ダイキン<6367>、欧州冷蔵機大手を1000億円で買収
ダイキン工業は、欧州の業務用冷蔵機メーカー大手、AHTクーリングシステムズ(オーストリア)を買収する。英国の投資ファンドから全株式を1000億円強で取得する。AHTの顧客基盤とダイキンの空調技術を組み合わせた事業を展開する狙い。先進国の空調市場が成熟するなか、冷蔵機事業を新たな柱に育てる。
ダイキン工業は「IoT」などデジタル対応で他社との連携に力を入れている(10月、「シーテック」の会場)
AHTは食品スーパーの店頭で使う冷蔵ショーケースの欧州大手で、売上高は年500億~600億円。ダイキンの冷蔵機事業は今回の買収で約3倍の1000億円規模に増え、世界大手の一角に躍り出る。
ダイキンはAHTの顧客にダイキン製品を売り込むほか、1台の室外機で空調と冷蔵機を制御する省エネサービスを提案しシェア拡大を図る。
AHTはオーストリアのほか、米国と中国、ブラジルにも生産拠点を構える。製品の仕様やデザインなど顧客の要望にきめ細かく対応できるのが強みで、グローバルに事業拡大できる基盤があることも買収を決める材料になった。
ダイキンは空調と親和性の高い業務用の冷蔵機事業の育成を進めている。2016年には冷蔵設備を手掛けるザノッティ(イタリア)を約120億円で買収。海上輸送やトラックのコンテナ向けに事業を展開している。AHTの買収で生産地から小売店まで一貫したコールドチェーン(低温物流)を提供できる体制が整う。
ダイキンの主力の空調は、新興国では今後も成長が期待できる一方、先進国では市場の成熟化が進んでいる。一方、業務用の食品冷凍・冷蔵機の世界市場は約4兆円で年5%程度の成長が続く。先進国では空調単体の販売から、サービスも組み合わせたビジネスモデルへの転換を迫られていることが買収の背景にある。
味の素<2802>、調味料・冷凍食品を製造する香港アモイ・フードを譲渡
味の素は100%子会社で調味料・冷凍食品の製造販売する香港アモイ・フード(HAF、売上高63億円、営業利益7億6300万円、純資産62億7000万円)の全株式を、香港投資会社傘下のCITIC Capital Asian Foods Holdings Limited(ケイマン諸島)に譲渡すると発表した。
味の素は2006年にアモイ・フードを仏ダノン・グループから取得。香港で"AMOY"ブランドの液体調味料や冷凍食品は広く受け入れられ、北米、欧州でも事業を展開している。しかし、味の素は現行の中期経営計画(2017~19年)で海外食品事業における「味の素」ブランドの価値向上を打ち出しており、"AMOY"ブランドの継承企業を模索していた。
譲渡価額は非公表。譲渡予定日は2019年1~3月。
不二製油グループ本社<2607>、業務用チョコレート世界3位の米Blommerを子会社化
不二製油グループ本社は業務用チョコレートメーカー世界3位の米 Blommer Chocolate Company(シカゴ。売上高1015億円、営業利益2億2400万円、純資産187億円)を2019年1月に子会社化する、と発表した。買収金額は約860億円。現金を対価とした「逆三角合併」方式を用い、Blommerを存続会社として不二製油が新設する子会社との合併を行ったうえで、合併後のBlommerの株式100%を取得して傘下に収める。
Blommerは1939年に設立し、業務用チョコレートメーカーで世界第3位の大手であるほか、ココア豆加工でも世界5位。北米市場で菓子メーカー向けにチョコレート、ココア製品を幅広く供給する。不二製油は同社の子会社化により、環太平洋を軸に世界10カ国16カ所にチョコレート工場を持ち、グローバル供給・販売体制を確立する。
不二製油は主力のチョコレート事業を強化するためM&Aを相次ぎ実施してきた。2015年にブラジルのHarald、2016年にマレーシアのGCB Specialty Chocolates、2018年に豪Industrial Food Servicesを子会社化した。
OATアグリオ<4979>、花・植物の鮮度保持剤最大手の蘭クリザールを子会社化
OATアグリオは、花や植物の鮮度保持剤を製造・販売するオランダのクリザール(売上高64億円、営業利益5億1000万円、純資産64億4000万円)の全株式を取得し子会社化することを決議した。
OATアグリオは施肥潅水技術関連の製品として、収穫後の花や植物の鮮度を保つ鮮度保持剤「美咲」を国内販売する。今回子会社化するクリザールは鮮度保持剤の世界的なトップメーカーで、欧、米、アジアなどの約50カ国で販売している。OATアグリオはクリザールの販売網を活用して「美咲」の世界展開につなげる。
取得価額は78億7000万円。取得予定日は2018年12月中旬。
ザインエレ<6769>、通信モジュールメーカー買収
半導体・設計開発のファブレスメーカー、ザインエレクトロニクス、通信モジュールやソフトの開発を手掛けるキャセイ・トライテック(横浜市)を買収すると発表した。12月6日付でキャセイ社の52.39%の株式を取得して子会社とする。買収額は約3億5千万円。
ザインエレは画像伝送用の大規模集積回路(LSI)に強みを持つ。
第三者割当増資による約1億8千万円の調達分を含めて、キャセイ・トライテックの株式を取得する。キャセイ社の取締役2人が自社の普通株を現物出資する。ザインエレは残る株主からの株式を譲り受け、2019年1月中旬をめどに出資比率を最大83.87%まで引き上げる。
キャセイ社はあらゆるモノをネットにつなぐ「IoT」向けの通信モジュールや、中国向けの販路に強みを持つ。ザインエレが手掛ける画像伝送用の大規模集積回路(LSI)と組み合わせ、IoT機器に向けたソリューションの提案につなげる。
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