オンキヨー<6628>、ホームAV事業を米サウンド・ユナイテッドに譲渡
オンキヨーは21日、米国の有力音響機器メーカー、サウンド・ユナイテッド(カリフォルニア州)とその持ち株会社にスピーカーやアンプなどのホームAV事業を売却することで合意したと発表した。ホームAV事業は売上高の約7割を占めるが、2018年3月期まで5期連続で最終赤字が続き、経営再建のために主力事業を手放す。売却金額は7500万ドル(約81億7500万円)。今後はヘッドホンなどのデジタルライフ事業とOEM(相手先ブランド生産)事業の2部門に経営資源を集中させる。
売却するのは傘下のオンキヨー&パイオニア(東京都墨田区。売上高256億円、営業利益△22億8000万円、純資産△19億7000万円)、オンキヨー&パイオニアマーケティングジャパン(同。売上高97億4000万円、営業利益△11億円、純資産△10億3000万円)、マレーシアONKYO ASIA ELECTORONICS SDN.BHD.(売上高49億2000万円、営業利益1億6200万円、純資産11億8000万円)の3連結子会社。また、中国と香港の販売子会社の一部事業も売却する。
6月21日の株主総会での決議を経て、7月1日に対象子会社の株式と一部事業を譲渡する。
ホームAV事業譲渡後も、オンキヨーブランドは所有し、ライセンス供与や事業継続の詳細手続きについて契約を結ぶ。
オンキヨーは2015年に、パイオニアとホームAV事業の統合会社を設立した。しかし、売上高が年々減り、構造的な赤字に陥っていた。
東洋紡<3101>、帝人からポリエステルフィルム事業の国内外2子会社を100億円で買収
東洋紡は22日、帝人子会社でポリエステルフィルム事業を手がける帝人フィルムソリューション(TFS、東京都千代田区。売上高260億円、営業利益13億7000万円、純資産83億6000万円)など国内外2子会社を10月1日に買収すると発表した。買収金額は約100億円を見込む。
東洋紡が買収するのはTFSのほか、インドネシアにあるP.T. Indonesia Teijin Film Solutions(ITFS。売上高27億6000万円、営業利益0円、純資産16億5000万円)。
TFS、ITFSは車両の電装化に伴い需要が拡大するセラミックコンデンサー用離型フィルムや食缶用ラミネートフィルムなど工業用から包装用まで幅広いフィルム製品を供給している。
東洋紡はフィルム事業を成長分野と位置づけている。両社を傘下に取り組むことで、品ぞろえを拡充するとともに、海外生産体制の強化につなげる。
帝人は2016年にポリエステルフィルム事業の国内生産拠点を宇都宮事業所(宇都宮市)に集約。これに併せて、米デュポンと合弁だった日本とインドネシアの共同出資会社のデュポン持分を取得し、それぞれ100%子会社として運営してきた。今回、経営資源の最適配分の一環として、TFS、ITFSの両社を手放すことにしたという。
廣済堂、南青山不動産による対抗TOBは不成立に
廣済堂は23日、同社に対して投資会社の南青山不動産(東京都渋谷区)が22日まで実施していたTOB(株式公開買い付け)が不成立に終わったと発表した。南青山不動産は910万900株(保有割合50%)を買付予定数の下限としていたが、応募株式数は42万7000株にとどまり、目標数の5%にも満たなかった。
南青山不動産による廣済堂株式の買付価格は1株あたり750円。廣済堂株価は南青山不動産がTOBを開始した3月22日に859円(終値)をつけて以降、市場価格が買付価格を大幅に上回る高値圏で推移し、TOB終了3日前の5月20日に初めて買付価格の750円を割り込んだ(737円)。TOBが終了した22日の終値は728円。
廣済堂は米投資ファンドのベインキャピタルと組んでMBO(経営陣が参加する買収)の一環として1月半ばからTOB(買付価格は当初610円、途中で700円に変更)を行ったが、4月8日に不成立となった。このTOBが進行中の3月22日から対抗TOBに着手したのが南青山不動産。
南青山不動産はこの間、買付期間を2度延長した。買付価格は750円で変わっていない。南青山不動産は旧村上ファンドの関係企業。
同社による対抗TOBについて、廣済堂は4月末に「中立」の意見を表明していた。
鹿島<1812>、ポーランドの不動産会社買収 欧州企業買収は初
鹿島建設はポーランドの不動産会社スチューデントデポをこのほど買収した。株式の90%を持っていた米投資会社から全株を取得した。買収額は約61億円とみられる。同社が欧州企業を傘下に収めるのは初めて。国内の建設市場は縮小が見込まれ、海外で利益成長を目指す。
スチューデント社は学生向けマンションを開発運営しており、ポーランドの同事業では5割のシェアを持つとみられる。欧州子会社の鹿島ヨーロッパが米オークツリー・キャピタル・マネジメントから買収した。鹿島は今後、同国で学生マンションを年間2、3棟ずつ建設する考え。
ポーランドは欧米の主要国に比べて生活費などが安く、欧州の周辺諸国やアジアからの留学生が増えている。今後も年間15%の伸びが続くとの見方もある。ただマンションは社会主義時代に建設された物件が多く老朽化している。大学生数が約150万人に対し、学生向けマンションで収容できるのはその1割未満とされ不足している。
少子高齢化によって日本国内の建設需要は縮小することが予想される。鹿島は2018年度末で全体の2割にとどまる国内建設事業以外の純利益を、20年度末には37.5%に高める目標を掲げている。米国やシンガポールでも現地の建設、開発会社を買収してきた。
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