今回はバイアウトファンドの採用について書いていこうかと思います。
私自身も採用プロセスで面接官をした経験がありますが、候補者の中には準備不足感が否めない方もいらっしゃいました。もちろん、候補者の現職がハードな場合、十分時間をとって準備するのは難しいとは思います。
しかしながら、コラム「バイアウトファンドとは」で書きました通り、ファンドの成否は、ファンドマネージャーの力量が大きく影響しますので、ファンドマネージャーの採用は慎重かつ丁寧に行っている点をご理解頂きたいと思います。
準備不足とはどのような状態なのかを分解すると
①応募する(面接を受ける)ファンドに関する情報収集
②候補者自身の思考の整理、が不足している状態です。
今回はそれぞれをどのように補えばよいのか書いていきます。
①応募する(面接を受ける)ファンドに関する情報収集
面接していて、当ファンドのことを何も知らないというような候補者にも遭遇したことがあります。どの業界や職種もそうですが、応募した会社を知らないのに応募してもハッピーな結果にはならないと思います。まずは最低限以下の情報を整理することをお勧めします。
●ファンド規模
●1投資先あたりの投資規模
●投資・組織スタイル
●投資先
ファンドによっては、組成しているファンド規模や1投資先あたりの投資規模は異なります。これらの情報はファンドのHPに掲載されていることが多いため、HP上で確認することができます。
バイアウトファンドごとに投資理念があり、ある業界に特化している場合や再生など投資テーマがあるファンドもあります。また、ファンドごとに投資先に対する経営関与方針(ハンズオンか否か、投資担当とバリューアップ担当の棲み分けの有無など)も異なります。
加えて、コラム「バイアウトファンドに向いている人1」で書きましたが、職位ごとに役割が決められているファンドもあれば、そのような取り決めを明確にしていないファンドもあります。
このような投資・組織スタイルに関する情報を把握するためには、まずはファンドのHPを確認し、掲載している情報を自分なりにまとめてみましょう。投資理念はともかく、経営関与方針やヒエラルキーが強いかどうかなどの情報はHP上での取得は難しいです。これらの情報の収集において、頼りになるのがエージェント(キャリアインキュベーションの佐竹さん)だと思います。是非エージェントをご活用下さい。
また、バイアウトファンドで働く知り合いがいれば、その知り合いが応募するファンドで働いていなくても応募するファンドの投資・組織スタイルについて聞いてみると良いでしょう。ファンドマネージャーは他のバイアウトファンドがどのような投資・組織スタイルなのは大凡理解しています。
投資先を調べておくと、投資理念に沿った投資を行っているのか理解するための助けになるでしょう。候補者の方が自分たちのファンドの投資先の詳細まで調べてきていることがわかると、ファンドに入社したい情熱が伝わってきて、印象がポジティブになるのでお勧めです。
②候補者自身の思考の整理
面接では、候補者がこれまでの経験をどのようにバイアウトファンドに活かして、今後どのようなことをバイアウトファンドで成し遂げたいのかを確認することになります。まずはご自身の経験を振り返り、例えば、コラム「バイアウトでの若手の仕事」のフェーズ区分を参考にしながら、ご自身のどのような経験を活かすことができそうなのか整理してみてはいかがでしょうか。それを踏まえ、バイアウトファンドでご自身は何を成し遂げたいのか考えてみると良いと思います。
コラム「バイアウトファンドとは」でも書いたようにバイアウト投資は、3年から7年かけて投資回収を行います。ご自身の成し遂げたいこととファンドで成し遂げられることがずれていると、せっかく苦労して投資し、数年かけて投資回収できたけれども、ご自身の成し遂げたいことに近づかず、遠回りする結果になるかもしれません。これまでのコラムを参考にしながら、思考を整理頂ければ幸いです。
おそらく、①と②を行うと、「応募するファンドになぜ入社したいのか」など面接での質問に対する回答が明確になってくるかと思いますので、応募前に是非①と②を行って頂きたいです。