起きている中だからこそ、グロービスという集団が持つ特性を明快に知ることができたようだ。

「グロービスには前職のBCGで会ったことのない、本当に多様な人材が集まっていました。ただ、グロービスに入社してBCGと共通するものも発見したんです。それは、誰もが『忍者の草飛び』をしていたこと」

林氏の言う「忍者の草飛び」とは、昔々、忍者たちが日々背丈を伸ばす草をあえて選んで植え、それを飛び越える鍛錬を行っていた、という言い伝え。昨日飛べた草であっても、翌日にはより高くなっている。常に自分の能力を高めていかなければ、草飛びが出来ない。成長はすぐにでもストップしてしまう。そんな戒めを言語化したものだった。そんな忍者たちにも通じる、目標を高めていきながら成長や精進を繰り返す姿勢がグロービスに浸透していたというのだ。

「グロービス・ビジョンやグロービス・ウェイに心から共感しているかどうかが採用の最優先事項であり、それ以外は多様なバックグラウンドやスキルを歓迎する傾向は今も続いています。むしろ、そうあるべきだと信じて、私たちも採用をしています。

ただし、『多様な人間が集まったのだからバラバラ』なのかというと、そうはなりません。仕事をしていく上でのベースとなる理念が共有されているので、全員が同じ方向へ走って行けるし、日々自己を高めていきたいという思いもまた共有されていくんです」

グロービスが貫いてきた理念経営が、結果としてダイバーシティの実現をもたらしているということ。昨今の企業が経営課題とする「多様性を備えつつイノベーションを達成していく組織」というものを、同社は体現しているわけだ。

「ダイバーシティの充実やグローバル人材の育成という、現代における企業の経営課題を解決していくのがグロービスの人材育成・組織変革コンサルタントの使命。彼ら自身が多様性の中で真価を発揮できているという点が、グロービスの強みの1つにもなっているのです」

グロービスのコンサルティングチームがテーマとしている人材育成や組織の改善・向上は、成果を数字で可視化しにくい領域である。近年、多くの企業がこれまで以上にグロービスのコンサルティングへの期待値を膨らませている背景には、同社が3つの生態系を通じてあげてきた実績に期待している部分もある。

だが、なによりそれぞれのコンサルタントがグロービスの理念を体現していることが大きく作用しているようだ。となれば、今後コンサルタントの採用を強化する中で、どのような面を重視するのかが気になってくる。

グロービスでしか得られない成長過程と醍醐味を通じて創造と変革の担い手に

「現役のコンサルタントを含め多くの方によく聞かれるのが、『グロービスのコンサルティングは他のファームとは何が違うんですか?』という問いです。私は『まず、基本は同じ』とお答えしています。お客様となる企業の状況をあらゆる角度からしっかり見て、分析して、問題を抽出して、解決手法をご提案する......この流れはいわゆる一般的なコンサルティングと何ら変わりません。

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一方、違いは、グロービスの軸足が「ヒト」と「組織」に置かれている点や、実効性の高い独自のプログラムを多様に持っている点。そして『どんなにキレイな戦略や問題解決の手法を掲げても、それを実行する社員の一人ひとりが輝きと能力を失っていたら、その会社は光らない』という信念を持っている点だと思います」

ヒトの成長が組織の成長、そして企業の成長につながり、初めて社会が豊かになる。このグロービスの理念に真に共感していることが、やはり採用の第一条件となるようだ。しかし、そればかりではない。

「私自身もこの会社へ来て実感しているのが、『自分の成長がダイレクトにお客様の役に立っていく』ことの面白さです。グロービスでは例えば担当業務と並行して、社員自身が自ら、企業研修の場やスクールで講師として登壇していくことを推奨しています。単に提案者で終わるのではなく、ハンズオンでヒトの成長に責任を持って関与していく。それによって初めて得られる成長があるからです。

ですから、理念に共感するだけでなく、強烈な成長意欲を持っているかた、それがお客様や社会への貢献につながっていくという事柄に心ひかれるようなかたに是非参画してほしいと思っています」

常に現在進行形で変化していく企業経営と密接にリンクしながら「ヒト」「カネ」「チエ」の担い手となるには「忍者の草飛び」を望んで志す姿勢と価値観が不可欠になる。だが、ここにはそういう者だけが集っている。思う存分に成長と貢献を繰り返したい者のための環境を揃え、参画を待ち望んでいるのだ。

プロフィール

写真:林 恭子 氏

林 恭子 氏
マネジング・ディレクター
経営管理本部 本部長

筑波大学大学院ビジネス科学研究科博士課程前期修了(MBA)。モトローラにおいて半導体、携帯電話端末等のOEMに携わった後、ボストン コンサルティング グループへ入社。人事担当リーダーとしてプロフェッショナル・スタッフの採用や能力開発を担うと同時に、リテンション・プログラム開発、ウィメンズ・イニシアチブ・コミッティ委員等、幅広く人材マネジメントを担当。2007年にグロービスへ入社すると、人材・組織に関わる研究や教育プログラムの開発を担当した後、経営管理全般を統括する任に就いた。また、グロービス経営大学院にてリーダーシップ、人材マネジメント、ダイバーシティマネジメント等の領域を中心に講義を行う一方、企業研修、講演も多数務める。共著書に『【新版】グロービスMBAリーダーシップ 』(ダイヤモンド社)、『「変革型人事」入門』(労務行政)、『女性プロフェッショナルたちから学ぶキャリア形成』(ナカニシヤ出版)がある。経済同友会会員。組織学会、産業・組織心理学会、及び経営行動科学学会員。

プロフィール

写真:小林 竜也 氏

小林 竜也 氏
グロービス・コーポレート・エデュケーション
コーポレート・ソリューション・チーム
シニア・コンサルタント

慶応義塾大学法学部法律学科卒業後、プロクター・アンド・ギャンブル・ジャパン(以下、P&G)に入社。日本市場向けマーケティングに従事した後、シンガポールのP&Gアジア本社に駐在し、アジア市場向けマーケティングを担当。その後、「グローバル・リテラシー」を磨くべく、約2年間をかけて世界一周・日本一周を実行。見聞を広めた後、2014年にグロービスへ入社。人材育成・組織変革コンサルタントとして、大手小売系企業のグローバルマネジメント人材の育成や、 大手金融グループ管理職のアセスメントプロジェクト、大手メディア企業の役員研修を通じた事業構造転換の支援等、様々な企業の組織開発・人材育成を担当している。

写真:亀田 真央 氏

亀田 真央 氏
グロービス・コーポレート・エデュケーション
コーポレート・ソリューション・チーム
シニア・コンサルタント

慶應義塾大学文学部卒業後、三菱UFJ信託銀行に入行。3年半の在籍期間中、主にデリバティブ関連業務に従事した後、デロイトトーマツコンサルティング合同会社に転職。主に金融業界向けの経営コンサルティングを担当した。2015年、グロービスに入社。人材育成・組織変革コンサルタントとして「ヒト」の側面から企業の経営課題の解決や戦略実行の達成と向き合い、支援する業務を担っている。

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