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「第4回 PEファンドの実態 ~ファンドマネージャーに聞いた5つの質問~」 ~前編~

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こんにちは。キャリアインキュベーションの佐竹です。

先日、ある外資系PEファンドの新規立上げを任されているファンドマネージャーとお食事をする機会がございました。
日本ですでに投資を具体的に検討されており、順調に案件を積み上げられれば、オフィスを拡張していくということでした。
他にも新たにPE(バイアウト)へ新規参入する話が色々と聞こえてきています。
少しマーケットが過熱している感はありますが、新たなプレイヤーが入ってくる事で、業界全体が盛り上がっていく事を期待しています。

さて、今回は「第4回 PEファンドの実態 ~ファンドマネージャーに聞いた5つの質問~」の前編をお送りいたします。

今回は、キャプティブ系のPEファンド(バイアウトファンド)でアソシエイトとして活躍されている、FAS系ファーム出身のDさんにお話を伺いました。

なぜアドバイザリー業務からPEを目指したのか、キャプティブ系の良さ、ミッドキャップの面白み等を色々とお話頂きましたので、是非参考にしてください。

〈Dさん〉キャプティブ系のPEファンド(バイアウトファンド)/ アソシエイトのプロファイル

「第4回 PEファンドの実態 ~ファンドマネージャーに聞いた5つの質問~」 ~前編~

Q1. なぜPEへ転職したのでしょうか?

【INQ佐竹】Dさん今日は宜しくお願い致します。まずはDさんのプロフィールからお話頂けますでしょうか。

【Dさん】私は会計士資格を取得し、4大監査法人と呼ばれる監査法人へ入りました。IPO支援の部門で5年、主に法定監査を行い、アドバイザリー業務も少し行いました。

年次が上がるにつれ、お客様とのリレーションもでき、管理・税務等の専門領域に関わらず、様々な経営課題に触れることも多くなりました。そのようなお客様にはグループとして提供可能なソリューションを提案し受注もできていたのですが、いざ受注すると、デリバリーは違う部門や関連会社が行うという事も多かったです。そんな状況にもどかしさを感じる事も多くなり、もっとお客様の会社を良くする仕事を自分自身でやりたいと思い、コンサルティングファームというくくりで転職活動を行いました。

そこで出会ったのが、同じく4大監査法人のFASにある事業再生部門でした。その部門では、事業再生のために必要な経営課題を洗い出し、実行支援までできる所に魅力を感じました。また、アドバイザリー業務の内容も非常に幅広く、M&Aや業務改善、コスト削減、物流改革等様々な切り口のスキルを身に着けられるという所にも魅力を感じました。

【INQ佐竹】ありがとうございます。FASの再生チームでは監査法人時代に抱いたもどかしさは解消できそうですが、その後PEに関心を持ったのはなぜだったのでしょうか。

【Dさん】幅広くできる事は良かったのですが、私の場合は、オペレーショナルな事が業務の大半を占めており、もっと上流に携わりたいなと思ったんです。それが転職を考えたきっかけです。

【INQ佐竹】それではPEを志望した理由はどのようなものでしょうか。

【Dさん】当時色々と面接を受けたのですが、その際は、もうちょっと自分で当事者として事業に関わって行きたいという話をしていました。
志望動機としてはPEファンドの方々には受けなかったんですけどね(笑)
PEファンドの方からは、「なぜ事業会社ではないか?」という事は聞かれました。「オペレーショナルな事では無く経営に携わりたい」、「事業会社にこの年齢で入っても経営には関与できない」といった事をお話したと思います。実際にそう考えていましたし。
ただ、これもファンドの方々からは、「腹落ちしないな」という反応をされましたね(苦笑)

Q2. 転職時にPEを選ぶ軸はありますか?

【INQ佐竹】転職活動では苦労されたんですね。
それでは最終的に現職にご縁があって転職されたんですが、色々とPEファンドを見て回る中で、PEファンドを選ぶ軸というのはあったんでしょうか?

