今回は、コンサルティングファームへの転職を考えている皆様のために、働き方を中心に、コンサルティングファームの基本的な概要をお話したいと思います。
コンサルタントの仕事内容
コンサルタントの仕事内容を大別すると、
①「分析:クライアント業界/企業の現状分析と課題の把握」
②「課題定義:把握した課題に対する解決策(とその効果)の設定」
③「実行支援:実際の課題解決のためのアクション・管理」
の3つが挙げられます。
そして、クライアントの状況により仕事への関与の仕方は様々です。
全部任されて週に一度を目安とした定例会を目安に準備・報告・討議を進め、最終報告会でクライアントのトップへプレゼンテーションをするような、良く皆さんがイメージする"The コンサルタント"的な関わり方から、基本はクライアントのリードのもとで進めていき、都度の相談に対応したり、クライアントの推進を支援したりする補佐的な位置付けでの関与といったパターンまでさまざまです。
そして、一見シンプルな大別のようにも思えますが、クライアントの属する業界や、プロジェクトの対象となる事業領域やテーマによって、この3つにおいて求められる知識・スキルが異なります。
また、同じプロジェクト内でも役職に応じた期待役割が細かく分かれていることもポイントです。
すなわちプロジェクトの数だけ仕事内容が変わることが、コンサルタントの特長であり、楽しみと言えるでしょう。
似たようなテーマのプロジェクトをすることもありますが、登場人物、おかれている事業環境、競合の動きといったことと掛け算になると、何一つとして同じプロジェクトはないといっても過言ではないと思います。
コンサルティングファームの仕事内容・ビジネスモデル
コンサルティングファームのビジネスモデルは極めてシンプルです。
クライアントとなる企業に対して、コンサルティングを実施し、その対価として、契約金を頂戴するといったものです。多くのファームでは、1人あたりのコストが明確に定まっているため、何人がどれくらいの期間プロジェクトを担当するかで、価格は決まってきます。
ただし、最近は、いくつか新しい契約モデルが出てきていることも確かです。例えば、「コストカット」のプロジェクト等の場合、ある基準を設けて、そこよりも下がったコストの内、一定のマージンを成果としてコンサルティングファームに支払うといった成果連動報酬のスキームを目にすることがあります。国内において、コンサルティングファームはまだまだ歴史の浅い業態です。今後世の中が進化し、コンサルティングという業態がさらに普及するにつれて、新しいビジネスモデルも生まれてくるかもしれません。
若手コンサルタントの1日
7:00 a.m.
起床。食事中や出勤中に、モバイル端末で、クライアントや先輩コンサルタントからメールが来ていないかを確認し、その場で対応できるものは対応を実施。それらのメールを踏まえて、1日の動き方の段取りを考えながらオフィスへ出社。時間が空いたら、その日の朝刊や気になるネットニュースを確認。
8:00 a.m.
オフィスに到着。出勤時間前に確認したメールのうち、資料修正などが必要な業務は、早急に対応し、返信。終わったら、今日一日の動き方を整理し、朝9時からの社内ミーティングのゴールとアジェンダ、そして資料を最終確認。
9:00 a.m.
30分程度の社内のみのクイック・ミーティング(通称"チェックインミーティング")で、午後のクライアントとの打合せに向けた、ゴール・アジェンダ・資料を確認。その後、ミーティングで指摘された修正点や追加の調査・分析を実施。
11:30 a.m.
資料修正が終わったタイミングで、先輩のコンサルタントに最終チェックを依頼。更なる追加修正がないことを確認した後、資料を印刷し、移動準備を開始。時間がないため、近くのコンビニでサンドイッチを購入し、自席でランチ。
14:00 p.m.
クライアントの部長以下のメンバーと週に1回の打合せを実施。主に議事録を取り、自分の担当したパートは補足の説明を実施。また、発言できる場面は少ないが、可能な限りディスカッションにも参加。打合せが終了している時点で議事録はほぼ完成。
15:30 p.m.
先輩コンサルタントと先ほどの打合せのラップアップを実施し、今後の進め方を確認。その後、まずは議事録を最終化し、社内チームメンバーへ共有。
更に、3日後に控えたクライアントの課長以下との打合せに向けた大まかなスケジュールを作成した後、今日の議論で出てきた追加の検討ポイントに関する分析のタスク設計と作業を開始。
20:00 p.m.
チームメンバーと近くの定食屋で食事をし、オフィスに戻ってから現時点の資料を先輩コンサルタントに送った後、帰宅。
コンサルタントとしてエキサイティングな瞬間
最後にコンサルタントとして働いている中で、エキサイティングな瞬間をいくつかご紹介したいと思います。
①日経新聞の1面に自分たちが支援したプロジェクトの成果が報道される
コンサルタントとして、関わる仕事はどれもその企業にとってインパクトが大きいものばかりです。そのため、成果を出すことがそのまま大きなニュースとして世間で取り上げられることも多くあります。実際に新聞の1面で、自分たちが関わったプロジェクトが報道されると、やはり素直に嬉しいと思うことが多いです。
②本当に素晴らしい企業の経営者の方々との議論
コンサルタントで10年近く働くと、事業会社の役員クラスの方々ともディスカッションをする機会がかなり増えることになります。ビジネスマンとして、自分よりもはるかに多くの修羅場を経験されてきた彼ら彼女らとの議論は、本当に刺激的であり、毎回多くのことを学ばせて頂いています。
③次のプロジェクトをお客様から直接頼まれる
クライアントのために働く私たちにとって、何よりもうれしいのは、やはりお客さんから次のプロジェクトを頼まれる時だと思います。言葉での感謝は勿論嬉しいですが、実際に私たちと働くことに対して意義を感じて頂き、決して安くはないコンサルティング契約を継続して頂けることが、やはり一番の喜びです。