はじめに
初めまして。今回よりこのコラムを執筆することになりました現役戦略コンサルタントのAです。私は大学卒業後、人事系スタートアップからキャリアをスタートし、現在は外資系のトップ戦略コンサルティングファームにおいてコンサルタントとして活動すると共に、ファームの経営にも携わっております。
長年にわたりコンサルティング業界に身を置いてきた立場から、本業界の更なる成長への貢献、並びにその成長を一緒に愉しめる仲間を増やしたい、という想いから、皆さんの疑問に応える形で、当業界の"現実"を伝える事が出来ればと考えております。
つまり、知らない為にリスクを過大評価して当業界への参画のアクションを戸惑ったり、誤解していた事で当業界への参画後に"こんなんじゃなかった"という失意を抱いたりする方が少しでも減らせる事が出来ればと考えております。以降、よろしくお願いします。
以前に比べると激務の比率は減少中
今回、セミナーや面接、又はクライアントからも聞かれない事はない
「コンサルって、いつ寝ているの?」
「良く続けられますね?」
「激務ではないですか?」
という、当業界の働き方をお伝え出来ればと考えております。きっと、コンサルティング業界への参画を考える時に、一度は疑問として持たれるのではないでしょうか。
ご存知の通り、コンサルティング業界は90年代や2000年初頭と比較して、社会的に求められる役割は拡大してきております。戦略に始まり、業務やITといった専門軸でのコンサルティングに加え、近年だと、"高級人材派遣"とも表現される事もある、クライアント内での社内意思決定の整流化や業務推進を担う実行軸でのコンサルティング業務というように拡大をし続けております。
結果、人員規模は拡大し、多様性な人材を内包する現在の姿へ変化してきております。そして、プロフェッショナルとしての働き方やワークライフバランスへの考え方の共通認識は拡大を続けており、多様な働き方を許容する、ある意味、非常に先進的な業界になりつつあります。
また、同時期に社会的要請である働き方改革の推進や、一定規模の存在感が出てきた結果、労働基準監督署による一部のコンサルティングファームへの指摘といった事も影響し、平均的な一人当たりの労働時間は減少傾向にあります。
ただし、日頃からクライアントと接する限り、他業界より"激務"である事に変わりはないとは感じております。(故に、冒頭の質問がクライアントからも出る)
改めて"激務"の意味合いを再考すると
労働時間が減少傾向にある中、なぜクライアントも当業界の働き方を"激務"と感じているのか、その意味合いを改めて考えてみたいと思います。"激務を"2軸に分解してみると、
「労働時間×密度(プレッシャー)」
と私としては整理をしております。
たとえば、労働時間が長くても密度(プレッシャー)の低い業務は"だるい"だけで"激務"と表現する人は少ないはずです。
また、密度(プレッシャー)が高くても労働時間の短い業務は"きつく"はあるものの、労働時間外の休みを十分にとれる事に鑑みると、"激務"と表現する人は少ないものと思います。
そして、コンサルティング業界の根底に存在する、時間当たりに創出するアウトプット品質に対するこだわりが、コンサルタントの働き方を「長めの労働時間×高い密度(プレッシャー)」="激務"の象限へ位置付けさせていると考えております。
つまり、減少傾向にあるものの他業界よりは長い労働時間に加え、限られた時間の中で必ず一定以上のアウトプットを創出し続けなければならない密度(プレッシャー)が、"激務"と感じさせているのではないでしょうか。
今後も、プロフェッショナルとしてクライアントから高額フィーで依頼を受けている限り、時間当たりのアウトプットを最大化する"激務"は、一定量当たり前なものとして受け入れざるを得ないものではあります。
そして、この"激務"がコンサルティング業界へ参画する理由の1つとして挙げられる、人よりも早い成長と前広なキャリアの実現のベースになっているのも、皮肉な現実でもあります。
最後に
今回は、「コンサルって、激務ですか?」という質問を通じて、その働き方の"現実"についてお話をしました。
しかし、勘の良い皆さんは、普段の業務に照らしてみても気付かれているかもしれませんが、コンサルティングの業務に於いても"激務"を左右する要素が存在します。そして、その要素を効率的にコントロールする技術があるのではないか?とも持たれているかと思います。
答えは"Yes"です。活躍されているコンサルタントは、その技術の使う場面への勘所を持ち、そして技術を使いこなす事が出来ているでしょう。
決して容易な道とは言い切れませんが、コンサルティング業界に限らず、将来的に他業界に移ったとしても、仕事の量と密度(プレッシャー)に翻弄される事なく、活躍できる人材になっていきたいと興味を持たれたのであれば、是非挑戦してみる価値はあるかと思います。