【Dさん】そうですね。当時どういう軸で見ていたかという点とPEファンドで実際に働いた今ならどういう軸でみるかという2つをお話したいと思います。

まず当時どういう軸で考えていたかですが、大きく3つのポイントを重視していました。

一つ目は、先程お話した通り、事業にもっと上流から深く関わって行きたいと考えていたので、ハンズオンを標榜しているかどうかという点です。
二つ目は、自分のスキルセット、バリューを発揮できるかという点です。自分自身のタイプからも中堅、中小企業のオーナーと膝を突き合わせて、仕事を進めていく方が合っていると思って、そういったディールサイズをやっているかという点を重視していました。
最後三つ目は、ディールフローの観点で案件がしっかりと経験できるかという点です。

今であれば、こういった軸でファンドを見るというのは大きく2点です。
一つ目は先程の話しとも少し重複しますが、運用ファンドのサイズです。ご存知の通り、各PEファンドは一つのファンドから5~10社への投資を行います。
そのため、各ファンドが運用しているファンドのコミットメント金額に対し、1件当たりの出資金額は10~20%ぐらいになります。つまり、ファンドのサイズによって投資対象になる会社が異なります。なぜこれがポイントになるかというと、投資対象となる会社の規模によって仕事内容が異なるからです。

所謂ラージキャップと言われるPEファンドとミッド、スモールキャップと言われるPEファンドでは、投資のプロセスとバリューアップのプロセスが異なります。
ラージキャップになるとエクスクルーシブで進める案件は少なく、基本的にはビットになります。
ミッド、スモールキャップもビットになる事はありますが、限定的なものであったりしますし、相対で進める案件も多くあります。

ビットになった案件は、高値掴みになりやすく、どうバリューアップしていくかという点が重要になります。勿論、投資時の市況やどの程度レバレッジがかけられるかという点もありますが、基本はEBITDAを伸ばす事が前提になります。
PEファンドに入る方々は、EBITDAを伸ばす事にチャレンジしたくて業界に来るのは分かりますが、そんな簡単な物ではないという事は言えると思います。また、あたりまえですが、しっかりと投資時に投資後の絵を描けないといけないので、投資のハードル自体も上がります。一方で日経新聞に出るようなディールができるというのは、人によっては魅力にうつるかもしれませんね。

ミッドスモールキャップのバリューアップは、会社としての体をなすという事を愚直に行っていきます。前オーナー、従業員の皆様と二人三脚で、一人歩きをできる会社を作る。ロジックだけではなく、手触り感がある中で物事を進めていく。そんな仕事になります。
また投資時も相対が多くなるので、じっくり検討してオーナーを口説いていくというやり方になります。
ラージキャップは、よりM&Aとしての色合いが濃く、ミッドスモールキャップは色合いが薄いという表現が良いかもしれませんね。

後は若手がする仕事として、エクゼキューション面でも違いが出てきます。
ファンド規模によって、ディールに掛ける事が出来るコストはことなります。トランザクションフィーはファンドの持出しなので。
例えば、ラージキャップのファームでは、ビジネスDDを一流のコンサルティングファームに外注し、それをコントロールする事が若手の仕事になると思いますが、ミッドスモールキャップでは自分で全部やらないといけないといった所でしょうか。財務/税務、法務辺りは外部のプロフェッショナルファームにお願いしますけどね。

【INQ佐竹】大変興味深い面白いお話ですね。PEを目指す方の志向によって、合う、合わないが別れそうです。二点目はどういったポイントになりますか?

【Dさん】PEファンドに出資する、機関投資家はファンドの何にお金を出しているかというと、究極的にはPEファンドのキーマンにお金を出しています。そのため、キーマンがどういう人物かというのが二つのポイントで、大変重要になってきます。
転職活動時にすべてを知る事はなかなかできないと思いますが、面接の場でキーマンがどいう投資理念を持っているかは聞いた方が良いと思います。このボタンのかけ違いがあると大変不幸な結果になると思います。
キーマンの投資理念を聞いて、共感できるファンドを選ばれることをお勧めいたします。
その他にも考えれば切り口はいっぱいあると思いますが、この2点はかなり重要だと思います。

後編に続く

佐竹

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プロフィール

キャリアインキュベーション株式会社
日本プライベートエクイティ協会 賛助会員
プライベートエクイティチーム


マネージングディレクター 佐竹勇紀

キャリアインキュベーションにて、プライベート・エクイティ業界(プロフェッショナル及び投資先経営幹部)の採用/転職サポートを中心に活動中。 プライベート・エクイティ ファンドの投資プロフェッショナルはMDクラスからアナリストまでを網羅的にカバーし豊富な実績がある。
投資先経営幹部はCEO、CFOといったプロ経営者の支援実績が豊富。 キャリアインキュベーション参画以前は、大手人材紹介会社の金融部門にて就業。

ディレクター 山口 彩

キャリアインキュベーションにて、PEファンド、メザニンファンドの投資フロント及びミドルバックの転職サポートを専門に担当。
キャリアインキュベーション参画以前はブティック型のエージェントにて金融機関(保険会社・銀行・証券会社・不動産ファンド)の人材紹介に従事。
それ以前は生命保険会社にて就業。

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