コンサル業界担当の服部です。新年あけましておめでとうございます。
本年もどうぞ宜しくお願い致します。
大変有り難い事に昨年も多くの素晴らしいお客様や優秀な方とのご縁に恵まれ、Tech系スタートアップのマネジメントポジションや、各コンサルファームのデジタルコンサル分野での多くの採用サポートが出来ました。
特にBCGデジタルベンチャーズのTokyoオフィスの立ち上げにはキャリアインキュベーションとしても強くコミットメントさせて頂き、中途入社メンバーの大半を当社経由でご支援させて頂けたことは大変光栄でした。今年も引続き尽力して参りたいと存じます。
さて、新年最初のブログでも有りますので、昨年のニュースから全体の流れを振り返ろうと思います。(個人的に目に止まったニュースをピックアップしたので少し偏りがあるかもしれませんがご容赦ください)
トピックは「買収」「業務提携」「新組織立ち上げ」「ワークスタイルの多様化」「まとめ」というカテゴリでまとめております。
1.《買収》アクセンチュアの大型買収が目立つ
ビッグニュースだったのはアクセンチュアが老舗のWebコンサル会社IMJを買収したことでした。IMJはネットイヤーと並ぶWeb業界では老舗の企業でもあり提携ではなく完全買収したことは驚きとともにアクセンチュアジャパンのデジタルコンサル領域への本気度が伝わる動きでした。実際にアクセンチュアインタラクティブの主要メンバーはIMJオフィスに頻繁に行き来していて良い形で協業を進めているようです。
また、アクセンチュアは流通小売業界に強い戦略ファーム、カート・サーモン・アソシエイツを買収。既に数十人の日本のメンバーはアクセンチュアストラテジーと合流したそうです。アクセンチュアにはここ2〜3年でトップ戦略ファームのプリンシパル〜パートナークラスが移籍しており、外資系企業のリクルーター経験者や大手SNSサイトのシニアメンバーを採用担当ディレクターとして採用するなど、ダイレクトリクルーティングにも力を入れており、総合系大手の中では最も積極的に採用を進めている印象を受けています。
2.《業務提携》クラウドサービス、AI、ロボット分野で大手Tech企業との提携が進む
前回のブログでデジタルコンサルには「新しい事業を創出するデジタルイノベーション」と「既存事業を変革するデジタルトランスフォーメーション」の2種類があると書きました。
業務提携の目的でも前者のケースではAI、ロボットなどのテクノロジーの事業化、後者がワークスタイル変革(グーグルのG Suite、ipadの業務利用など)のツール提携が見えました。PwCコンサルティングは2015年にグーグルとの提携で、専門コンサルチームを立ち上げていましたが、更にDMM.comとのロボティクス分野での提携、電通デジタルとデジタルマーケティング領域のコンサル強化を進めています。
3.《新組織立ち上げ》デジタル分野、オープン・イノベーション関連の組織立ち上げが増加
●デジタル
前回のブログでも書きましたが、デジタルコンサル元年とも言える昨年はコンサルファームだけではなく、電通や博報堂もデジタル専門の新組織を立ち上げたり、ニューヨーク本社の大手デジタルエージェンシーR/GAが日本に参入したり、IDEOTokyoがVCを立ち上げるなどコンサル業界に留まらず様々な方面からの参入がありました。一方でこの分野で即戦力となる人材は圧倒的に不足しています。ビジネス視点でデジタルの活用方法を説けるコンサルタントやデザイナーは枯渇しており、各社採用強化をしています。
●AI(人工知能)
AI/人工知能の新規ソリューションが多く出てきたのも特徴的でした。AI活用はパターン化出来る業務の自動化が中心で、例えば自然言語処理技術をコアとしたコールセンター応答業務のbot化や、画像認識アルゴリズムを活用した手書き文字認識の自動認識など実用例ですが、今まで公務員の長時間労働の要因になっていた国会答弁の質疑応答の下書きをAIにやらせるというユニークな事例も出てきています(NRIが実証実験中)。気づかないうちに実はAIがサポートしているというサービスがどんどん出てくるのかもしれません。AI技術をビジネス側にプロトコル変換出来るコンサルタントニーズはとても高いのですが、大変希少性が高く各社採用に苦戦しているようです。
●Fintech
「Fintech」分野でも各社積極的な動きが見えました。但し、まだまだ定義が曖昧なため、コンサル各社は共に海外の事例などを集めながらどのようなサービスが成り立つのかを検証している段階のようです。Fintechには旧来の金融サービスをデジタル化する動きと、金融機関が出来ない新たなサービスを創出する2つの方向性があります。分野では「資産管理」「資産運用」「送金/決済」「資金調達」「ビットコイン」「会計」などがあります。大手企業は単独の事業開発は難しいので、コンサルファームと組んだジョイント・ベンチャーの立ち上げなどハンズオンでの事業開発ケースも出てくるかもしれません。
●オープン・イノベーション
オープン・イノベーションが注目ワードとなり、企業間の提携を支援するサービスが増えてきました。技術マッチングの領域では「ナインシグマ」が最も老舗です。マッチングの迅速化に加えて、エグゼキューションまで支援出来るかどうかが重要になってくるようです。
4.《ワークスタイルの多様化》時短勤務や在宅勤務のサポートを本格化
昨年は優秀なコンサルタントの採用やリテンション強化のため、就業環境を改善する取り組みも増えました。たとえば日系大手ファームでは水曜日をノー残業デーとして、深夜・休日のメールや電話も原則禁止とするなど長時間労働の改善にも本格的に取り組み始めています。外資大手ファームでもトップダウンで、時短勤務など制度を拡充し残業時間を抑制し生産性を向上させる取り組みを進めていると聞きます。
コンサルタントはプロジェクトの状況に依存することも多く、一律の実施は難しいと思いますが会社として意識変革を促す姿勢は大きな変化です。ワーキングマザーで時短勤務を希望される優秀なコンサルタントの方からもご相談頂く事があり、このような取り組みは大変歓迎されると思います。
まとめ
2017年もコンサルファームでは採用ニーズは依然強い状況が続きそうです。コンサル経験者にとっては売り手市場となり、未経験者にとってもコンサルタントに転身するチャンスの多いタイミングでしょう。しかし、すでに知識や知恵で差別化出来る時代ではなくなっており、コンサル業界自体も変革の時期に来ています。なのでクライアントに付加価値を出すために、デザイナーや代理店出身者、データサイエンティストやアルゴリズムエンジニアなど全く異分野の人材を採用し、M&Aや事業提携を駆使しながら自社の変革を進めているのです。
チャレンジングなプロジェクトも多く、苦労と共に大変なやりがいがあるようです。ご自身にあった会社やポジションを選び、転職活動を進めていって頂ければと思います。
今年も良いご縁があることを楽しみにしております。キャリアインキュベーションを今年も何卒宜しくお願い致します。
(服部)